東京高等裁判所 昭和55年(う)2188号 判決
関係証拠によれば、原判示のビニール小袋入りの麻薬一袋は、本件家宅捜索の際に被告人宅の一階洋寝室のベツト右角にあつた屑籠中から、銀紙に包まれた原判示のビニール小袋入り覚せい剤二袋と共に、脱脂綿に包まれて入つていたところを発見されたことが認められ、これに抵触する被告人の当公判廷における供述は措信できない。右事実によれば、右覚せい剤の不法所持の罪と本件麻薬の不法所持の罪とは、刑法五四条一項前段の一個の行為にして数個の罪名に触れる場合にあたるというべきであり、公訴を提起された罪と科刑上一罪となる事実について訴因変更(追加)によりこれを審判の対象となしうることは明らかであるから、原審が右後者の罪について訴因変更(追加)を許可し、かつ原判決が、これを科刑上の一罪として処断したことは、正当であつて、何ら違法な点はない。