東京高等裁判所 昭和54年(ラ)990号 決定 1980年1月21日
抗告人 株式会社川崎パブリックコース
相手方 国
主文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
本件抗告の趣旨は、「原決定を取り消す。相手方は、実力をもつて、原決定添付物件目録一、(1)ないし(3)の土地(以下、「本件土地」という。)に立ち入り、その他抗告人の本件土地に対する占用使用を妨害してはならない。」というにある。
抗告人は、本件土地についての占用使用権ありとし、これを被保全権利として、相手方に対し、法令に基づく代執行等のための本件土地の立ち入り等抗告人の本件土地に対する占用使用を妨害するような行為を差し止める目的で、本件仮処分申請をしているものと解される。
しかしながら、右代執行等のための立ち入りその他の行為は、行政庁の公権力の行使にあたる行為であるから、これを差し止めるために仮処分をすることは、行政事件訴訟法第四四条に違反することが明らかである。又、本件土地について占用不許可処分の執行停止の申し立てが、法的利益がないことを理由に却下されたからといつて、当然に本件につき仮処分が可能であると解することもできない。
その他、原決定に違法の点は見当たらない。
よつて、本件抗告を理由なしとして棄却すべく、抗告費用は抗告人の負担すべきものとして、主文のとおり決定する。
(裁判官 沖野威 奥村長生 谷澤忠弘)