東京高等裁判所 昭和56年(ツ)66号 判決
公衆電気通信法第三八条第三項は、「電話加入権の譲渡があったときは、譲受人は、加入電話加入者の有していた一切の権利及び義務を承継する。」と規定しているところ、電話加入権は加入電話加入者(以下「加入者」という。)が日本電信電話公社(以下「公社」という。)との間で締結する加入電話加入契約(以下「加入契約」という。)に基づいて取得する権利であるから、同条項にいう電話加入権の譲渡があったとき譲受人が承継すべき「加入電話加入者の有していた一切の権利及び義務」とは、加入者と公社との間の加入契約の内容を構成する権利及び義務を指すものと解するのが相当である。そして、国際通話の対価である国際通話料金を被上告人に支払うべき加入者の義務は、そのつど加入者と被上告人との間に成立する国際電気通信役務の提供に関する別個の契約に基づくものであって、加入って者と公社との間の加入契約の内容を構成する義務には属さないものというべきであるから、電話加入権の譲渡があも、国際通話料金支払義務は譲受人に承継されず、譲渡人は右支払義務を免れることができないものと解すべきである。右と同旨の原審の判断(同法第四二条と第四三条とを対比すると、公社は加入者の国際通話料金の不払を理由に加入契約を解除することはできないものと解されるとした判断も含む。)は、正当としてこれを是認することができ、原判決に所論の違法はない。
(小林 浦野 河本)