東京高等裁判所 昭和55年(ネ)910号・昭55年(ネ)1271号 判決
控訴人らは、控訴人川出は訴外伸一から本件建物の所有権を取得した際本件(二)及び(三)の土地につき法定地上権を取得した旨主張している。
そこで、右主張の当否について判断するに、本件のごとく、仮登記担保契約に関する法律(昭和五三年六月二〇日公布、同五五年一〇月一日施行)の施行前に、一種の仮登記担保契約としての停止条件付代物弁済契約に基づき建物のみの所有権を取得した者がある場合において、一般的に民法第三八八条の類推適用があるか否かについても問題がないわけではないが、この問題はしばらく措き、これを肯定する見解に立ったとしても、本件の事実関係のもとにおいては、民法第三八八条を類推適用することはできないものというべきである。すなわち、右のような場合において民法第三八八条の類推適用を認めるためには、右停止条件付代物弁済契約の締結当時、土地と建物とが同一の所有者に属していたことを要するものといわなければならないところ、本件においては、当事者間に争いのない請求原因1及び3の事実からすれば、訴外伸一が控訴人川出と本件建物につき停止条件付代物弁済契約を締結した昭和四三年五月一五日当時、本件(二)及び(三)の土地は被控訴人ら及び訴外伸一の合計七名の共有であったのに対して、本件建物は訴外伸一の単独所有であったことが明らかであるから、右日時当時、右各土地と右建物とが同一の所有者に属していたとはいえないものと解すべきである。しかも、右日時当時、本件(二)及び(三)の土地については被控訴人一郎の名義で所有権取得登記がなされていたことは、当事者間に争いがなく、一方、その当時、本件建物は訴外伸一の名義で所有権保存登記がなされていたことは、前掲≪証拠≫によって明らかである。従って、右のような事実関係のもとにおいては、民法第三八八条を類推適用することはできないものというべきである。そして、右のような事実関係のもとにおいては、右停止条件付代物弁済契約締結の当時、訴外伸一が被控訴人らから本件(二)及び(三)の土地について本件建物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定を受けようとすれば、それは法律上不可能ではなかったのであるから、右のように解するとしても、そのために格別の不都合が生じるということはできない。
そうすると、控訴人らの右主張は、その余の点について判断するまでもなく、その理由がないというべきである。
(川上 奥村 橘)