大判例

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東京高等裁判所 昭和55年(ラ)1367号 決定

相手方らは、抗告人所有の不動産の仮差押えを申請し(東京地方裁判所昭和四八年(ヨ)第五八五一号事件)、同年九月一七日それぞれ金六六万円を保証として供託し、同月一八日仮差押決定(以下「本件仮差押決定」という。)を得たこと、本件仮差押決定の被保全権利は、株式会社靴進商事(以下「訴外会社」という。)が昭和四六年から昭和四八年八月末日までの間に相手方らから買受けた商品の買掛代金債務(相手方桑原につき金二二五万円、相手方小林につき金二四五万円)を抗告人が昭和四八年九月一一日保証したことに基づく債権であること、相手方らは、昭和四九年抗告人及び徳間直三郎を被告として、連帯して相手方桑原に金二二八万五八五〇円、相手方小林に金二六七万二〇〇〇円の支払を求める訴えを提起したこと(東京地方裁判所同年(ワ)第一一三八号事件)、右事件の訴訟物は、相手方桑原が訴外会社に対し昭和四八年三月一七日から同年八月一八日までの間に売渡した商品の売掛代金債権、相手方小林が訴外会社に対し昭和四七年四月から昭和四八年八月までの間に売渡した商品の売掛代金債権及び同年五月一八日貸付けた貸金債権が訴外会社の倒産(同年八月一五日)により回収不能となって相手方らが被った損害について、訴外会社の取締役であった抗告人及び代表取締役であった徳間が商法二六六条の三により負うべき損害賠償債務であること、右事件において抗告人に対する相手方らの請求はすべて認容され、抗告人の控訴、上告(最高裁判所昭和五三年(オ)第一一二二号)はいずれも棄却されて相手方ら勝訴の判決が確定したこと、以上のとおり認められる。

右によれば、本件仮差押決定の被保全権利と相手方らが本案訴訟であると主張する前記訴訟事件の訴訟物との間には同一性がないことが明らかであり、相手方らが右訴訟事件において勝訴判決を得、該判決が確定したからといって、そのことによって右被保全権利の存在が確定し、本件仮差押決定ないしその執行を原因として抗告人に損害賠償請求権が発生する可能性がなくなったものとはいえず、したがって、相手方らが供した本件保証につき民事訴訟法五一三条三項により準用される同法一一五条一項にいう担保の事由が止んだものと認めることはできない。

なお、記録によれば、抗告人は本件仮差押決定に対し異議を申し立て(東京地方裁判所昭和五一年(モ)第九二五六号事件)、同裁判所は、昭和五四年八月二三日、本件仮差押決定の被保全権利と前記訴訟事件の訴訟物とは請求の基礎に同一性を欠き、右決定については相手方らから本案訴訟の提起がないことに帰するとの理由により右決定を取り消し、相手方らの仮差押申請を却下する旨の判決をし、右決定に基づく仮差押登記の抹消がなされ、その後相手方らの控訴取下により右判決が確定していることが認められるが、右事実は、本件保証供与の必要性を直ちに消滅させるものでないことは明らかである。

(小林 浦野 河本)

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