大判例

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東京高等裁判所 昭和57年(ネ)3175号 判決

《証拠》に弁論の全趣旨を合せると、控訴人長嶋伊之輔(父)と控訴人長嶋利之(子)とは親子の関係にあり、控訴人長嶋シゲ子は控訴人長嶋利之の妻であって、控訴人らは、一つの家族として共同生活を営み、家業である農業に従事していること、その耕作する農地は畑約一町五反歩であり、控訴人長嶋伊之輔が高齢に達した関係もあって、昭和四六年ころ以降は、右農業は控訴人長嶋利之が中心となって営まれ、税務関係、農業協同組合との取引等対外的には同控訴人が事業主となっているが、右農地は依然として控訴人長嶋伊之輔の所有であり、実際に同控訴人も農作業その他の仕事に関与していたこと、加害自動車は控訴人長嶋利之の所有であり、日頃、農作業に使用されているものであるところ、本件事故は、控訴人らが加害自動車のほか、もう一台の自動車に分乗して(加害自動車は控訴人長嶋シゲ子が運転し、これにその息子が同乗し、他の自動車は控訴人長嶋利之が運転し、これに同長嶋伊之輔が同乗)収穫した野菜類を東京・杉並の青果市場に運び込む途中で発生したものであることが認められる。これによれば、右農業は、控訴人長嶋伊之輔、同長嶋利之をはじめとするその家族員の共同事業として営まれていたものであって、事業の主宰者としての地位はいまだ完全には控訴人長嶋利之に移転しておらず、控訴人長嶋伊之輔も加害自動車の運行について支配を及ぼし得る地位にあり、それによる利益を享受していたということができ、したがって、加害自動車は控訴人長嶋利之ばかりでなく、控訴人長嶋伊之輔もまた、自己のためにこれを運行の用に供していたとみるのが相当である(なお、本件事故につき控訴人長嶋利之に加害自動車の運行供用者としての責任があることは控訴人らの認めて争わないところである。)。

したがって、控訴人らは被控訴人に対しそれぞれ本件事故によって被った損害を賠償する義務を負うものというべきである。

(岡垣 大塚 川崎)

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