東京高等裁判所 昭和58年(ネ)1358号 判決
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【判旨】一被控訴人は同人宅で控訴人から金員を借り受けたことがあることは、当事者間に争いがないところ、成立に争いのない甲第一号証は、昭和四六年八月一五日付の被控訴人から控訴人に宛てた金銭借用証書であり、これには、被控訴人が控訴人から一六二万円を弁済期・同年九月一五日、利息の利率・日歩五銭五厘、遅延損害金の利率・日歩一一銭の約定で借用した旨の記載があり、控訴人は、原審及び当審における本人尋問において、被控訴人に対し右借用証書記載のとおり金員を貸し渡した旨供述する。しかし、<証拠>によれば、右借用証書にある一六二万円というのは、利息一二万円を加算した金額であつて、被控訴人が控訴人から実際に借り受けた金員の額は一五〇万円であつたことが認められる。なお、原審証人矢崎隆雄及び原審での第二回本人尋問における控訴人は、本件金銭貸借の時期を昭和四五、六年ころの一一月ころであつた旨供述するが、この点に関する右供述は必ずしも明確な根拠に基づくものではないから、右供述部分は採用することができない。
そうすると、控訴人は被控訴人に対し昭和四六年八月一五日一五〇万円を、弁済期・同年九月一五日、利息の利率・日歩五銭五厘、遅延損害金の利率・日歩一一銭の各約定で貸し渡したものと認められる。
二ところで、<証拠>によれば、本件貸借に係る一五〇万円は、被控訴人が自宅において親としていわゆるサイコロ賭博を開張した際、親として準備すべき資金が不足していたことから、その資金を同賭博に参加した控訴人から借用したものであり、控訴人はその使途を知つていたものであることが認められ<る。>
右事実によれば、控訴人が被控訴人に貸し渡した一五〇万円は賭博開張資金の融資を目的としたもので、これは公序良俗に反するものであるから、民法七〇八条の不法原因給付に該当し、その返還を求めることのできないものである。
(岡垣學 磯部喬 川﨑和夫)