大判例

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東京高等裁判所 昭和56年(う)1450号 判決

被告人 Y

〔抄 録〕

原審第二回公判期日において、検察官が取調請求をした証拠書類のうち、所論指摘の各部分については、弁護人が証拠とすることに同意しなかったため、当該各部分の取調請求が撤回され、同意部分のみが取り調べられたが、不同意部分を覆う等の措置がとられないまま、右関係各証拠書類が提出されたことは、所論のとおりである。右各証拠書類の同意、不同意の各部分は、物理的には不可分のものであるから、不同意部分を覆うか、同意部分を抄本として提出することが望ましいことであろうが、かかる措置をとるべきことは、法の要求するところではないのみならず、事実の認定は、非法曹の陪審員がするのではなく、職業的裁判官が証拠法則に従って行なうのであるから、たとえ不同意部分が裁判官の目に触れたとしても、その一事をもって、証拠能力のある、適法な証拠調を経た証拠による事実認定及び量刑に影響を及ぼす虞があると即断することはできない。のみならず、原判決は、証拠の標目として挙示した証拠中、所論指摘の部分については、罪となるべき事実認定の証拠から除外したことを明らかにしているから、刑訴法三二一条一項、憲法三七条二項、三一条に違反したところはないといわなければならず、また、所論にかんがみ、記録を精査しても、原審が右不同意部分を量刑の資料とした証跡は認められないから、原審の訴訟手続に法令違反があると主張する所論は採用しがたい。

(船田 櫛淵 門馬)

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