東京高等裁判所 昭和56年(ネ)811号 判決
控訴人の慰藉料請求の点について判断するに、さきに認定の事実からすれば、控訴人が被控訴人との婚姻生活を通じて被控訴人のために多くの精神的な苦痛を受けたであろうことは容易に推認できるけれでも、前述したとおり、二人の婚姻関係が破綻した主要な原因は被控訴人の特異な性格にあるのであって、被控訴人がことさら控訴人との夫婦としての共同生活関係を破壊しようとしたとか、控訴人を虐待したというのとは趣きが異なるのであるから、婚姻関係破綻の主たる原因が被控訴人の側にあるからといって、直ちに慰藉料を請求し得るものではなく、その他さきに認定した本件における諸般の事情を考慮してみても、被控訴人が控訴人との婚姻関係を破綻させるにつき不法行為に基づく慰藉料支払いの責任があるとまでいうことはできない(なお、本件当事者の離婚に伴う婚姻中の夫婦間の実質的共同財産の清算などを意味する財産分与の請求の是非は問題となる余地がないではないが、控訴人は当審ではこれを附帯請求しないので、当裁判所はこの点について判断をしない。
(岡垣 磯部 大塚)