大判例

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東京高等裁判所 昭和55年(ネ)1323号 判決

1 先ず予備的請求の適否について判断する。

被控訴人正夫は控訴審における訴えの追加的変更は審級の利益を奪うものであるから許されないと主張するが、請求の基礎に変更がなく訴訟手続を著しく遅滞させない限り、控訴審においても新たな訴えを追加することが許されると解すべきであり、右の範囲で控訴審における訴の追加的変更を認めても、請求の基礎に関する部分について既に従来の請求に関し第一審の審理がなされているのであるから、新請求についても事実上第一審があったと同様であり、相手方に不当に不利益を蒙らせることにはならないから、これによって新請求につき審級の利益を失わせるものということはできない。

右被控訴人は、この点に関し、当審において追加された控訴人の新請求は請求の基礎において同一性を欠くとも主張する。そこで考えるに、控訴人は、原審において、(1)控訴人が被控訴人正夫との間に同人から本件一の土地を買受ける旨合意し、控訴人のために東京法務局練馬出張所昭和五〇年一一月七日受付第五八二七三号所有権移転請求権仮登記を経由した。(2)その後右仮登記は、解約を登記原因として右法務局出張所昭和五一年七月二八日受付第四四六一〇号をもって抹消登記された。(3)しかしながら、控訴人の右解約の意思表示は訴外須藤咲雄の強迫によるものであるから、これを取消す。(4)本件一の土地は、従来から控訴人がこれを占有し耕作してきたものであり、しかも控訴人宅の庭先に位置する土地であることからすれば、控訴人において容易にこれを手離す筈がない、等と主張し、被控訴人正夫に対し右仮登記の回復登記を請求していたものであるが、右請求が認容されない場合に備えて、当審において予備的請求として、同被控訴人との間において控訴人が本件一の土地につき耕作を目的とする賃借権を有することの確認を求める請求を追加したことは記録上明らかである。右事実によれば、控訴人の右第一審請求と当審における新請求とはいずれも同一土地についての権利主張であって、しかも第一審請求の原因を証する重要な間接事実として主張されたところは当審における新請求の原因事実と密接な関連があることからすれば、証拠調べを要する社会的事実もその相当部分において重なるということができるから、右両請求は請求の基礎を同じくするというべきである。また、本件審理の経過に照してみても、右新請求の審理のために特に訴訟の遅延を来たすべき事情があるとは認められない。

そうすると、控訴人の当審における予備的請求の追加を不適法とする右被控訴人の主張は採用できない。

(渡辺 藤原 渡辺)

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