東京高等裁判所 昭和55年(ウ)395号 判決 1981年6月29日
債権者
甲野花子
右訴訟代理人
高橋正雄
債務者
甲野太郎
右訴訟代理人
斉藤一好
外二名
主文
原決定を認可する。
訴訟費用は債務者の負担とする。
事実《省略》
理由
債権者の申請の理由1の事実及び債権者、債務者間の婚姻関係が回復し得ない程に破綻していることは当事者間に争いがない。そして、本件疎明資料と弁論の全趣旨によれば、右破綻の原因は、債務者がかねて些細なことに立腹して債権者ら家族に対して暴力行為に及び、債権者が不貞の行為をなしているとのあらぬ疑をかけて、離婚請求訴訟を提起する等したことにあるものと、一応認められるのであり、右認定に副わぬ疎明資料は採用し難いものである。債権者が債務者を相手に離婚等を求めて訴訟を提起していることは当裁判所に顕著であり、債務者所有名義の本件土地建物の存することは当事者間に争いがなく、右の取得については、債権者が家事労働のほか主張のように共働きしたことによる債権者の寄与が多大であることが疎明されている。してみれば、債権者は、離婚に伴い、債務者に対し、相当額の財産分与を求め得るものというべく、疎明によれば、債務者が右土地を処分する等して、債権者の右財産分与請求権行使が妨げられる虞れも一応認められる。
よつて本件申請は認容すべきであるから、曩になした仮処分決定を認可することとし、民訴法八九条を適用の上、主文のとおり判決する。
(田中永司 宮崎啓一 岩井康倶)
物件目録<省略>