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東京高等裁判所 昭和56年(行コ)66号 判決 1982年4月20日

控訴人(原告) エス・カー・ヴエー・トロストベルク・アクチエンゲゼルシヤフト

被控訴人(被告) 特許庁長官

原審 東京地方昭和五五年(行ウ)第四号(昭和五六年五月一一日判決、一三巻一号四六一頁参照)

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

控訴人は「原判決を取消す。被控訴人が昭和五二年八月一七日付でした特許番号五三九四一九号特許についての抹消登録処分を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は主文同旨の判決を求めた。

第二当事者の主張及び証拠

次のとおり訂正附加するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これをここに引用する。

1  原判決二丁裏九行目(編注、一三巻一号四六二頁一三行目)「特許出願をし、」の次に、「これについて昭和四三年九月一六日出願公告がなされ、」を加える。

2  原判決三丁表三行目末(同上、四六二頁一五行目末尾)に、「そして、原告は、昭和四六年一一月一一日第四年分の、ついで、昭和四七年九月二二日第五年分のそれぞれ特許料を納付した。」を加える。

3  原判決三丁表九行目(同上、四六二頁一八行目)「特許料が」の次に、「、その納付期限である昭和四八年九月一六日までに」を加える。

4  原判決四丁裏一行目(同上、四六三頁九行目)「第四年分」を「第六年分」に訂正する。

5  原判決五丁裏一行目、二行目(同上、四六三頁末行)「第一二条第一項」を「第一一二条第一項」に訂正する。

6  原判決五丁裏八行目(同上、四六四頁三行目)「抹消登録処分により」の次に、「その権利としての公示に基づく第三者に対する排他性を失い、事実上」を加える。

理由

一  当裁判所は、本件控訴を棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり訂正附加するほかは、原判決の理由一、二項と同一であるから、これをここに引用する。

1  原判決一五丁裏四行(編注、一三巻一号四六九頁一六行目)ないし九行(同上、四六九頁末行)を次のように改める。

「しかしながら、特許登録制度と不動産登記制度とは、その法の沿革、目的、対象たる権利の成立、公示の性質も異なり、別個の法域に属するものであるから、明文上の根拠がない限り、特許登録に関し不動産登記法の規定を準用することはできない。したがつて、控訴人(原告)の右主張を採用するによしがない。」

2  原判決一六丁表八行目(同上、四七〇頁六行目)「ものではない。」の次に、左のとおり加える。

「すなわち、特許権の設定の登録は、特許権発生の要件ではあるが、その存続の要件ではない。したがつて、たまたま、その登録が法律上・実体上の根拠なく違法に抹消されることになつたとしても、権利自体に変動を生ずるものではなく、特許権の存続に何ら影響を与えず、ただ、回復の登録手続によつて登録を実体関係に一致させる必要が生ずるに過ぎない。」

3  原判決一六丁裏末行(同上、四七〇頁一三行目から一四行目にかけて)の「主張するところは直ちに首肯し難いので、右主張は」を「趣旨必ずしも明らかでないばかりでなく、とつてもつて、」と改める。

二  そうすると、第二回抹消登録処分は適法であり、その違法を理由にその取消を求める控訴人の請求を棄却した原判決は相当である。よつて、本件控訴を棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第九五条本文、第八九条の各規定を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 荒木秀一 舟本信光 舟橋定之)

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