東京高等裁判所 昭和57年(ネ)2561号 判決 1984年8月28日
控訴人
柿沼武志
外二〇名
右控訴人ら訴訟代理人
角田義一
山田謙治
出牛徹郎
若月家光
宮里邦雄
五百蔵洋一
長谷一雄
被控訴人
ニプロ医工株式会社
右代表者
佐野實
右訴訟代理人
鈴木航児
山岡正明
主文
原判決を取り消す。
被控訴人は控訴人らに対し、別紙請求金目録記載の各金員及び右各金員に対する昭和五五年九月一四日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。
訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
この判決は第二項に限り、仮に執行することができる。
事実
第一 当事者の求めた裁判
控訴人ら代理人は、主文同旨の判決並びに仮執行の宣言を求め、被控訴人代理人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする。」との判決を求めた。
第二 当事者の主張
当事者双方の事実上及び法律上の主張は、次に付加、補正するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。
(原判決の補正)
原判決二枚目裏三行目の「学連」を「労連」に訂正し、原判決添付の請求金目録及び賞与金額計算書中の「坂本美代子」をその後の改姓により、いずれも「平田美代子」に改める。
(控訴代理人の主張)
一 被控訴人が控訴人らに対し支給する賞与は、賃金の後払いとしての労働の対価たる性格を有するものであり、被控訴人における社内規準、慣行にはこれを否定するものは何もない。即ち、
1 被控訴人の就業規則(乙二号証)は、「賞与は年二回六月、一二月に支給する」と定めており、また、賞与支給の対象期間は、六月支給について、前年一一月一六日から当年五月一五日、一二月支給について当年五月一六日から一一月一五日とされていることは争いのないところである。
このように被控訴人における賞与は、支給時期が原則として明示され、支給対象期間が定められていたのであるから、右支給対象期間を継続勤務した従業員は、夏、冬の二回必ず賞与の支給を受け得る一般的な期待権を有していたものである。
2 昭和五五年六月期の賞与(以下「本件賞与」という。)は、およそ次のような算定方法により支給額が算出されている。即ち、
基本的には、月例賃金の主要構成部分である基本給部分に一律二・四五か月を乗じて算出したうえ、入社六か月以上の者と、六か月未満の者に分けて、前者には満額後者には六分の在籍月数に応じた額を配分し、かつ、欠勤控除等をし、さらにプラスマイナス二〇パーセントの範囲内で勤務成績考課をして、具体的な支給額が算出されることになる。
このように、本件賞与の支給額が主として過去の労働月数ないし日数を基準に当該従業員の過去の支給対象期間における労働量を算定したうえ算出されることからみても、被控訴人における賞与が過去の労働の対価としての性格を有することは明らかである(なお、前記勤務成績考課の結果の賞与全体について占める割合は僅かであり、このために賞与の右性格を変えるものではない。ちなみに、本件賞与に関する各従業員(控訴人らを含む)の右考課査定は、昭和五五年五月一六日から同月末日までに終了している。)。
したがつて、本件賞与が賃金の後払いとしての性格を有するものである以上、控訴人らは、本件賞与の支払対象期間全部を勤務したのであるから、本件賞与の請求権を取得したものというべきである。被控訴人が、控訴人らが本件賞与の支給対象期間に継続勤務したのに、支給日である昭和五五年九月一三日に在籍しないことを理由として、本件賞与を支払わないことは、労働基準法一一条、二四条一項の趣旨からみて許されないものというべきである。
二 仮に、然らずとするも、控訴人らは、本件賞与の本来の支給月である昭和五五年六月一杯勤続したものであるから、次の理由により本件賞与の支給を受けられることは、明らかであり、このことは控訴人ら、被控訴人間の労働契約の内容になつているものである。即ち、
被控訴人においては、以前から就業規則上明示されている本来の賞与支払時期である六月一杯あるいは一二月一杯在籍していた場合には、必ず賞与が支給されていたのである。つまり、六月期の賞与については、当年五月一六日から現実の支給日である六月中の当該日まで、一二月期の賞与については、当年一一月一六日から現実の支給日である一二月中の当該日までの間に退職した従業員については支給されないが、少なくとも本来の支給月である六月一杯あるいは一二月一杯勤続した従業員については、必ず支給を受けているのである。してみると、被控訴人における賞与支給について確立した慣行は、少なくとも本来の賞与支給月一杯勤続した従業員は、必ず賞与の支給を受けることができるというのであり、本件のように本来の支給月を二か月以上も遅滞した日をもつて支給日と定められた場合にも、当該支給日に在籍しなければ支給しなくてもよい旨の慣行などはなく、また現にそのような実例もなかつた。
三 ところで、本件賞与に関し、被控訴人と、控訴人らが所属していた総評合化労連化学一般関東地方本部ニッショーニプロ支部(以下「組合」という。)との間に、覚書(甲四号証、以下「本件覚書」という。)が取り交わされているが、本件覚書の中で、夏期一時金について「支給対象者・昭和五五年六月二〇日以来、支給日までの間に退職した者については別途協議する」旨合意されている。これは労使ともに、六月二〇日以前の退職者については支給対象者としないこととしたが、少なくとも六月二〇日以降支給日までの間に退職した者即ち控訴人らについては、「支給対象者」と明示したうえ、別途協議することを確約したものである。もつとも、本件覚書と同時に調印された協定書(甲一号証、以下「本件協定書」という。)には、夏期一時金の支給対象者は「支給日に在籍するもの」とされているが、当時の労使間の交渉経過に照らすと、支給日在籍者にのみ支払う旨の被控訴人の主張について、組合側が強く反対したため、合意に至らなかつたことから、本件覚書のような表現になつたものであり、労使の対立している問題点については、その他の問題を含めて、むしろ本件覚書で合意されたのが実態である。
その後、組合は本件覚書に基づいて、支給日前の退職者への夏期一時金の支給について、解決のための協議を申入れ、団体交渉や非公式折衝等を行なつたが、昭和五五年一〇月二三日に第二組合が結成されるなど、労使関係が悪化したこともあつて、被控訴人が本件賞与の支払いに応ずる態度を示さず、結局右協義に基づく解決が不可能となつたのである。
四 以上の次第で、控訴人らは本件賞与請求権を有するものというべきである。よつて、被控訴人に対し、別紙請求金目録記載の各金員及びこれに対する被控訴人が本件賞与の支払日と定めた日の翌日である昭和五五年九月一四日から支払ずみまで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
(被控訴人の認否及び反論)
一 控訴人の主張一の事実中、同1の前段の事実及び同2の本件賞与の算定方法は認め、その余の事実及び主張は争う。
二 同二の事実及び主張は争う。
三 同三の事実中、被控訴人、組合間において、その主張のような文言の記載のある本件覚書及び協定書が作成されたことは認めるが、その余の事実及び主張は争う。
なお、本件協定書の中で、本件賞与の支給対象者を「支給日に在籍するもの」とする旨の合意が成立したのは、被控訴人における賞与は、従前から、支給日に在籍する従業員にのみ支給する旨の確立した慣行があり、労使ともにこれを納得していたものであるからこそ、組合も本件協定書に基づく合意に際して譲歩せざるを得なかつた結果によるものである。そして、本件協定書作成の段階では、当事者全員が右確立した慣行を承認していたのである。
しかし、組合は、控訴人らに対し、当時未妥結の本件賞与の一部分を仮払いしてしまつたため、その事後処理に苦慮したすえ、被控訴人に善処方を申し入れたことから、被控訴人は専ら組合との関係で一応考えてみる旨応答した結果本件覚書が作成されるに至つたものである。したがつて、本件覚書は、控訴人らに直接本件賞与を支給するか否かを再考する趣旨のものではない。
したがつて、被控訴人が本件賞与について、その支給対象者を支給日である昭和五五年九月一三日現在の在籍者としたのは、適法有効である。
第三 証拠<省略>
理由
一控訴人らが、別紙賞与金額計算書の「入社年月日」欄各記載の時期に被控訴人に入社し、最終的には同計算書の「元の職場」欄各記載の職場(館林工場)に勤務し、同計算書の「退職日」欄各記載の日に被控訴人を退職したこと、被控訴人の就業規則(給与規程一八条)は、「賞与は年二回六月、一二月に支給する。但し都合により時期を変更することができる。」旨定めていること、被控訴人においては、従前から毎年二回必ず賞与が支給されてきたことは、当事者間に争いがない。
二被控訴人における賞与に関する前記給与規程は、合理的な労働条件を定めたものとみるべきであるから、使用者、労働者間の労働条件は就業規則によるとする事実たる慣習によつて、当然に法的規範性を有し被控訴人と控訴人両者を拘束するものというべきである。したがつて、控訴人らは、所定の支給要件を具備することにより、賞与を受給し得る権利を有するものと解するのが相当である。つまり、一般に賞与は、労働者が過去の一定期間勤務したことに対してその在籍期間、勤務成績等に応じて、かつ、その性質上使用者の業績に応じて、支給の有無、支給額、支払条件等が具体的に確定されるものであるから、使用者と労働者(組合)との合意等により賞与の支給額、支払条件等が明確になり、その内容が具体的に確定することにより、かつ、賞与支給日に在籍する者のみに支給する旨の定めのあるときは、当該賞与の支給日に在籍することを条件として、労働者は使用者に対し、右賞与を具体的に請求する権利を取得するものというべきである。
ところで、被控訴人においては、本件賞与の支給の基礎となる勤続期間(いわゆる支給基礎期間)は昭和五四年一一月一六日から同五五年五月一五日までの六か月間であること、本件賞与の支給額、支払条件等については、原判決事実摘示の請求原因第二の五記載のとおり確定したことは、当事者間に争いがない。また、控訴人らが、いずれも右支給基礎期間を継続勤務したうえ、前記給与規程所定の賞与支給月である昭和五五年六月を通じて在籍した後、別紙賞与金額計算書の「退職日」欄各記載の日に退職したものであることは前記一判示のとおりである。
したがつて、控訴人らは、いずれも本件賞与について、支給日在籍者の点を除いて(なお、この要件を具備することは、後記三判示のとおりである。)、前判示の賞与支給要件を具備するものというべきである。
三被控訴人は、本件賞与については、賞与支給日在籍者にのみ支給する旨の従前からの慣行に従い、支給日の昭和五五年九月一三日在籍者を支給対象者と定めたものであつて、控訴人らは右に該当しない旨主張し、控訴人はこれを争うので判断する。
被控訴人においては、従前から毎年二回必ず賞与が支給されてきたこと、本件賞与の支給対象者について支給日の昭和五五年九月一三日に在籍する者と定められたことは、当事者間に争いがなく、この争いのない事実と<証拠>を総合すると、被控訴人においては、従前から賞与は毎年二回六月、一二月に支給するものとし、当該支給日に在籍している従業員に対してのみ支給する旨の慣行が存在していることが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。
ところで、<証拠>によると、被控訴人における従前の賞与の支給状況は、昭和五二年度夏期賞与は同年六月二九日、冬期賞与は同年一二月一〇日、同五三年度夏期賞与は同年六月三〇日、冬期賞与は同年一二月八日、同五四年度夏期賞与は同年六月三〇日、冬期賞与は同年一二月一〇日がそれぞれ支給日として指定され、右各支給日に在籍する者にのみ支給され、右各支給日以前に退職して当日在籍しない者には、当期の賞与を支給しない取扱いであつたこと、従前被控訴人において年二回の賞与支給月である六月又は一二月に例外なく賞与が支給され、右各支給月を二か月以上も遅延して賞与が支給された例は全くなかつたこと、本件賞与についても、当初組合は支給日を六月二〇日として要求し、被控訴人と交渉していたこと等が認められる。してみると、賞与は支給日に在籍する者にのみ支給する旨の被控訴人における前記慣行は、賞与の支給時期として、前記給与規程に定められ労使間において諒承されていた六月又は一二月について、各当月中の日をもつて支給日が定められた場合には、当該支給日に在籍しない者には、当期の賞与を支給しないとする趣旨の内容のものであり、かつ、右内容の限度において合理性を有するものと解するのが相当である。
もつとも、前記給与規程の但書には、「但し都合により時期を変更することがある。」旨の定めがあるが、右但書の趣旨は、右に判示した内容の慣行を前提としたうえで、資金調達の困難、労使交渉の未妥結等の特別の事情が生じた場合を考慮して、毎年六月、一二月とした支給時期について、これを合理的な範囲で変更し得ることを例外的に認めたものとみるべきであるから、右支給時期の変更に伴い、当然に支給対象者の範囲に変更を生じ、当該支給日在籍者を支給対象者とする旨の被控訴人主張のような慣行が適用されるものではないと解するのが相当である。したがつて、本件のように、本来六月期に支給すべき本件賞与の支給日が、二か月以上も遅延して定められ、かつ、右遅延について宥恕すべき特段の事情のない(この点は本件全証拠によるも認められない。)場合についてまでも、支払日在籍者をもつて支給対象者とすべき合理的理由は認められない。
また、前記のように昭和五五年九月五日本件協定書(甲一号証)により、被控訴人と組合間において、本件賞与の支給日を同月一三日とし、右支給日在籍者を支給対象者とする旨の合意が成立したとしても、右合意は、前判示のような当該賞与支給月中の日をもつて支給日が定められた場合には、当該支給日の在籍者をもつて支給対象者とする旨の慣行に反するものであると同時に、前判示二の控訴人らの本件賞与を受給する権利を一方的に奪うものであることは明らかであるから、控訴人らの同意のない限り、少なくとも本件賞与を支給日在籍者にのみ支給する旨の右合意の効力は、控訴人らには及ばないものというべきである。そして、控訴人らは、右合意当時、すでに被控訴人を退職して組合に属していなかつたものであるので、右支給日在籍者支給の合意の効力は控訴人らには及ばないものというべきである。
賞与金額計算書
番号
控訴
人名
元の職場
入社
年月日
(昭和)
退職日
(昭和55)
基本
給
職
能給
物価
手当
皆勤
手当
家族
手当
月額
合計
請求
金額
備考
1
柿沼武志
研磨
52.3.
8.5
99,640
3,300
2,000
3,000
0
107,940
264,453
2
金井伸江
組立
52.2.28
8.15
103,010
3,300
2,000
3,000
0
111,310
272,710
3
柳沢幸子
〃
54.9.28
8.6
106,030
0
2,000
3,000
0
111,030
272,024
4
石田美紀江
〃
51.3.22
8.15
98,470
4,400
2,000
3,000
0
107,870
264,282
5
木本洋子
〃
52.1.21
8.15
104,510
4,400
2,000
3,000
0
113,910
279,080
6
老沼博子
〃
55.3.4
7.30
99,980
0
2,000
3,000
0
104,980
85,734
(257,201×2/6)
7
平田美代子
〃
55.2.4
8.15
101,500
0
2,000
3,000
0
106,500
130,463
(260,925×3/6)
8
小林由美子
包装
54.4.13
7.15
103,010
1,100
2,000
3,000
0
109,110
267,320
9
鶴田茂
〃
52.4.1
7.15
115,580
4,570
3,500
2,000
0
125,650
307,843
10
田丸正人
セッ
ト課A
51.4.1
7.30
105,380
6,440
3,500
2,000
0
117,320
287,434
11
山根真由美
〃
53.2.21
7.12
101,500
2,200
2,000
3,000
0
108,700
266,315
12
白石喜之
セッ
ト課B
52.4.25
7.15
102,660
3,300
2,000
3,000
0
110,960
271,852
13
丸山綾子
〃
52.4.13
8.22
99,980
3,300
2,000
3,000
0
108,280
265,286
14
根本富志子
〃
53.3.21
8.15
101,500
2,200
2,000
3,000
0
108,700
266,315
15
渡辺恵子
〃
54.4.9
9.3
101,500
1,100
2,000
3,000
0
107,600
263,620
16
松田貴子
〃
54.8.17
8.25
109,160
1,100
2,000
3,000
0
115,260
282,387
17
倉光亙
セッ
ト課C
51.4.1
8.9
117.27
6,880
3,500
2,000
14,000
129,650
317,643
18
祐野博
生
・技
54.4.2
7.15
112,190
4,200
3,500
2,000
0
121,890
298,631
19
庭山美千
セット課D
52.3.23
7.15
101,500
3,300
2,000
3,000
0
109,800
269,010
20
萩原光子
シリンジ
53.3.22
8.15
99,980
2,200
2,000
3,000
0
107,180
262,591
21
野村富士一
押出
53.8.28
8.25
102,660
1,100
2,000
3,000
0
108,760
266,462
(注) 請求金額は番号6、7以外は合計額の2.45ヶ月分であるが、番号6老沼博子については、2.45ヶ月分の6分の2、番号7平田美代子については、2.45ヶ月分の6分の3でそれぞれ計算した金額である。なお、円未満は四捨五入とした。
したがつて、被控訴人の右主張は失当である。
以上の次第で控訴人らはいずれも本件賞与を受給する権利を有するものというべきである。
四昭和五五年九月五日本件協定書に基づく被控訴人、組合間において、本件賞与について、原判決事実摘示の請求原因第二の五記載のとおりの算定方法により算出された金額を支給することが確定したことは前示のとおりであり、また、本件賞与の算定基礎となる控訴人らの基本給、職能給、物価手当、皆勤手当、家族手当が、それぞれ別紙賞与金額計算書の右各項目該当欄記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。そして、弁論の全趣旨によると、本件賞与の各従業員に対する支給額算出のための各従業員(控訴人らを含む)の勤務成績考課査定は、昭和五五年五月一六日から同月三一日までに終了し、控訴人らの右考課査定の結果が、平均点の一〇〇パーセントであつたこと、被控訴人が前記のように本件賞与の支給日を同年九月一三日と定めて、同日在籍する従業員に対し、右賞与を支給したことが認められ、右認定に反する証拠はない。したがつて、控訴人らが、右同様の算定方法により算出した金額及び支給日をもつて各自の賞与を支給すべき旨を主張している本件において、本件賞与の支給額及び支給日(弁済期)に関して、他の従業員と別異に取扱うべぎ特段の事情も、認められないから、被控訴人は控訴人らに対し、本件賞与金として、別紙請求金目録記載の各金員及びこれに対する右支給日(弁済期)の翌日である昭和五五年九月一四日から各支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があるというべぎである。
五以上の次第で、控訴人らの本訴請求は、いずれも理由があるからこれを正当として認容すべきであり、これと趣旨を異にする原判決は失当であつて、本件控訴は理由があるから、民訴法三八六条により原判決を取り消すこととし、訴訟費用の負担につき同法九六条、八九条、仮執行の宣言につき同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。
(中島恒 佐藤繁 塩谷雄)
請求金目録<省略>