東京高等裁判所 昭和56年(ネ)1117号 判決 1981年10月12日
控訴人 宗教法人福助家洋品店
右代表者主管者 名倉清一
<ほか一名>
被控訴人 有岡敬文
<ほか一名>
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は、控訴人の負担とする。
事実
控訴人は、「原判決を取消す。本件を静岡地方裁判所に差し戻す(控訴状に「移送する。」とあるのは、「差し戻す。」の誤記と認める。)。」との判決を求めた。
控訴人の主張は、別紙「控訴の理由」のほか、原判決の事実摘示と同一であるので、ここにこれを引用する。
理由
一 記録によれば、控訴人が本訴において偽造であることの確認を求める原判決添付(一)、(二)の文書(以下「本件各文書」という。)は、いずれも名倉清一及び名倉さとと弁護士有岡政治郎との間で締結された契約書であって控訴人を契約当事者とするものではなく、又、控訴人が本件各文書が偽造であることが確認されれば、判決の取消しを求めうると主張する各事件についても、控訴人は、いずれも訴訟当事者ではないことが認められ、右認定に反する証拠はないから、控訴人は、本件各文書の偽造確認を求める利益を有するものではない。したがって、本訴は、不適法というほかなく、その欠缺は、補正できないから本件訴を却下した原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。なお、不適法な訴を却下した原判決を相当として控訴を棄却する判決をなすには、口頭弁論を経ることを要しないと解する(東京高裁昭和三七年(ネ)第二三一五号、同三八年二月二七日判決、高民集一六巻三号一四七頁参照)。
よって、民事訴訟法第二〇二条、第三八四条、第九五条、第八九条に従い、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 鰍澤健三 裁判官 野崎幸雄 佐藤邦夫)
<以下省略>