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東京高等裁判所 昭和54年(ラ)1023号 決定 1979年9月05日

抗告人 黒川芳正

抗告人 大道寺将司

相手方 国

右代表者法務大臣 古井喜實

主文

本件抗告をいずれも却下する。

理由

一  抗告人らは、「原決定を取り消す。」との裁判を求めるものであり、その理由の要旨は、「原決定は、抗告人らが国の職権乱用により出頭することができなかった口頭弁論期日において、被告たる国の一方的見解に基づいてされた点、弁論分離の理由を明らかにしていない点、抗告人らが訴訟に関して素人であり、相互に協力して始めて強大な権力をもった被告国と対等に訴訟を遂行し得るのであるから、弁論を分離することは、被告国を利するものであり、武器対等の原則に反すると同時に、抗告人らが団結して訴訟遂行をする権利を侵害することになる点、において違法である。」というにある。

二  記録によれば、本件訴訟は、抗告人らが共同原告となり国を被告として、国の公務員の違法行為を理由に損害の賠償を求める訴訟であるが、原裁判所は原告たる抗告人大道寺と被告との訴訟につき弁論を分離する旨決定したことが認められる。

三  ところで、併合された訴訟につき弁論を分離するかどうかは、その訴訟の性質上弁論の分離が許されない場合を除いては、受訴裁判所の専権事項であり、弁論を分離する裁判にはその理由を付することを要しないのみならず、右裁判に対しては、不服申立をすることも許されないものというべきところ、抗告人らが共同原告として提起した本件訴訟は、いわゆる通常の共同訴訟であって、その性質上弁論の分離が許されないものではない。してみれば、前記原決定に対しては不服申立をすることができないといわなければならない。

四  よって、抗告人らの本件抗告は、不適法であるから却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 森綱郎 裁判官 新田圭一 真栄田哲)

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