大判例

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東京高等裁判所 昭和54年(行ケ)66号 判決

事実及び理由

原告の請求の原因及び主張の一、二は、当事者間に争いがない。

審決(成立について争いのない甲第一号証)は、引用例には本件考案の必須の構成要件である

「1 回転成形ロールに対して、固定成形ロールが配設されていて、該固定成形ロールは上記回転成形ロールと相対する面に所望形状の団子を成形すべき団子成形溝を円周方向に設けている。

2 回転成形ロールと固定成形ロールとの配設位置については、一串量に分取した串団子素材の挾入部と取出部が設けてあつて、而も回転成形ロールの周面一部に一串量に分取した串団子素材に串を載置せる串団子の串が回動しうる間隙を配している。」

ことが記載されていないと認定している。

しかしながら、引用例(成立について争いのない甲第三号証)中の写真及び審決が引用した引用例中の記載、すなわち、「この機械は、一馬力のモーターで運転し、ホツパー(1)に米粉を練つて蒸した原料を入れると、内部のスクリユーがそれを練つて一定太さの軟かい棒材にして押出す。するとそれをカツターが一定の長さに切つて横走コンベアに乗せ、串箱(2)の下に送る。そこで串箱から串が一本落ちて棒材の上に乗り、棒材はそのまま前走コンベアに移つて回転溝輪(3)と成型樋(4)でできた成型部に送り込まれ、溝輪の一回転ごとに一串4個の串団子(5)がこのように前面に飛び出す」との部分を総合すると、引用例には、円周方向に四個の成型溝を成形した回転溝輪(本件考案の回転成形ロールに相当し、審決もこのことを認めている。)と、それに対応する四個の溝を形成した成型樋(本件考案の固定成形ロールに相当し、審決もこのことを認めている。)を配設し、回転溝輪の一回転ごとに一串四個の串団子を回転溝輪と成型樋との組合せによる成型部で成形して前面に飛出させることが記載されているものと認められるから、審決のいう本件考案の必須構成要件1は引用例に記載されているものというべきである。また、右のようにして串団子が製造される以上、引用例の機械においても回転溝輪と成型樋との配設位置については、一串量に分取した串団子素材の挾入部と取出部が設けられていること、回転溝輪の周面一部に一串量に分取した串団子素材に串を載置せる串団子の串が回動しうる間隙(この間隙は、串団子素材を回転溝輪で成形する際、素材の両端から突き出た串部分の通過場所であると認められる。)が配されていることは当然であるから、引用例には審決のいう本件考案の必須構成要件2も記載されているものと認められる。

審決は、引用例の説明事項は具体的な成型部の構造にふれていないし、その写真からは、回転溝輪に四個の溝が円周方向に設けてあることが理解できる程度であつて、成型樋はどのような構造なのか、回転溝輪と成型樋の配設位置はどのように形成されているのか、串が回動しうる間隙が存在するのか等は確認できないというが、本件考案の前記1、2の構成要件につき引用例とを対比する上では、引用例の機械につき前認定の記載で足り、それ以上の記載のあること又はその記載からその存在を類推せしめることは必要なく、引用例の写真も右記載を理解させる資料としては必ずしも不充分ではないものといわなければならない。

以上のとおり、審決は本件考案との対比において引用例の記載事項を誤つて認定したものであつて、この点で違法であり、これは審決の結論に影響を及ぼすと認められる。よつてこれを取消す。

〔編註〕本件考案の要旨は左のとおりである。

モーター等の駆動装置により駆動される回転成形ロールの周面一部に、一串量に分取した串団子素材に串を載置せる串団子の串が回動しうる間隙を配して串団子素材挾入部と串団子取出部を設けた固定成形ロールを配設すると共に両成形ロールの相対する面に亙つて回転により得られる所望形状の団子を成形すべき所望数の団子成形溝を円周方向に設けたことを特徴とする串団子製造装置。

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