東京高等裁判所 昭和55年(行コ)27号 判決 1981年10月14日
東京都調布市東つつじケ丘二丁目二七番一号
控訴人
佐藤栄子
右訴訟代理人弁護士
宮崎佐一郎
静岡県三島市一番町二番二九号
被控訴人
三島税務署長
大野敏夫
右指定代理人
同
櫻井登美雄
同
池田準治郎
同
北川拓
大西信之
右当事者間の昭和五五年(行コ)第二七号贈与税更正処分等取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和四九年四月四日付で控訴人及び亡佐藤長に対し、それぞれ昭和四六年分贈与税につき贈与税額金五一三、〇〇〇円とした更正処分及び過少申告加算税額金二五、六〇〇円とした賦課決定処分は、いずれもこれを取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の主張及び証拠の関係は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。但し、原判決三枚目裏六行目の「一〇月一三日」を「一〇月一二日」と同八行目の「昭和二三年」を「昭和三三年」と訂正する。
一 控訴人の主張
控訴人は本件贈与契約の成立の時期につき、従前の主張に加えて左のとおり主張する。
1 前述の昭和二三年八月三一日付ベック書簡に対し、控訴人及び長は両者の共有にしたき旨を述べ両名の委任状を送付した。右委任状がベックに到達した時点において贈与契約が成立した。
2 仮にそうでないとしても、長とその長女久子が本件不動産を見るため鎌倉に赴いた際、ベックから口頭で贈与の意思表示がなされ、長は控訴人らがそれを受諾する旨意思表示をしたから、この時点で贈与契約が成立した。
3 仮にそうでないとしても、控訴人らが本件建物に入居した同年一一月二〇日又は住民登録に転入届出をした同月二一日までには、控訴人らはベックの贈与申出を受諾した。
二 被控訴人の認否
控訴人の右主張はいずれも争う。
三 控訴人は、控訴本人尋問の結果を援用し、乙第二一号証の原本の存在と成立は認めると述べた。被控訴人は乙第二一号証を提出した。
理由
当裁判所は当審における証拠調の結果を参酌してみても、控訴人の本訴請求は失当としてこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、左記のとおり付加するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。
控訴人は、控訴人らがベックから本件不動産の贈与を受けた時期について、前記「控訴人主張」欄記載のとおり追加主張するけれども、当裁判所は、本判決の引用する原判決理由二2(一)(2)に説示したところ(原判決二一枚目裏八行目から同二二枚目裏九行目まで)と同一の理由により右主張はいずれも採用できないものと判断する。
よって、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は正当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担について民訴法九五条八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 渡辺忠之 裁判官 藤原康志 裁判官 渡辺剛男)