東京高等裁判所 昭和56年(秩ほ)7号 判決
法廷等の秩序維持に関する法律(以下法秩法という)によつて裁判所に属する権限は、直接憲法の精神すなわち司法の使命とその正常適正な運営の必要に由来するもので、本来司法に内在する権限であり、法秩法による制裁(同法二条による監置決定及びそのための保全処置である同法三条二項による行為者の拘束等)は、従来の刑事的・行政的処罰のいずれの範疇にも属しないところの同法によつて設定された特殊の処罰であつて、裁判所又は裁判官の面前その他直接に知ることができる場所における現行犯的行為に対し、当該裁判所又は裁判官自体によつて適用されるものであるから、この場合においては令状の発付、勾留理由の開示、訴追、弁護人依頼権等刑事裁判に関し憲法の要求する諸手続の適用が排除されるものと解すべきであり(最高裁判所昭和三三年一〇月一五日大法廷決定・刑集一二巻一四号三二九一頁、同裁判所昭和三四年四月九日第一小法廷判決・刑集一三巻四号四四二頁参照)、また右制裁を科する裁判の手続については必ずしもこれを公開の法廷ですることを必要としないものというべきである(同裁判所昭和三五年九月二一日第一小法廷決定・判例時報二三八号七頁参照)。したがつて、法秩法が憲法三一条、三三条、三四条、三七条、八二条に違反すると主張する論旨はいずれも理由がない。