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東京高等裁判所 昭和56年(行ケ)152号 判決

1 請求の原因1ないし3の事実は、当事者間に争いがない。

2 そこで、原告主張の審決の取消事由の存否について判断する。

(一)(1) 本願発明の検知層は、活性化された蛍光体から成る真空蒸着層で形成されるものであつて、該真空蒸着層は多結晶質であり、かつ結晶塊の密度にほぼ等しい密度を有するものであるのに対し、第一引用例記載の発明の検知層は、蛍光材料の無定形層である真空蒸着層を熱処理によつて活性化及び結晶化して形成されたものであることは、当事者間に争いがない。

原告は、右の事実を理由に、審決が、両発明は、蛍光スクリーンの検知層を活性化された蛍光体から成る真空蒸着層で形成すること、及び真空蒸着層は多結晶質であり、かつ結晶塊の密度にほぼ等しい密度を有することで一致すると判断したのは誤りであると主張する。

なるほど、本願発明の検知層と第一引用例記載の発明の検知層について、蛍光材料の真空蒸着によつて得られる層そのものを対比すると、本願発明に係るものは活性化された蛍光体から成り、多結晶質であり、かつ結晶塊の密度にほぼ等しい密度を有するのに対し、第一引用例記載の発明に係るものは無定形(非結晶)であり、活性化されてない点において、両発明は相違していることは明らかである。

しかしながら、本願発明は、上述のような真空蒸着層そのものを要旨とするものではなく、真空容器手段内に配置したX線検知層が活性化された蛍光体であるヨウ化セシウムから成る真空蒸着層を含み、その活性化されたヨウ化セシウムの密度は、その結晶塊の密度にほぼ等しく、多結晶質であることを要旨としているものであるから、本願発明を第一引用例記載の発明と対比する場合においても、右に本願発明の要旨として摘記した構成のものとして対比しなければならないことは当然である。

ところで、成立に争いのない甲第五号証によれば、第一引用例記載の発明は、透明発光スクリーンの調製方法に関する発明であつて、右発明は、透明発光スクリーンを得るため、蛍光材料である亜鉛カドミウム、スルフオセレン化物を適当な基体上に真空蒸着することによつて、第一の透明結晶薄層が調製され(この第一層は完成される蛍光体の基体への良好な物理的結合を可能にするという役割を果すだけのものである。)、この第一層が作られた後に、その上に第二の無定形層が真空蒸着され、このような二段階の真空蒸着処理の後に、その上に蛍光体を有するに至つた基体が取り出され、適当な雰囲気内で熱処理がなされ、前記第二層の適当量の結晶化及び活性化が得られるまでこの熱処理が続けられることを特徴としているものと認められる。

このように、第一引用例記載の発明においては、真空蒸着された段階における第二層そのものは蛍光材料の無定形層であつても、これを熱処理により活性化及び結晶化するものであるから、当該熱処理がなされた後のものについてみれば、真空容器手段内に配置した検知層が活性化された蛍光体(ただし、使用する蛍光材料は亜鉛カドミウム、スルフオセレン化物であつて、本願発明のヨウ化セシウムと相違するが、両発明の右相違点に関しては、後記(二)において判断する。)の真空蒸着層で形成されているものということができ、この点において本願発明と一致している。

のみならず、第一引用例記載の発明において、このような処理によつて結晶化された真空蒸着層は単結晶であることは技術的に考えられないから、多結晶とみるのが相当であり(成立に争いのない甲第一一号証((ウイリアム・イー・スパイサーの宣誓供述書))には、第一引用例記載の発明における真空蒸着層は、光学特性においては単結晶の特性を有するものと推定する趣旨の記載((第一九項))が認められるが、その根拠は明確でなく、右認定を左右するに足りない。)、また、金属が通常実用に供される「結晶塊」(バルク)の状態は、微小な、無秩序な方位をもつ結晶の集合体、すなわち多結晶の状態であることは技術常識であるから、第一引用例記載の発明の蛍光材料の結晶化された真空蒸着層の密度は、その結晶塊の密度にほぼ等しいものと認められ、この点においても本願発明と一致するものということができる。

したがつて、両発明は、検知層を活性化された蛍光体から成る真空蒸着層で形成すること、該真空蒸着層は、多結晶質であり、かつ結晶塊の密度にほぼ等しい密度を有することで一致するとした審決の判断には誤りはない。

(2) 原告は、第一引用例記載の発明は、陰極線管に関するものであつて、本願発明のような医学用のX線映像増強管に関するものではないことを前提として、本願発明とは真空蒸着層の構成及び作用効果を異にする旨主張する。

しかしながら、前掲甲第五号証によれば、第一引用例に、「第二付着蛍光体層の厚さは一ミクロンないし一〇〇ミクロンの厚さ又は任意所望のより大きい厚さで変化し、そしてそれはその層が続いて受けるべき刺戟に従つて選択される。このようにして例えば蛍光体スクリーンが一〇キロボルトの電子によつて刺戟されるのであれば、約二・四ミクロンの厚さを有することが望ましい。他方蛍光体がX線によつて刺戟されるのであれば、約一〇〇ミクロンの厚さが望ましい。約一五〇〇度cの蒸発温度及び二五度cの基体温度において、蛍光体が毎分約〇・二五ミクロンの速さで基体8上に付着される。」(第五欄第六五行ないし第六欄第二行)と記載されていることが認められ、これによれば、第一引用例記載の発明は、テレビジヨン受像管に利用されるような陰極線管スクリーンに関するもののほか、X線スクリーンに関するものでもあることが明らかであり(成立に争いのない甲第一〇号証((米国国際貿易委員会の行政法判事の判定書))には、第一引用例中には、X線映像増強管についての開示はないとの記載((ⅡX線映像増強管の歴史第一四四項・第一四六項))があるが、そうであつても、第一引用例はX線検知層について開示しており、このようなX線検知層がX線映像増強管の検知層としての用途をもつことは技術常識であるから、このことから、両発明が相違するということはできない。)、原告の主張は、前提において誤りがある。

しかも、第一引用例の右記載事項によれば、第一引用例記載の発明における真空蒸着第二層の厚さは、一ミクロンないし一〇〇ミクロンの厚さ又は任意所望のより大きい厚さが選択されうるものであつて、電子線検知層の場合の二・四ミクロンに比して充分な厚さを有するものであるが、他方において、原告が認めているように光が密度の高い蛍光層の中ではあらゆる方向に拡散してしまい、それがためX線映像管の解像度が低くなつてしまうことが当業者の技術常識であつたのであるから(事実摘示第二4(二)(2)(ハ)参照)、真空蒸着層が厚いとますますその程度を強め、分解能が低下することは、右技術常識からしても充分に予測できるところであり、したがつて、第一引用例に開示された前記蒸着層の厚さは当然この点を配慮して採択されたものとみるべきであり、これが分解能を低下させるほど厚いものとは到底考えられないから(前掲甲第一一号証中には、厚さ一〇〇ミクロンではX線映像増強管にとつては容認しえない程度の強度及び分解能の損失を生ぜしめる旨の記載((第一九項))があるが、この所見は採用しない。)、結局この層の厚さは、変換効率を考慮して充分厚く、しかも分解能を考慮して、充分な程度に薄いものとみるのが相当であつて、この点に関し、原告が本願発明によつて目指している作用効果と異なるところがないといわなければならない(ちなみに、成立に争いのない甲第三号証及び第四号証の一によれば、真空蒸着層の厚さについては、本願発明の明細書には、発明の詳細な説明中に、実施例として、「所望の厚さ、例えばX線映像増強用としては〇・〇二五cm((中略))の厚さの層が形成される。」((本願発明の特許公報第六欄第一五行ないし第一八行))と記載されているのみで数量的な限定はない。)。

したがつて、第一引用例記載の発明はX線蛍光スクリーンに関するものであつて、この点において本願発明と一致しているとした審決の判断には誤りはなく、両発明の検知層の構成及び作用効果が相違しているとする原告の主張は理由がない。

なお、付言するに、原告は、本願発明と第一引用例記載の発明との各検知層の製法上の相違について主張し、第一引用例記載の発明においては、無定形層を真空蒸着した後に加熱することは必要不可欠な工程であるのに対し、本願発明においては真空蒸着した後に焼なまし(アニール)することは「好ましくは」加えられる工程にすぎず、両発明の工程における過熱の役割は、化学的にも結晶学的にも全く違う作用を行つているものである旨主張する(昭和六〇年一月二二日付準備書面((第九回))第一の一1第二段参照)。

前掲甲第三号証及び第四号証の一によれば、本願発明の明細書の発明の詳細な説明中に記載された真空蒸着の方法は、<1> 活性化されたヨウ化セシウムを真空蒸着する、<2> ヨウ化セシウムを真空蒸着すると同時に活性化のための処理をする、<3> ヨウ化セシウムを真空蒸着した後に活性化のための熱処理をする、<4> 前記三つの方法において加熱したるつぼから蒸発させる代りにフラツシユ蒸発させる方法であり、これを前記(1)において認定した第一引用例記載の発明における方法と対比すると、<1>、<2>は、第一引用例記載の発明と明らかに相違し、また<3>も、本願発明では真空蒸着した層はすでに結晶化された層であるのに対し、第一引用例記載の発明では無定形層であるから、真空蒸着後の活性化のための処理といつても相違があると認められる(<4>は蒸発方法の違いだけであるから、別個に取り上げる必要はない。)。

しかしながら、もとより本願発明は検知層の製法の発明を要旨とするものではなく、あくまでもその結果得られる検知層そのものを要旨とするものであるから、右のような製法に相違があり、したがつて両発明の検知層の製造工程における過熱の役割に原告主張のような作用上の相違があるとしても、完成した検知層そのものに差異がないこと前記(1)のとおりである以上、本願発明と第一引用例記載の発明の検知層の構成及び作用効果が相違しているということはできない。

(二)(1) 原告は、審決が本願発明と第一引用例記載の発明との相違点を判断するに当たり、ヨウ化セシウムの真空蒸着層が亜鉛カドミウム、スルフオセレン化物の真空蒸着層と同様に、<1> 真空蒸着層であることの特徴(高密度)と、<2> ヨウ化セシウムを蛍光材料に用いたことの特徴(高感度)とを兼備することは当然に予測できたとするのは誤りである旨主張する。

しかしながら、<1>については、原告の主張は、無定形層である第一引用例記載の亜鉛カドミウム、スルフオセレン化物の真空蒸着層と、多結晶で結晶塊にほぼ等しい密度を有する本願発明のヨウ化セシウムから成る真空蒸着層とを比較して、両者の密度には明らかな差異があることを理由とするものであるが、審決のいう「亜鉛カドミウム、スルフオセレン化物の真空蒸着層」は、審決がそれを本願発明のヨウ化セシウムから成る真空蒸着層と対比判断しているところからみて、この真空蒸着層に対応するもの、すなわち第一引用例記載の発明における活性化され結晶化された真空蒸着層を指称したものとみるのが相当であるところ、その真空蒸着層は本願発明と同様高密度であることは前記(一)(1)のとおりであるから、これに反する前提に立脚する原告の主張は理由がない。

また、<2>については、原告の主張は、第二引用例は単に計算上ヨウ化セシウムが他の材料に比べてよいX線吸収材であることを示しているにすぎず、しかもそれはヨウ化セシウムが単結晶であると想定して得られたものであるから、第二引用例からはヨウ化セシウムが真空蒸着層として利用でき、更にそれが第二引用例のFig7に示す特性を維持できるかどうか明らかでないことを理由としているのであり、確かに、前掲甲第一一号証中には、第二引用例中の論述がヨウ化セシウムの優越性を立証したものとして受け入れられるとしても、X線映像増強管のスクリーン(検知層)を如何にして作ることができるかを示唆するものではない(第二〇項)と記載されており、更に成立に争いのない甲第九号証の一(ミツシエル エム テエルーポゴシアンの宣誓供述書)には、第二引用例には、ヨウ化セシウムの蒸着による沈着及びX線映像増強管の製造方法について何も述べていない(第二一項)と記載されていることが認められる。

しかしながら、成立に争いのない甲第六号証によれば、第二引用例は、「医用透視検査及び放射線写真のための単色X線」と題する技術論文であつて、その記述からはヨウ化セシウムがどのようにして生成されたものであるかは明らかではないが、第二引用例には、患者を透過したX線はすべてX線スクリーン(検知層)で効果的に吸収されるものではなく、X線吸収はスクリーンを構成する蛍光体の組成のみならずその層の厚さにも依存すること(七三頁左欄第三四行ないし第三九行)、ヨウ化セシウムが他の蛍光材料に比べてよいX線吸収材であることを明らかにする実験結果がFig7に図示されていることが認められる。しかも、成立に争いのない乙第一号証によれば、周知例には、真空容器手段内に透明発光スクリーンを作るという意味では本願発明と相違のない陰極線映像管において、ハロゲン化アルカリ例えばヨウ化セシウムを用いて真空蒸着層を形成することにより高効率の蒸着発光膜を作ることができる(第一頁左欄第七行ないし第二九行)と記載されていることが認められ、周知例は本願発明の優先権主張日の三年余前に日本国内において頒布されていた特許公報であるから、右記載事項は本願発明の優先権主張日当時すでに周知であつたというべきであつて、この周知技術の示唆のもとに第二引用例を理解するならば、第一引用例記載の発明における亜鉛カドミウム、スルフオセレン化物から成る真空蒸着層を、X線吸収特性の良好なヨウ化セシウムから成る真空蒸着層に置き換え、改良された変換効率を得るようにすることは、当業者が容易に想到しえたものとするのが相当である。原告は、その際、真空蒸着したヨウ化セシウムの特性が第二引用例のFig7に示す特性を維持するかどうか明らかでないと主張するが、少なくとも第二引用例に用いられるヨウ化セシウムは、単結晶のものであるとしても、その目的及び第二引用例の記述内容に照らし、真空蒸着と同程度の熱処理はされているものと認められるから、その特性を大巾に変えるほど大きな影響があるとは認めることができない。してみれば、前記<2>に関する原告主張の諸点が、当業者において、X線吸収特性の良好な材料としてヨウ化セシウムを選択し、これを前記周知例記載の周知技術の示唆のもとに、第一引用例記載の発明の蛍光体に代えて真空蒸着層を作るのに用い、高感度の検知層を得ることに想到するについて格別障害になるものとはいえない。

したがつて、審決の前記判断に誤りはなく、原告の主張は理由がない。

(2) 原告は、本願発明の優先権主張日当時の技術常識では、医学診断用のX線映像増強管の製造には、真空蒸着という工程を用いることはできないと考えられていたとして三つの理由(事実摘示第二4(二)(2)の(イ)(ロ)(ハ)参照)を挙げ、前掲甲第九号証の一には右主張の骨子に沿う記載(第一五項)があること、また前掲甲第一〇号証にも、右主張とほぼ同趣旨に解せられなくはない記載(ⅡX線映像増強管の歴史第一九八項・第一九九項・第二〇三項)があることが認められる。

しかしながら、(イ) 真空蒸着層の高温処理が不可欠であるから真空蒸着層を厚くすると、それが基体から容易にはがれてしまうと考えられていたとの点は、たとえそうであつても、少なくとも第一引用例に開示されている方法によれば、検知層において厚い真空蒸着層の形成が可能であることは前記(一)(2)において述べたとおりであるから、この点が第一引用例記載の発明の蛍光体をX線吸収特性の良好なヨウ化セシウムに置き改えることに想い到るのに格別障害になるものとは考えられない。

(ロ) アルカリ金属ハロゲン化合物を用いると、陰極線管が毒されてしまうと考えられていたとの点は、前掲甲第一〇号証にそのような考え方が存したことを示す記載(ⅡX線映像増強管の歴史二〇〇項)が存するが、ヨウ化セシウムを用いて陰極線映像管の真空蒸着層を形成することは前記(二)(1)において述べたとおり本願発明の優先権主張日当時周知であつたから、この点が本願発明を得ることが容易でなかつたことの根拠とはなりえない。

(ハ) 蛍光層の結晶度を高めると蛍光層が少なくとも焼結された多結晶化されたものとなり、光子が内部反射を起こして拡散し、解像度が低くなつてしまうと考えられていたとの点は、本願発明の優先権主張日前すでに第一引用例記載の発明においても、結果としては本願発明と同じ多結晶化された蛍光層を用いているのであるから、(ロ)の点と同じく、この点をもつて本願発明を得ることが容易でなかつたことの根拠とはなしえない。

したがつて、本願発明の優先権主張日当時の技術常識から本願発明を得ることが容易でなかつたとする原告の主張はすべて理由がない。

また、原告は、本願発明は在来型のものに比べ、医学的診断技術を格段に飛躍発展せしめたX線映像増強管を提供するものであるとして、本願発明の奏する顕著な作用効果(八点事実摘示第二4(二)(2)の<1>ないし<8>参照)を挙げ、成立に争いのない甲第一二号証(東芝レビユー誌第一〇二号一九七四年三月、四月号)には右主張に沿う記載(二八頁)のあること、成立に争いのない甲第一三号証(バリアン ニユーズ一九六七年八月一一日号)には、バリアン社のX線映像増強管は、従来型のものに比べ、心臓の動き、あごの動きのような連続的な動作の検査をすることができるようになつた旨記載されていることがそれぞれ認められる。

しかしながら、本願発明が良好な感度を有するとする効果及びそれより派生した効果である<7>、<8>は、前記認定の諸事実に照らし、本願発明におけるX線映像増強管の検知層がX線吸収特性の良好なヨウ化セシウムからなる真空蒸着層を含むことによる効果であると認められるが、このことは、第一引用例記載の発明において亜鉛カドミウム、スルフオセレン化物に代えてヨウ化セシウムからなる真空蒸着層を用いることにより当然予測しうる範囲のものであつて、予測を越えた格段の効果と認めることはできないものであり、解像度が優れているとする効果<1>、使用態様に関する効果<2>、<5>、<6>、フイルムに関する効果<3>、<4>は、前掲甲第三号証及び第四号証の一によれば、いずれも本願発明の明細書に記載されていないものであり、しかもこれらの効果が本願発明の要旨とどのように結びついているのか明確でないから、これをもつて本願発明の奏する顕著な作用効果と認めることはできない(なお、前掲甲第一〇号証((ⅡX線映像増強管の歴史五三項))及び第一二号証によれば、解像度が優れているとする効果<1>は、ヨウ化セシウムからなる真空蒸着層を柱状構造の結晶にすることにより得られるものと認められるが、本願発明の明細書にはこのことは何ら開示されていないし、本願発明はこれを要旨とするものではないから、この記載を理由に、これが本願発明の奏する顕著な作用効果であるとすることはできない。)。

(三) 以上のとおりであるから、本願発明は、第一引用例及び第二引用例の記載に基づいて当業者が容易に発明できたものと認められるとした審決の判断は正当であつて、審決には原告の主張する違法はない。

3 よつて、審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求は失当として棄却する。

〔編註その一〕 本願発明の要旨は左のとおりである。

真空容器手段と、X線映像を受像し、これをシンチレーシヨンによつて光学映像に変換するための前記真空容器手段内に配置したX線検知層とを含み、前記X線検知層は活性化されたヨウ化セシウムから成る真空蒸着層を含み、その活性化されたヨウ化セシウムの密度はその活性化されたヨウ化セシウムの結晶塊の密度にほぼ等しく、前記真空蒸着層は多結晶質であつて、医学的診断用X線応用のために充分な厚みを有すると共に改良された出射分解能を実現するために充分な程度に薄い処の、改良された変換効率と分解能を有する医学的診断用X線映像増強管装置。

(別紙図面(一)参照)

〔編註その二〕 本件に関する図面は左のとおりである。

別紙図面 (一)

<省略>

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