大判例

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東京高等裁判所 昭和56年(う)1885号 判決

被告人 田中勇三郎

〔抄 録〕

論旨は、要するに、自己使用の目的による少量の大麻の所持は、大麻取締法二四条の二第一号所定の大麻の所持には該当しないものと解すべきであり、これまで同号による処罰の対象に含まれると解釈するのは、同号の解釈を誤るものであるのみならず、憲法一三条、三一条に違反することとなる、というのである。

しかし、同号は所持の目的、数量を何ら限定していないのであるから、これを所論の如く狭く解すべきであると言うのは、独自の見解と言わざるを得ない。のみならず、ことを実質的に考えても、大麻の有害性は、これを使用することによって初めて現実のものとなるのである。大麻の栽培、輸出入、譲り渡し、譲り受け、所持は、究極において大麻の使用につながるものであって、それ自体では、国民の保険衛生に対する危険を生ずるに止まるものである(もとより、多数当事者への拡散防止の見地から、たとえ危険に止まるとしても、これらの行為の違法性が軽減されるべきいわれはないが、そのことは別論である。)。そうだとすれば、自己使用目的による所持は、究極において使用につながるべきこれら一連の行為のうちでは、使用すなわち実害発生との間において最短距離に位置するものと評価すべきであり、ことさらにその違法性を低く評価し、処罰対象から排除すべきであるとする根拠は何ら見出し得ない。また、これを処罰対象とした場合の法定刑(五年以下の懲役)も、その下限をも考慮すれば妥当なものと言うことができ、罪刑均衡を失するものとも認められない。

叙上の次第であるから、自己使用の目的による少量の大麻の所持であっても、大麻取締法二四条の二第一号所定の大麻の所持に該当するものと解すべきであり、かく解することは、何ら憲法一三条、三一条に違反するものではない。

(草場 半谷 須藤)

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