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東京高等裁判所 昭和55年(行ケ)42号 判決 1980年12月23日

原告

帝都ゴム製造株式会社

被告

三豊ゴム株式会社

上記当事者間の昭和55年(行ケ)第42号審決取消請求事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

特許庁が昭和55年1月8日、同庁昭和50年審判第872号事件についてした審決を取消す。

訴訟費用は、被告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、主文同旨の判決を求め、その請求の原因として、次のとおり述べた。

原告は、名称を「扉、窓等の気密パツキン」とする第1035563号登録実用新案(昭和41年9月9日出願、同46年2月10日出願公告、同49年4月6日登録)の実用新案権者であるが、被告は昭和50年2月8日原告を被請求人として上記登録実用新案の登録無効審判を請求し(特許庁昭和50年審判第872号)、特許庁は昭和54年11月13日付で上記事件につき原、被告に審理の終結を通知し、昭和55年1月8日上記実用新案登録は実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反して与えられたものであるとして上記登録を無効とする旨の審決をし、その謄本は同年1月30日原告に送達された。しかしながら、原、被告間では前記審理終結通知前において、代理人を介せず直接示談交渉され、昭和54年10月9日には、原告は本件登録実用新案を被告に無償で実施せしめ、被告は無効審判請求を取下げる旨の和解が成立したが、原告代理人がその旨の報告を受けたときは、既に被告に審理終結の通知がされていたため、審判請求の取下げは不能となり(実用新案法第41条、特許法第155条第1項)、間もなく本件審決がされるに至つたものである。上記の次第で、本件審決時には被告は本件実用新案登録無効審判請求をする利益を有せず、審判請求人としての適格を有しなかつたものであるから、その審判請求についてされた本件審決は違法であつて取消されるべきである。

被告訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は、原告の負担とする。」との判決を求め、原告の請求原因事実は全て認めると述べた。

理由

原告主張の請求原因事実は、被告の全てこれを認めるところである。上記事実によれば、被告の本件登録実用新案無効の審判請求は、不適法却下の審決をすべきであつたにもかかわらず、本件審決は本案について審理し、登録実用新案を無効としたものであるから、違法であり取消を免れない。よつてこれを取消し、訴訟費用は敗訴の当事者である被告の負担とすることとして、主文のとおり判決する。

(杉本良吉 高林克巳 楠賢二)

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