東京高等裁判所 昭和58年(ネ)215号 判決 1984年9月27日
控訴人 甲野花子
控訴人 (亡甲野ハナ承継人) 甲野一郎 外一名
同(同) 兼参加人 甲野二郎
被控訴人 甲野マツ 外四名
主文
一 本件控訴及び参加人の請求をいずれも棄却する。
二 控訴人らは、別紙物件目録第一一の土地につき、被控訴人らのために農地法第三条の規定に基づく許可申請手続をし、右許可があつたときは、被控訴人らに対し、各持分を被控訴人甲野マツは三分の一、その余の被控訴人ら四名はそれぞれ六分の一とする所有権移転登記手続をせよ。
三 承継前の控訴人甲野ハナの死亡による訴訟承継に基づき、原判決主文第二項は次のとおり変更された。
控訴人らは、別紙物件目録第一ないし第一〇、第一二、第一三の各土地につき、被控訴人らのために農地法第三条の規定に基づく許可申請手続をし、右許可があつたときは、被控訴人らに対し、各持分を被控訴人甲野マツは三分の一、その余の被控訴人ら四名はそれぞれ六分の一とする所有権移転登記手続をせよ。
四 差戻前及び差戻後の控訴審並びに上告審の訴訟費用中、被控訴人らについて生じた費用はこれを三分し、その二を参加人の、その一を控訴人らの各負担とし、控訴人ら及び参加人について生じた費用は各自の負担とする。
事実
第一申立
一 差戻前の昭和五一年(ネ)第二八八号控訴事件(以下「控訴事件」という。)
1 控訴人ら
(一) 原判決を取り消す。
(二) 被控訴人らの請求(当審における新請求を含む。)を棄却する。
(三) 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。
2 被控訴人ら
(一) 本件控訴を棄却する。
(二) 主文第二項と同旨(当審において、原判決主文第一項と同旨の請求を交換的に変更した新請求)
(三) 控訴費用は控訴人らの負担とする。
二 差戻前の昭和五二年(ネ)第一七一〇号参加事件(以下「参加事件」という。)
1 参加人
(一) 所有権移転登記手続請求
(1) 第一次的請求
甲野二郎を除くその余の控訴人ら及び甲野マツを除くその余の被控訴人らは、別紙物件目録第一ないし第一三の土地(以下、全部を指すときは「本件土地」といい、一部を指すときは「本件第一一の土地」などという。)につき、参加人のために農地法第三条の規定に基づく許可申請手続をし、右許可があつたときは、参加人に対し、昭和四七年二月二五日付売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ。
(2) 第二次的請求
甲野二郎を除くその余の控訴人ら及び甲野マツを除くその余の被控訴人らは、本件土地につき、参加人のために農地法第三条の規定に基づく許可申請手続をし、右許可があつたときは、参加人に対し、昭和四五年八月二七日付売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ。
(二) 仮登記抹消手続請求等
被控訴人甲野マツ、同春夫、同夏夫、同春子、同夏子は、参加人に対し、本件第一一の土地につき、千葉地方法務局清和出張所昭和四七年一〇月二八日受付第四〇九四号をもつてなされた所有権移転請求権仮登記の抹消登記手続をし、かつ、本件土地につき前項の農地法第三条の許可があつたときは同土地上に存する耕作物を収去して同土地を明け渡せ。
(三) 参加費用は右相手方らの負担とする。
2 相手方ら(二郎を除く控訴人ら及びマツを除く被控訴人ら)
(一) 参加人の請求を棄却する。
(二) 参加費用は参加人の負担とする。
第二主張
一 控訴事件
1 被控訴人らの請求原因
(一) 訴外亡甲野太郎(以下「太郎」という。)と同亡甲野松夫(以下「松夫」という。)は、本件土地につき、昭和二八年一一月一九日、東京高裁判等所昭和二七年(ネ)第三二七号土地明渡並に損害賠償請求控訴事件において、裁判上の和解により次の合意をした。
(1) 松夫は、本件土地が太郎の所有であることを承認する。
(2) 太郎は、松夫及びその子孫に対し、本件土地を無償で耕作する権利を与え、松夫及びその子孫をして右権利を失わしめるような一切の処分をしない。
(3) 太郎が死亡したときは、本件土地は松夫及びその相続人に対し贈与する。
(二) 松夫は昭和三八年一二月一九日死亡し、妻である被控訴人甲野マツが三分の一、子であるその余の被控訴人らが各六分の一の割合でその権利義務を承継し、太郎は昭和四七年四月三〇日死亡し、妻である控訴人甲野花子、母である承継前の控訴人亡甲野ハナがその権利義務を承継し、更に、右ハナは昭和四九年一一月一九日死亡し、子である控訴人甲野一郎、同乙山花枝、同甲野二郎のほか、松夫の子である被控訴人春夫、同夏夫、同春子、同夏子がその権利義務を承継した。
(三) 本件土地はすべて農地である(なお、本件第一一の土地は地目は宅地であるが、現況は田である。)。
(四) よつて、被控訴人らは、前記(一)(3) の死因贈与に基づき、控訴人らに対し、本件土地について、農地法第三条の規定に基づく許可申請手続をし、右許可を条件として各持分を被控訴人マツは三分の一、その余の被控訴人らは各六分の一とする所有権移転登記手続を、それぞれ求める。
2 請求原因に対する控訴人らの答弁
(一) 請求原因(一)は不知。
(二) 同(二)及び(三)は認める。
3 控訴人らの抗弁
仮に、請求原因(一)のような和解が成立し、それが太郎から松夫もしくはその相続人に対する死因贈与であるとしても、次の理由により被控訴人らの請求は失当である。
(一) 死因贈与は、贈与者においてその死亡に至るまでいつでも取り消しうるものであり、贈与者が以前にした死因贈与と抵触する処分行為をしたときは、右死因贈与はこれを取り消したものとみるべきところ、太郎は、昭和四七年二月二五日、本件土地を控訴人兼参加人甲野二郎に譲渡したので、松夫もしくはその相続人に対する死因贈与は取り消されたものである。
(二) 仮に、右のようにいつでも取り消しうるものでないとしても、死因贈与は、贈与についての最終意思決定を死亡に至るまで贈与者の意思に委ねているものであるから、いつたん死因贈与がなされた場合といえども、後日の事情変更による取消変更の可能性が留保されているのである。また、死因贈与は、その方式を除いて遺贈と同視されているのであるから、死因贈与が私文書あるいは公正証書によつてなされたか、又は裁判上の和解によつてなされたかによつてその取消可能性が否定されるものではない。本件裁判上の和解は、太郎と松夫との間の一切の争訟に終止符をうつ目的でなされたものであり、その和解条項第四項には、「太郎、松夫間には、本件以外の係争事件があるけれども、これらについても爾後互いに和協の道を講ずる意思を表明すること。」なる旨の合意が成立しているのである。そして、右和解成立当時、右両名間には本件土地以外の不動産につき松夫を原告、太郎を被告とする千葉地方裁判所木更津支部昭和二四年(ワ)第六号所有権確認並びに登記抹消手続請求事件が係属していたが、右和解成立のころ休止満了により訴え取下げの効果を生じていたのである。しかるに、松夫は、昭和二九年二月太郎を被告として右と同一の訴えを千葉地方裁判所に提起し(同裁判所同年(ワ)第一九号事件として係属)、昭和三〇年八月一五日勝訴判決を得、次いで太郎が控訴した東京高等裁判所昭和三〇年(ネ)第二〇二八号事件については、昭和三九年八月二九日控訴棄却の判決の言渡しがあり、更に、その上告事件である最高裁判所昭和三九年(オ)第一四六八号事件についても昭和四一年九月八日上告棄却の判決が言い渡された。
右の経緯に鑑みれば、松夫及び同人の死亡した昭和三八年一二月一九日以後は相続人である被控訴人らは、前記和解条項の趣旨に反して訴訟を提起し、あるいはこれを追行するという違約行為にでたものであり、これにより右和解条項第四項と一体としてなされた前記死因贈与契約は、和解のよつてたつ基盤そのものが覆えされたというべきであるから、本件土地に関する死因贈与は太郎において取り消すことができると解するのが相当である。
(三) 仮に、右各主張が認められないとしても、松夫は、太郎の死亡によつて取得すべき前記死因贈与に基づく自己の権利を、昭和三八年一二月一五日、母である前記甲野ハナに贈与した。したがつて、被控訴人らは本件土地に関する権利を取得していない。
4 抗弁に対する被控訴人らの答弁
(一) 抗弁(一)は、太郎が本件土地を甲野二郎に譲渡したとの点を否認し、その余の主張は争う。
死因贈与については遺贈に関する規定が準用されているが、遺言の取消しに関する規定まで準用されるかは争いのあるところであり、少なくとも本件のように裁判上の和解によつて死因贈与をしたような場合には、その取消しは許されないというべきである。
(二) 同(二)の主張は争う。
本件裁判上の和解のもととなつた訴訟は、千葉地方裁判所木更津支部昭和二四年(ワ)第九号事件であり、同訴訟において、太郎は松夫を被告として本件土地の明渡しと昭和一九年五月一七日から右明渡しずみに至るまで一か月金一万五〇〇〇円の割合による損害金の支払を求めたが、同裁判所は、本件土地が太郎の所有に属することを否定し、かつ、松夫の所有に属するものと認定判断したうえで、昭和二七年一月一〇日請求棄却の判決を言い渡した。しかし、同訴訟の控訴審である東京高等裁判所において、松夫は、同裁判所の勧試に従い、兄弟間の争いを中止するため本件和解に応じたが、その和解の内容は、第一審判決の内容を尊重し、本件土地の所有名義は太郎とするが実質上の所有権は松夫にあることとするものであった。そのため、和解条項では本件土地の耕作権は松夫及びその子孫に無償で与え、かつ、太郎に対して耕作権を失わしめる一切の処分を禁じたばかりでなく、太郎が死亡したときは松夫又はその相続人に本件土地を贈与することを確約せしめているのである。したがつて、右和解の経緯及び内容からみて、太郎が松夫らの了解なしに和解成立後本件土地を他に処分することが許されないことは当然であり、同人はこのことを十分承知していたものである。
また、本件裁判上の和解は本件土地以外の物件に関する太郎、松夫間のすべての争いに終止符をうつような趣旨のものではなかった。もしそのような趣旨のものであつたとすれば、控訴人ら主張の別件の訴訟手続において太郎からその旨の妨訴抗弁が提出されていたはずである。のみならず、控訴人ら主張のような違約行為は被控訴人ら側には全く存しなかつたものである。
(三) 同(三)は否認する。
二 参加事件
1 参加人の請求原因
(一) 参加人は、昭和四七年二月二五日、いずれも農地である本件土地を太郎から代金五〇万円で買い受けた。したがつて、参加人は、農地法第三条の許可を条件として本件土地の所有権を取得した。
(二) 仮に、右主張が認められないとしても、本件土地については、被控訴人らが後記の抗弁で主張する死因贈与がなされているところ、松夫は、昭和三八年一二月一五日、太郎の死亡により右死因贈与に基づいて取得すべき本件土地に関する自己の権利を母であるハナに贈与し、同人は右権利を昭和四五年八月二七日参加人に売り渡し、太郎は昭和四七年四月三〇日死亡したので、右贈与は個人の死亡によつて効力を生じ、参加人は農地法第三条の許可を条件として本件土地の所有権を取得した。
(三) 本件土地の登記簿上の所有名義は太郎になつているところ、右のとおり太郎は昭和四七年四月三〇日死亡し、妻である控訴人花子、母であるハナがその権利義務を承継し、更に、右ハナは昭和四九年一一月一九日死亡し、子である控訴人一郎、同乙山花枝、参加人のほか、昭和三八年一二月一九日に死亡した松夫の子である被控訴人春夫、同夏夫、同春子、同夏子がその権利義務を承継した。
(四) 本件第一一の土地について、被控訴人マツ、同春夫、同夏夫、同春子、同夏子のため、千葉地方法務局清和出張所昭和四七年一〇月二八日受付第四〇九四号をもつて所有権移転請求権仮登記が経由されており、同人らは右土地を含む本件土地を現に耕作して占有している。
(五) よつて、参加人は、控訴人花子、同一郎、同乙山花枝、被控訴人春夫、同夏夫、同春子、同夏子に対し、本件土地につき、参加人のために農地法第三条の規定に基づく許可申請手続をし、右許可があつたときは、参加人に対し、第一次的には(一)の昭和四七年二月二五日付売買を、第二次的には(二)の昭和四五年八月二七日付売買をそれぞれ登記原因として所有権移転登記手続をすることを求め、被控訴人マツ、同春夫、同夏夫、同春子、同夏子に対し、前記仮登記の抹消登記手続と、右許可を条件として本件土地上に存する耕作物を収去して本件土地を明け渡すことを求める。
2 請求原因に対する控訴人らの答弁
すべて認める。
3 請求原因に対する被控訴人らの答弁
(一) 請求原因(一)は否認する。
(二) 同(二)は、死因贈与及び太郎の死亡の点は認めるが、その余は否認する。
(三) 同(三)は認める。
4 被控訴人らの抗弁
(一) 仮に、参加人が太郎から本件土地を買い受けたとしても、それは次の理由により無効である。
(1) 本件土地については、参加人の買受け前に本件死因贈与がなされているところ、前記一、4、(一)及び(二)で述べたように、本件死因贈与は贈与者たる太郎において自由に取り消すことができないものであるから、これに反してなされた太郎の参加人に対する本件土地の売渡しは無効である。
(2) 太郎と松夫との間において本件裁判上の和解がなされているところ、同和解においては、松夫及びその子孫が農業を維持継続していくためには本件土地の所有権の帰属が必要不可欠であるところから、円満解決のため太郎が死亡するまでは本件土地の所有権は太郎に属するとされたものの、同人の死亡後は、松夫及びその子孫に贈与する旨の本件死因贈与がなされ、しかもこれが効力を生ずるまでは、太郎は、松夫及びその子孫に対し本件土地を無償で耕作する権利を認めるとともに、太郎は本件土地を松夫及びその子孫らの承諾なしに勝手に処分することができないこととされているのである。そして、参加人は、右和解の成立に重要な役割を果たし、和解成立に至るまでの経過とその内容を熟知しているのであるから、右和解の趣旨に基づき松夫及びその子孫のためにどこまでも協力すべき立場にあるにもかかわらず、太郎と結託して売買に名をかりて被控訴人らの法律上の地位を崩壊させようとしているのであり、かような行為は信義に反し到底許されない。したがつて太郎と参加人との売買は無効である。
(3) 松夫は、既に戦前において、太郎、参加人らの兄弟が上級学校へ進学したりあるいは他へ就職したことから、同人らの父甲野松太郎らの求めで家業である農業を継ぎ、右松太郎の全財産及び本件土地等の太郎名義の不動産の贈与を受けてこれらを自己の所有として管理ないし耕作してきたものであり、本件裁判上の和解もこのような経緯をふまえてなされたものである。右の事情と(二)で述べたところからすると、太郎と参加人との売買は、公序良俗に違反し、民法九〇条により無効というべきである。
(二) 仮に(一)の主張が認められないとしても、(一)で述べた事実によると、参加人はいわゆる背信的悪意者であるから、被控訴人らはその所有権取得を登記なくして参加人に対抗することができるのである。
5 抗弁に対する参加人の答弁及び主張
抗弁事実中、本件死因贈与及び裁判上の和解がなされたことは認めるが、その余は争う。
本件死因贈与については、遺言の取消しに関する民法一〇二二条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきところ、贈与者である太郎が以前にした死因贈与と抵触する処分行為をしたから、右死因贈与は取り消されたものである。右死因贈与が裁判上の和解によつてなされたことは右処分行為の効力に何らの影響を及ぼすものではない。
仮に、右死因贈与について取消しが認められないとしても、右死因贈与と参加人への売渡しはいわゆる二重譲渡であるから、右死因贈与の受贈者である被控訴人らと右売渡しの買主である参加人との関係は二重譲渡の場合における対抗問題によつて解決されるべきであり、右死因贈与が取り消すことができないものであることのみから直ちに右売渡しが無効であるとはいえない。
第三証拠
原審・当審の書証目録・証人等目録の記載を引用する。
第四控訴人乙山花技は昭和五六年六月二二日「控訴の脱退書」と題する書面を当該裁判所に提出したが、右は参加人の参加申立により本訴から脱退する趣旨と解されるところ、これについて相手方である被控訴人らの承諾がないから右脱退は効力がないものである。
理由
一 本件死因贈与の成立
成立に争いのない甲第一号証によれば、太郎を控訴人、松夫を被控訴人とする東京高等裁判所昭和二七年(ネ)第三二七号土地明渡並に損害賠償請求控訴事件について、昭和二八年一一月一九日同裁判所において、(1) 松夫は、本件土地が太郎の所有であることを承認すること、(2) 太郎は、松夫及びその子孫に対し、本件土地を無償で耕作する権利を与え、松夫及びその子孫をして右権利を失わしめるような一切の処分をしないこと、(3) 太郎が死亡したときは、本件土地は松夫及びその相続人に対し贈与すること、(4) 太郎、松夫間には、本件以外の係争事件があるけれども、これらについても爾後互いに和協の道を講ずる意思を表明すること、(5) 太郎、松夫が現に耕作している農地についての作業は相互に妨害しないこと、(6) 太郎はその余の請求を放棄すること、を条項とする裁判上の和解が成立したことが認められる。
右事実によれば、太郎は昭和二八年一一月一九日裁判上の和解により松夫又はその相続人に本件土地を死因贈与したことが明らかである。(被控訴人らと参加人との間では争いがない。)
二 本件死因贈与取消しの可否
控訴人ら及び参加人は、本件死因贈与は取り消しうるところ、贈与者である太郎は本件死因贈与後の昭和四七年二月二五日本件土地を参加人に売り渡したので、本件贈与は取り消されたものであると主張するが、本件死因贈与が贈与者太郎において自由には取り消すことができないものであることは、本件の差戻し前の控訴審判決及び本件上告審判決によりすでに確定されているところであるから、右主張は採用することができない。
もつとも、控訴人らの主張には、本件死因贈与が原則的には取り消しえないとしても、松夫は前記裁判上の和解条項第四項の趣旨に反して太郎に対し昭和二九年二月訴訟を提起し、松夫の死後は被控訴人らが右訴訟を追行するという違約行為に及んだものであり、かかる場合は例外的に取り消すことができるとの主張を含むものと解され、右和解条項第四項に控訴人ら主張のような合意があることは、前記一で認定したとおりであり、弁論の全趣旨によれば、右和解成立当時係属していた松夫と太郎との間の本件土地以外の土地に関する別件訴訟が休止満了により取下げとみなされたこと、その後、松夫が右土地に関し太郎を被告として控訴人ら主張の訴訟を提起し、同訴訟が松夫側の勝訴で確定したことが認められるのであるが、しかし、松夫が右訴訟を提起したことが、右和解条項第四項の趣旨に反するものであつたとか、本件贈与を取り消しうる事由にあたることを認めるに足りる証拠はないのみならず、前記一で認定の本件死因贈与の内容、後記三、3で認定するその成立経緯及び趣旨に照らすと、右和解条項はその違反により直ちに太郎に右贈与の取消権を付与するような趣旨のものとはいえないばかりでなく、松夫の右訴えの提起によつて太郎が右贈与を取り消しうることになるとは到底認め難い。よつて、控訴人らの右主張も採用できない。
三 太郎と参加人との間の売買の有無及びその効力等
1 原審証人丙川春江、同甲野一郎の各証言及び甲野二郎(原審証人、当審参加人)の供述により成立を認める丙第一ないし第三号証並びに右各証言及び供述によると、太郎と参加人との間で昭和四七年二月二五日参加人が太郎から本件土地を代金五〇万円で買い受ける旨の売買契約をしたことが認められ、右認定を動かすに足りる証拠はない。
2 被控訴人らは、本件土地については右売買の前に本件死因贈与がなされており、右贈与は太郎において自由に取り消すことができないものであるから、これに反してなされた右売買は無効である旨主張する。
しかし、死因贈与が贈与者において自由に取り消すことができないものであつても、贈与者は死因贈与の目的たる不動産を第三者に売り渡すことができないとはいえないから、被控訴人らの右主張は採用できない。
3 次に、被控訴人らの右売買は信義則、公序良俗に反し無効である旨の主張及び参加人はいわゆる背信的悪意者であるとの主張について検討する。
(一) 成立に争いのない甲第二号証の一ないし一三、原本の存在・成立に争いのない甲第三号証の二・三、第四号証の二、第五号証の二・三、第六号証の二・三、第七号証の二、第八号証の二、第九号証の二、第一一号証の二、第一二号証の二・三、第一三号証の二、第一五号証の二・三(措信しない部分を除く。)、第一七号証、原審証人甲野一郎、同甲野二郎の各証言(いずれも措信しない部分を除く。)、原審における承継前の控訴人甲野ハナの供述並びに弁論の全趣旨を総合すると、(1) 太郎、参加人、松夫はいずれも甲野松太郎とその妻ハナ(承継前の控訴人)との間の子で、太郎が長男、参加人が次男、松夫が三男であること、(2) 松太郎は農業と金融業を営み、ハナとの間には右三名を含む五人の男子がいたが、太郎及び参加人がいずれも農業を嫌つて上級学校へ進学する等して家を出たことなどから、松太郎及びハナにおいて、松夫に農業を継がせることとし、そのため、太郎及び参加人らも了解したうえで、昭和六年三月本件土地の一部を含む松太郎名義の不動産について松太郎から松夫への死因贈与が、昭和一六年一〇月ごろには本件土地中太郎名義であつた物件等について太郎から松夫への贈与がそれぞれなされ、昭和一九年五月一七日松太郎の死亡により右各贈与の目的たる本件土地等はすべて松夫の所有となつていたこと、(3) 松夫は、昭和六年三月高等小学校卒業後農業に従事し、本件土地等がその所有となつてからは所有者として妻である被控訴人マツ及び母ハナとともにこれを管理、耕作してきたこと、(4) この間、太郎は、他へ就職する等して家を離れ、戦時中は外地へ行つていたが、戦後帰国するや以前の了解事項を無視して本件土地等について自己の所有権を主張し始めたため、同人と松夫との間に本件土地等の帰属をめぐつて深刻な抗争が起こり、太郎は、松夫を相手どり昭和二四年本件土地所有権に基づく本件土地の明渡し等の訴えを提起し(千葉地方裁判所木更津支部昭和二四年(ワ)第九号)、敗訴するや東京高等裁判所に控訴し、同裁判所において前記一のとおりの裁判上の和解が成立したこと、(5) 右抗争において、参加人は、松夫に本件土地が帰属することを争う太郎の言い分は不当であるとして、終始率先して松夫の側に立ち、事実上松夫に代わつて太郎と対決し、訴訟のための費用もその大部分を負担するなどして松夫の権利確保のために尽力したこと、(6) 以上のような経過の中で、兄弟間の紛争の早期解決の観点から本件裁判上の和解がなされるに至つたが、参加人はこの訴訟の期日に自ら出席したこともあること、以上の事実が認められる。前掲甲第一五号証の二・三、原審証人甲野一郎、同甲野二郎の各証言、当審における参加人の供述のうち右認定と抵触する部分は措信せず、他にこれを動かすに足りる証拠はない。そして、本件裁判上の和解が、太郎は、当該訴訟の第一審で真実の所有者であると認められた松夫から登記名義どおりの所有権の承認を受ける代わりに、松夫及びその子孫に対して本件土地を無償で耕作する権利を与えて占有耕作の現況を承認し、しかも右権利を失わせるような一切の処分をしないことを約定するとともに、本件死因贈与を約定したもので、この贈与は贈与者である太郎において自由には取り消すことができないものであつたことは、前記一及び二で認定したとおりである。
右事実によれば、本件裁判上の和解は、形式的には本件土地に対する太郎の所有権を認めてはいるものの、それは紛争解決のための便宜的一手段としてなされたもので、実質的には、昭和六年及び一九年の前記各贈与によつて本件土地はすべて松夫に帰属しており、松夫及びその子孫が農業を維持継続していくためには本件土地が必要不可欠であるとの考えに立つて、松夫及びその子孫が本件土地の所有権を将来にわたつて確保し、これを管理、耕作しうるようにし、そのため右贈与が実現されるまで太郎が松夫、その子孫らの承諾なしに本件土地を他へ処分することを禁止したものというべきところ、参加人は、松夫の側に立つて右和解の成立に大きな役割を果たしたもので、もとより右のような和解の経緯、具体的内容及びその趣旨を熟知していたものと推認されるのであり、かかる立場にあつた同人が右和解の趣旨を没却するような行動に出ることは、真にこれを止むを得ないとする特段の事情、たとえば、松夫らが右和解の趣旨に反して営農を全く放棄し本件土地の大半を処分しようとしているためこれを防止する行為に及んだ等の事情がない限り、松夫及びその相続人に対する関係では、信義に反し許されないものといわなければならないところ、太郎と参加人との間の本件土地の売買が、右の特段の事情がない限り右和解の趣旨を没却するものであることは明らかである。
(二) そこで、次に右の特段の事情の存在について検討する。
(1) 前掲甲第一五号証の二・三、原審証人、当審参加人甲野二郎の供述、原審証人(当審控訴人)甲野一郎の証言の中には、参加人が本件土地を買い受けるに至つたのは、前記昭和六年及び一九年の松夫に対する贈与は、元来同人及びその子孫に本件土地を与えるためにされたものではなく、太郎の専断に対し甲野家の財産を維持するための取りあえずの便宜的措置であつたのであり、松夫を右本件土地等の管理人にしたにすぎず、右土地等は早晩松夫ないしはその相続人から甲野家に返還されることが予定されていたのである、そのため、本件裁判上の和解ののち松夫自身の希望により昭和三八年一二月一五日同人から母ハナに本件土地に関する権利を含む不動産が贈与され、参加人はハナの意を体して太郎から本件土地を買い受けることとしたものである、とする部分が存するが、前掲各証拠に照らしてそのような経緯を首肯することは到底できず(なお、松夫からハナに対する本件土地に関する贈与が認め難いことについては後記四で判断するとおりである。)、右の部分は措信できないものといわなければならない。
(2) また、本件裁判上の和解成立後間もなく、松夫が太郎を相手どり別件訴訟を提起したことは既述のとおり認められるが、これが右特段の事情にあたることを認めるに足りる証拠はない。
(3) 更に、前掲甲第一五号証の二・三、甲野二郎の供述、右供述により成立の認められる丙第三号証、前掲甲野一郎の証言、原審証人丙川春江の証言、弁論の全趣旨によると、本件裁判上の和解成立後、ハナ、太郎、二郎らは、松夫、マツ、春夫らの甲野家の財産管理やハナ又は親族に対する応接態度に不満を持つていたこと、その後、ハナとマツ、春夫らの仲が円満を欠き、その状態は昭和三八年の松夫の死後増幅され、ハナはついに別居するにいたつたこと、そのため、ハナ、二郎らは却つて太郎と親しくなり、協力してマツ、春夫らから本件土地を取り上げようとし、太郎から二郎への本件土地の売買が行われたことが認められる。右経緯によると、右売買にはそれなりの縁由があり、松夫、マツ、春夫らにも一半の責任がないとはいえないが、本件和解成立の経緯、内容、趣旨、右和解による本件死因贈与が取り消しえないものと解すべきであること等に照らすと、右のごとき事情をもつてもなお右の特段の事情があるということはできない。
そして他に右特段の事情を窺わせる証拠はない。
(三) 以上認定の事実によると、太郎と参加人との本件土地の売買は、本件裁判上の和解の趣旨を没却して被控訴人らから本件土地を取り上げようとする行為であつて著しく信義則に反するものであるといわなければならない。
(四) ところで、本件上告審判決は、「受贈者(松夫又は被控訴人ら)と買主(参加人)との関係はいわゆる二重譲渡の場合における対抗問題によつて解決されることとなる。」と判示するので、右判示をふまえて、参加人と被控訴人らの優劣関係を検討することとする。
(1) 太郎から本件土地の贈与を受けた松夫の相続人である被控訴人らと太郎から右土地を買い受けた参加人は一面において二重譲受人の立場に立ち、その面のみに着目すると、登記の有無、先後によつて優劣を決めるべきことになる。しかし、太郎が昭和四七年四月三〇日死亡し、妻・控訴人花子、母・ハナが相続し、更にハナが同四九年一一月一九日死亡し、子・控訴人一郎、同乙山花枝、参加人、松夫の子・被控訴人春夫、同夏夫、同春子、同夏子が相続したことは当事者間に争いがないから、参加人は太郎の包括承継人として太郎の被控訴人ら(マツを除く。この項においては以下同じ。)に対する贈与者としての義務を負担し、また、被控訴人らは太郎の包括承継人として太郎の参加人に対する売主としての義務を負担しているのであり、その面に着目すると、登記の有無、先後と関りなく、被控訴人らは参加人に対し贈与による所有権取得を、参加人は被控訴人らに対し買受けによる所有権取得を主張しうることになる。
(2) 右のように二重譲渡の各譲受人が相互に譲渡人の義務をも負担しているという複合的な地位にある場合、譲受人間の優劣は、結局、(イ)義務の負担者という一面を捨象して権利者の面にのみ着目し登記の有無、先後によつてこれを決める、但しこの場合いわゆる背信的悪意者の法理の適用によつて修正されるべきである、(ロ)各譲受の経緯、内容、登記の有無、先後等を総合して信義則に照らして優劣を決める、のいずれかの途をとるほかないと解される。
これを本件についてみると、前述のように、太郎と参加人との本件土地の売買は信義則に反するものであるから、右(イ)の考えをとるときは背信的悪意者の法理により、同(ロ)の考えをとるときは信義則に照らし、いずれにしても、被控訴人らは参加人に対し贈与による本件土地所有権の取得を主張することができ、反面、参加人は被控訴人らに対し買受けるによる右土地所有権の取得を主張して被控訴人らの所有権を否定することは許されないというべきである。
また、被控訴人マツが、参加人に優先することは明らかである。
(3) 以上のとおりであるから、参加人の太郎からの本件土地買受けによる所有権に基づく請求は認められないのである。
四 松夫のハナに対する贈与の成否
控訴人ら及び参加人は、昭和三八年一二月一五日松夫は太郎が死因贈与を約した本件土地に関する権利をハナに贈与した旨主張するので、検討する。
1 その成立の真否はともかくとして、乙第一号証、丙第四号証の一(乙第一号証と同じ)、同号証の二(いずれも不動産贈与契約証書と題する書面)には、いずれも昭和三八年一二月一五日付で松夫がハナに不動産を贈与する旨が記載されているところ、当審において参加人は、右二種の書面のうち丙第四号証の二が正規のものであつて、乙第一号証(丙第四号証の一)は記載の不正確な控であると供述しているので、丙第四号証の二について検討すると、同書面には、一枚目表に本文として、一 私(松夫)の名儀になつている別紙目録(一)の一に記載の不動産は一切本日(昭和三十八年十二月十五日)限り母(ハナ)に無償で贈与しましたから母は何時でも自由に所有権を移転登記して下さい。(和解により取得した私の一切の権利を含む)。」と記載され、同二枚目の裏面の別紙の部分に、「別紙目録(一)の二(太郎の名儀でも和解により取得した権利のもの)」との記載があり、右本文及び別紙目録のかつこ書部分によれば、一見、松夫は本件土地に関する権利を他の不動産とともにハナに贈与したもののごとくである。
そして、丙第四号証の二の松夫の名下の印影が同人の印章によつて顕出されたものであることは被控訴人らの認めるところではあるが、次の(一)、(二)のとおりにこれによつて前記のかつこ書部分が松夫の意思に基づいて記入されたものと推定することはできない。
(一) 右かつこ書部分の記入の経緯について、参加人は、当審において、「本文及び別紙目録の記載が一応終わつて、参加人が松夫の枕元で順番に読んで聞かせたところ、その段階に至つて、松夫が昔和解をした田畑が一部あるはずだといい出した。これに対し、参加人は、それは太郎が死んだら松夫に贈与するもので、太郎は健在であるから、贈与とか返還の対象にはならないのではないかといつた。それで仕方がなく、本文のかつこ内に前記のような記載をした。また、別紙目録(一)の二のかつこ書部分は、譲渡の対象が所有権ではなく、権利であるから、直ちに物件を書かず余白を残しておいた。」旨の供述をしている。
(二) しかしながら、右記載部分と丙第四号証の二のその余の記載内容を対比してみると、本文及び別紙目録中の主要な加除訂正部分については当該上部欄外の余白に字数を書き添えてその旨を明記しているのに、前記かつこ書部分については、その上部欄外の余白にこれを加筆した旨の記載がないこと、また、本文中に記載されている「別紙目録」の番号には「(一)の一」及び「(二)」と記載されているのに、別紙中のそれには「(一)の一」、「(一)の二」、「(二)の一」、「(二)の二」と記載されていて両者の番号が符合していないことが明らかである。
そして、丙第四号証の二の前記かつこ書部分の意味するところが極めて重要であるのにかかわらず、その加筆そう入の方法が右のように不正確かつ杜撰であること、その加筆内容が前の文言と必ずしも整合しているとはいえないこと、更には、原審・当審における被控訴人マツは、丙第四号証の二の松夫名下の印影に係る印章は、同書面が作成されたとする昭和三八年一二月一五日当時は右マツがこれを保管していたが、右の日にこれが用いられたことはない旨供述しているところ、措信できない甲野二郎(原審証人、当審参加人)の各供述を措いてこれを排斥しうるだけの確証もないことをも考え合わせると、右かつこ書部分の加筆そう入に関する参加人の前記供述はたやすく措信できず、同様にして、丙第四号証の二の控として作成されたという乙第一号証(丙第四号証の一)に関する原審証人甲野一郎、同甲野二郎の各証言もまた措信することができず、かえつて右かつこ書部分は松夫の意思に基づかないで参加人によつて加筆されたのではないかとの疑念を払拭することができない。
(三) そして、参加人が松夫からハナへの贈与の証拠として挙示する丙第五号証の一ないし三(いずれも松夫作成名義の不動産登記委任状)をみても、その委任事項には右かつこ書部分について何らの記載がなく、また、丙第八号証(ハナの被控訴人春夫に対する昭和三九年一月二一日付遺言公正証書)でも右かつこ書の部分については何ら触れられていない(この点は、ハナの参加人に対する同日付遺言公正証書である乙第四号証についても同様である。)から、右各号証は(二)の認定の妨げとはならないというべきである。更に、丙第九号証(松夫作成名義のハナ宛昭和三八年一二月一八日付贈与証書)についても、その対象物件はすべて丙第四号証の二の「別紙目録(一)の一」に列記されている山林四筆であるから、丙第四号証の二が形式上不備であることを推測させるものではあつても、前記認定を左右するに足りるものではない。
(四) 右のとおりであるから、丙第四号証の二の前記かつこ書部分が松夫の意思に基づいて記入されたものと推定することはできず、右部分については成立の真正を肯認することができない(なお、同様の理由で、乙第一号証、丙第四号証の一の各かつこ書部分の成立の真正も肯認し得ない。)。
2 そして、前掲甲第一五号証の二、三(いずれも供述調書)前掲丙川春江、甲野一郎、同甲野二郎の各供述中控訴人ら及び参加人の右主張にそうかのような部分はたやすくは信用し難く、他に右主張事実を認めるに足りる証拠はないから、右主張は採用できない。
したがつて、右主張を前提として、更にハナが松夫から贈与された本件土地に関する権利をハナから譲り受けたという参加人の主張も採用できない。
五 太郎・松夫の各権利義務の承継等
右一ないし四で説示したとおり、本件土地について太郎から松夫及びその相続人に対する死因贈与がなされているところ、これに対する控訴人らの抗弁はいずれも理由がなく、また、参加人が太郎から本件土地を買い受ける契約をしたことはこれを認めることができるものの、参加人は右買受けによる所有権を主張して被控訴人の本件土地所有権を否定しうるものではなく、太郎が本件死因贈与による権利をハナに贈与し、参加人がハナからこれを買い受けたとの主張も、その前提である松夫のハナに対する贈与を認めることができない点で採用できず、結局、参加人の請求は失当といわなければならない。
そこで、進んで、被控訴人らの請求について判断するに、請求原因(二)、(三)の事実は当事者間に争いがなく、これによれば、太郎の死亡によつて本件死因贈与は効力を生じ、松夫の権利義務を承継した被控訴人らにおいて、農地法第三条による許可を条件として本件土地の所有権をその相続分に応じて取得したものであり、控訴人らは、太郎の権利義務を承継した者として、被控訴人らに対し、本件土地につきいずれも農地法第三条の許可申請手続をし、右許可があつたときは、本件土地について各持分を、被控訴人マツが三分の一、その余の被控訴人らはそれぞれ六分の一とする所有権移転登記手続をすべき義務があるものというべきである。
六 よつて、被控訴人らの控訴人らに対する第一一の土地を除くその余の本件土地について農地法第三条の許可申請手続及び所有多移転登記手続を求める本訴請求を認容した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから棄却し、被控訴人らの控訴人らに対する第一一の土地についての新請求を認容し、なお、甲野ハナの死亡による訴訟承継に基づき、原判決主文第二項は本判決主文第三項のとおり変更されたことを明らかにし、参加人の請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法第九六条、第八九条、第九三条、第九四条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 田尾桃二 根本眞 成田喜達)
別紙物件目録<省略>