東京高等裁判所 昭和56年(行ケ)152号 決定
一 一件記録によれば、第一、一の事実(但し、本願発明についての特許出願は、バリアン アソシエイツによりなされたが、同社は一九七六年九月二四日原告((当時の商号バリアン デラウエア インコーポレイテツド))に吸収合併され、原告は、同時に商号を現商号に変更し、昭和五六年六月三日特許庁長官に対し、右合併により本願発明の特許を受ける権利を承継した旨届出たものである。)及び申出人は、現在ヨウ化セシウムの基層部からなる検出スクリーンを使用した「X線イメージインテンシフアイア管」を製造し、日本において販売していることが認められる。
二 ところで、一件記録中のバリアン アソシエイツ インコーポレイテツド、バリアン カナダ インコーポレイテツド、バリアン インターナシヨナルエージー(以下「原告ら三社」という。)とトムソン セーエスエフ間の契約書(一九八四年三月二日)によれば、原告ら三社と申出人との間には、相互に相手方に対し自己が特許権を有し、又は特許出願中のチユーブ、すなわち、容器の中で大気圧以外の圧力下において、真空、ガス又は蒸気を通して電気的放電がその装置の中で引き起こされ、又はその装置に適用されるところの電磁エネルギー(光を含む。)によつて引き起こされ、変えられ、コントロールされ、又は影響されるところのあらゆる装置(マイクロ ウエーブ チユーブ グリツド チユーブ、ガスで充填したスイツチ チユーブ、映像チユーブ((X線、光、赤外線及び紫外線))等)を製造販売することのできる権利を付与し、相手方はこれに対する使用料(ロイヤルテー)を支払うこと、右契約は、一九八三年一月一日をもつて効力を発生し、有効期間を一〇年間とすること、原告ら三社は、右契約の効力発生の日以前に生起した原告ら三社が所有するチユーブに関する特許権の侵害を理由として、原告が申出人に対して有することあるべきいかなる請求からも申出人を解放し免責すること等を内容とする契約が成立したことが認められ、ほかに右認定を左右するに足りる証拠はない。
そして、一件記録中の甲第二号証、第三号証、第四号証の一ないし三、及び五によれば、本願発明は、アルカリ金属ハロゲン化合物蛍光材料を真空蒸着して形成したX線映像を光学映像に変換するためのスクリーンを具備する改良された量子変換効率と分解能を有するX線映像増強管に関するものであることが認められるから、本願発明は、前記契約において、原告が申出人に付与する対象となつた「チユーブ」に関する特許出願に該当することが明らかである。
以上の認定事実によれば、申出人は、本願発明について特許権が成立し、申出人が製造販売する製品がその技術的範囲に属するとしても、前記契約に基づき、その効力発生の日の前後を問わず、本願発明についての特許権の侵害を理由に原告からいかなる請求をも受けることがないことが明らかであつて、申出人は本願発明についての特許の成否によりその法律上の地位に直接又は間接に影響を受ける関係にはないから、本件訴訟の結果について法律上の利害関係を有するものということはできない。
三 よつて、本件訴訟において被告を補助するためにした申出人の本件補助参加申出は理由がないから却下することとする。