大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和54年(行ケ)141号 判決

一 請求原因一及び二の事実は、当事者間に争いがない。そこで、原告主張の審決取消事由の存否について判断する。

二 東京都千代田区神田駿河台一丁目六番地の一株式会社主婦の友社が本願商標の登録出願の日前から「主婦の友」の題号(商標)(戦後「主婦之友」から改題)によるわが国有数の発行部数を有する月刊の婦人雑誌を発行していること、同社が上記雑誌の発行の傍ら、「主婦の友社代理部」(昭和四八年に通信販売部と改称)の名称を用いて、図書、医薬品、化粧品、繊維製品等を、通信販売及び売場の経営によつて取扱販売していることは当事者間に争いがない。

右事実及び弁論の全趣旨によれば、株式会社主婦の友社が発行する婦人雑誌の題号「主婦の友」は、本願商標の出願の日前から、雑誌について周知著名な商標であると認められるところ、本願商標は「主婦之友」の文字からなるものであり、両商標は、「の」と「之」の文字の違いがあるにすぎず、ほぼ同一の商標として看取されるものということができる。

そうであれば、原告が本願商標をその指定商品「薬剤、医療補助品(但し、ガーゼ、その類似品を除く。)」に使用するときは、株式会社主婦の友社が発行する婦人雑誌の題号「主婦の友」が周知著名な商標であることと、株式会社主婦の友社が婦人雑誌「主婦の友」発行の傍ら、「主婦の友社代理部」の名称を用いて、通信販売及び売場の経営により、薬剤、医療補助品等を取扱販売していることと相まつて、原告の前記商品に接する需要者は、その商品が株式会社主婦の友社の業務にかかる商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということができる。

原告は、(1)株式会社主婦の友社の有する商標「主婦の友」は、同社発行の月刊雑誌の商標として周知であるにすぎない、(2)株式会社主婦の友社が同社代理部で販売している薬剤、医療補助品は、すべて第三者の製造にかかるものであり、使用される商標も第三者のものであつて、「主婦の友」なる商標が使用されることはなく、需要者が当該商品の出所を株式会社主婦の友社であると認識することはない、(3)主婦の友社代理部は、売場の点でも通信販売の点でも、その存在が周知であるとはいえない、などと主張するが、原告が本願商標をその指定商品に使用するときは、商品の出所について混同を生ずるおそれのあることは、右に説示したとおりであつて、商品の出所について混同を生じないとする原告の主張は採用することができない。

なお、原告の主張する登録第一四五一二三号商標(大正一一年五月一六日設定登録、昭和一六年九月一九日商標権存続期間の更新登録がそれぞれされたことについては、当事者間に争いがない。)の商標権が昭和三七年五月一六日まで存続していたことは明らかであり、本願商標の商標登録出願の日(昭和三六年一一月一四日)が登録第一四五一二三号商標について商標権存続期間の更新登録出願をすることができる期間の前であることも明らかである。本願商標の商標登録出願を登録第一四五一二三号商標の商標権存続期間の更新登録出願と解する余地の有無について検討するまでもない。

右のとおりである以上、本願商標は商標法第四条第一項第一五号の規定に該当し、登録を受けることができないとした審決に誤りはない。

三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却することとする。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!