東京高等裁判所 昭和56年(行コ)51号 判決 1981年11月25日
控訴人(原告) 茨木鐵治
被控訴人(被告) 東京都知事
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人は「原判決を取消す。本件を東京地方裁判所に差戻す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴指定代理人は控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上及び法律上の主張ならびに証拠の関係は、控訴代理人において「判例(福岡高裁昭和五三年三月二九日判決・行集二九巻四五三頁、名古屋高裁昭和五三年一月三一日判決・行集二九巻八八頁等)は補助金交付の行政処分性を認めて実体審理をしているのであるから、本件においても実体審理がなされるべきである。」と述べたほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 当裁判所も控訴人の本件訴えは不適法であると判断するものであり、その理由は、次のとおり付加訂正するほか、原判決がその理由において説示するところと同一であるから、これを引用する。
1 原判決二〇枚目表一〇行目「交付決定が」の次に「実質的に」を加え、同一一行目「できない。」を「できないし、」と改め、同二一枚目裏三行目末尾に「控訴人が当審において引用する裁判例は、補助金交付決定の行政処分性について論及するものではないから、本件に適切ではない。」を加える。
2 原判決二二枚目裏一行目「求めるものであるが、」の次に「一般に地方自治法二四二条の二第一項一号の規定に基づく差止め請求をするためには当該違法行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合であることを要するところ、」を加え、同八行目「訴えの対象を欠くものとして」を「訴えの利益を欠くものとして」と改める。
二 よつて、控訴人の本件訴えをいずれも却下した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却すべきものとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法九五条八九条を適用して、主文のとおり決定する。
(裁判官 渡辺忠之 藤原康志 渡辺剛男)