東京高等裁判所 昭和55年(く)117号 決定
少年A
〔抄 録〕
記録を調べると、少年Aの年齢(生年月日)、本籍、住居が頭書のとおりであることは身上調査照会回答書、同少年の司法警察員に対する各供述調書等によって明らかであるが、原決定書のこれらの記載は、いずれも間違っていることが認められる。即ち、右少年は昭和三七年五月一五日生れであるのに原決定書はこれを昭和三八年五月一五日生と記載し、また原決定書記載の本籍、住居は、原決定の示す非行事実で共犯者とされている少年B(昭和三八年四月二六日生)の本籍、住居であることが認められる。
決定書に少年の年齢、住居及び本籍を記載すべきことは少年審判規則二条三項が特に規定しているところであって、これは右の事項が少年の特定のために必要であるのみならず、審判権の有無及び少年の処遇に重大な関係を有するからであると解される。原決定書の記載は、右規定の要件を充たしたものとは認められない。
そうして、原決定書の右記載及び記録中の少年調査票及び審判調書にも少年Aの年齢として右と同じ生年月日が記載されていることに徴すると、原裁判所は同少年が昭和三八年五月一五日生れであるとの認識の下に保護処分を決定したものと認めざるを得ない。また、原決定書に他の少年の本籍、住居が記載されていることは、原裁判所が本少年の非行事実及び要保護性に関しはたして個別的に検討したのかどうかについて疑いを抱かせるものと見られるのもやむをえないところである。そうしてみると、原決定書の前記瑕疵は、決定に影響を及ぼす法令の違反であるといわなければならない。
(藤野 小野 斎藤)