東京高等裁判所 昭和55年(ラ)183号 決定
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【判旨】
不動産任意競売事件において、利害関係人が競落許可決定に対し即時抗告をすることができるのは、同決定によつて損失をこうむるべき場合でなければならない(競売法第三二条第二項・民事訴訟法第六八〇条第一項)。これを本件についてみるに、記録によれば、抗告人は、本件各根抵当権の実行による競売を申し立てた者であるが、本件競落許可決定(以下「原決定」という。)による競買価額では、自己の被担保債権全額の優先弁済を受けるにいたらないことが算数上明らかであるから、抗告人に本件抗告の利益が認められるのは、本件競売にかかる各不動産につき、抗告人主張のごとく分別して競売したならば、原決定が許した一括競売の場合よりも高価に売却することができ、それに応じて抗告人の受領すべき優先弁済額の増加も期待できる場合でなければならない。ところが、記録を精査しても、抗告人に右説示の事情があるとは認められないから、本件抗告は、その利益を欠く不適法なものというべきである。
(沖野威 奥村長生 佐藤邦夫)