大判例

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東京高等裁判所 昭和57年(ツ)81号 判決

上告人が昭和五九年五月九日当裁判所に提出した取下書によって、本件が終了したかどうかの点について判断する。

選定当事者は、選定者全員のために、当事者として訴訟行為をすることができ、しかもその訴訟行為につき何らの制限を受けないから、選定者の特別の授権を必要とすることなく、自由に上告の取下げをすることができるものと解される。

本件記録によれば、上告人は、昭和五七年九月一〇日当裁判所に対し別紙選定者目録記載の選定者らの選定当事者として、浦和地方裁判所が言い渡した〔(五二年(レ)第五七号工作物収去土地明渡請求控訴事件昭和五七年八月二五日言渡)〕判決に対し上告を提起したが、昭和五九年五月九日当裁判所に対し選定者の一部である新屋和男外九名とともに連署した上告取下書を提出し、本件を都合により取り下げる旨の意思表示をしたことが認められる。

そこで右取下書の効力について検討すると、右書面に上告人以外の連署が存在するけれども、右連署者ら及びその他の選定者らが上告人に対する選定当事者の選定を撤回したことは記録上これを認めることができず(記録によれば、原審においては、当時の選定当事者鈴木達雄に対する選定撤回届が提出された経緯がある。)、したがって、上告人たる地位を有する者は選定当事者たる上告人(石塚愛)のみであり、選定者らはこれとは別個独立に訴訟行為をすることはできないのであるから、右取下書の上告人以外の連署は無意味なものと解するほかはなく、上告人が自己及び連署者らについてのみ上告を取り下げる趣旨のものと解することはできない。

よって、上告人が右取下書を提出したことにより、取下げの効力は選定者全員のために生じ、これにより本件上告は上告取下げにより終了したものといわなければならない。なお、上告人が上告の取下げをするについて選定者らの同意を得ているか否かは上告人と選定者らとの間の内部関係の問題にすぎず、また取下げについて脅迫があったとの上告代理人の主張も、裁判所に対する訴訟行為である取下げの効力について意思表示の瑕疵は何ら影響がないのであるから、採用の限りでない。

選定者らの立場は前示のようなものであり、また一旦有効になされた上告の取下げはその後において撤回することができないものと解するのが相当であるから、昭和五九年六月二二日に上告人を除くその余の選定者らの一部(滝沢昇以外の連署者らを含む。)が取下げを撤回する旨の書面を提出し、同時に原田豊を選定当事者とする旨の届出をした(この事実は本件記録上認められる。)行為は、その効力を生ずるに由ないものといわなければならない。

(小堀 時岡 山崎)

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