大判例

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東京高等裁判所 昭和55年(行ケ)226号 判決

請求の原因四の事実も当事者間に争いがなく、これによると、本件審決が、第四引用例における「二糖類S」はその製造過程からみて、マルトースの水素添加生成物、すなわちマルチトールであると認定したことは誤りであるといわなければならない。

すなわち、第四引用例の記載によれば、右「二糖類S」が澱粉水解物の水素添加によつて得られる新しい炭水化物材料物質Sからの二糖類画分であると解されるけれども、第四引用例には澱粉の水解方法が記載されておらず、右の澱粉水解物がマルトースであると断定すべき記載のないこと、したがつて、同引用例にいう「二糖類S」をマルトースの水素添加物であると断定することもできないことは、当事者間に争いがないところであるから、審決の右認定は誤りとせざるをえない。

してみると、右の誤認を前提として、第四引用例には、マルトースを水素添加して得られるマルチトールが小腸において吸収され難いことが開示されているものとし、したがつて、マルトースを水素添加して得られるマルチトールを飲食物に添加した場合飲食物のカロリーを増強しないという効果は、第四引用例の記載にもとづいて当業者の容易に予測できたところであつて、本件発明は第一引用例に開示された発明及び第四引用例に開示された事項にもとづいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとした本件審決の認定判断もまた早計であつて、誤認に出たものというべく、本件審決は、右誤認によつて結論を誤つた違法なものといわざるをえない。

よつて、本件審決の取消を求める原告の本訴請求を正当として認容することとする。

〔編註〕 本件発明の要旨は左のとおりである。

飲食物に対しカロリーを増強することなく甘味を与えるために純マルトースに水素添加して得られるマルチトールを添加することを特徴とする飲食物の製造方法。

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