東京高等裁判所 昭和55年(ラ)330号 決定
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【判旨】
本件抗告の趣旨は「原決定を取消すとの裁判を求める。」というのであり、抗告の理由は別紙即時抗告の申立書記載のとおりである。
よつて検討するに、本件記録によれば、本件競売の対象物件である別紙物件目録(一)ないし(三)<省略>記載の各物件は最低競売価額を三五五〇万一〇〇〇円、同一競買人に限り競買を許すと定めて競売に付され、抗告人は昭和五五年三月一九日の競売期日において最高価競買人として右各物件を一括して買受ける旨申出、同月二四日の競落期日において原裁判所より本件競落許可決定の言渡を受けたこと、しかるに別紙物件目録(三)記載の物件(以下本件建物という。)については、その敷地である同目録(二)記載の物件の所有者である株式会社ハイツ曽谷を原告とし、本件債務者兼本件建物所有者である日特金属株式会社らを被告とする千葉地方裁判所昭和五四年(ワ)第二七三号建物収去土地明渡請求事件において昭和五四年一二月一四日その収去を命ずる判決が言渡され、右判決は同月二八日確定したことが認められる。
従つて株式会社ハイツ曽谷は前記敷地である別紙物件目録(二)記載の土地の所有権を失うまでは何時にても本件建物の収去を求めうることになり、競落人である抗告人が右建物の所有権を取得しえなくなる可能性がないわけではない。しかしながら一方抗告人は、本件競落許可決定の確定及び競落代金の納付により別紙物件目録(一)ないし(三)記載の各物件の所有権を取得することになるのであるから右所有権の取得に至るまでの間に前記株式会社ハイツ曽谷あるいは日特金属株式会社が本件建物を収去しない限り抗告人は右各物件の所有権を完全に取得することができ、その場合には本件建物の収去を阻止し得ることになるから、何らの損害も蒙るものではない(現に本件記録を精査するも今日に至るまで本件建物が収去された形跡は窺えない。)。
従つて抗告人の主張はいずれも理由がなく、その他本件記録を精査するも本件競落許可決定を取消すにたる事由は存しない。
よつて本件抗告を棄却することとし、主文のとおり決定する。
(川上泉 賀集唱 福井厚士)