大判例

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東京高等裁判所 昭和55年(行ス)6号 決定

景表法第一一条第二項がいわゆる裁決主義(取消訴訟において、立法上、訴訟の対象を裁決に限定する主義。ここに裁決とは、行訴法第三条第三項にいう広義の裁決をいい、以下裁決というときは右同様とする。)をとっていることは、文言上も明らかであって、これがいわゆる裁決前置主義を規定したものと解する余地はない。

かりに、抗告理由が、右明文による裁決主義自体を憲法第三二条に違反して無効であるというにあるとしても、これをたやすく肯認することはできない。蓋し、公正競争規約の認定処分に関しては、右のとおり、裁決主義をとる結果、審決に対してしか訴えを提起し得ないことになるにしても、これによって右認定処分の適否についても併わせて裁判所の裁判を受ける機会が保障されているのであるから、裁判を受ける権利が奪われているということはできないのみならず、もともと憲法第七六条第二項は、行政機関は終審として裁判を行うことができないとしたほかは、裁決を経ることを裁判所に対する訴訟提起の前提とするか否か、裁判所に対する訴訟提起の際にその対象を裁決に限定するか否かは、法律の定めるところに一任しているものと解すべきである(最高裁判所昭和二六年八月一日大法廷判決、民集五巻九号四八九頁参照)から、裁決主義をとるか否かは、憲法のわく内における立法政策の問題にすぎないというべきであるからである。なお、行政機関の行う裁決手続に付随した執行停止の制度を設けるか否かも亦右同様、法律の定めるところに一任された立法政策の問題であるから、行政機関の行う裁決手続に付随して執行停止の制度が設けられているか否かによって裁決主義の合憲性が左右されるいわれはない。よって抗告理由の違憲の主張は理由がない。もっとも裁決前置主義の緩和規定である行訴法第八条第二項の立法趣旨(それは、裁決前置主義を採ることによって、裁判所による国民の権利救済が後退するのを防止するに在る。)と裁決前置主義も裁決主義も、ともに裁決のない限り、裁判所に出訴することができないという点では全く同一であることを合わせ考えると、裁決主義の場合においても、審査請求(行訴法第三条第三項にいう広義の審査請求をいい、以下、審査請求というときは、右同様とする。)をした者が行訴法第八条第二項を準用して出訴することの可否が当然に問題になるが、少なくとも景表法第一一条第二項所定の裁決主義に関する限り、同法第一〇条第六項、第一一条第二項、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第八五条第一号その他の関係諸規定の趣旨にかんがみると、景表法第一〇条第六項による不服申立てをした者が、同条第二項による相手方の認定処分にかかる公正競争規約の施行によって生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要がある場合に、行訴法第八条第二項第二号を準用して相手方において却下審決をしたものとみなしてその取消しの訴えを提起することができるか否かは格別、右の者が同法同条同項を準用して、裁決がないのに右認定処分の取消しの訴えを提起することはできないものと解せざるを得ない。

(宮崎 高野 石井)

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