大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和58年(ネ)2842号 判決 1984年3月29日

控訴人

不破電機株式会社

代表者

不破勝

訴訟代理人

森川清一

矢田誠

被控訴人

株式会社ドライバーズチエーン野田

代表者

野田正昇

訴訟代理人

石塚誠一

村松良

石塚尚

主文

原判決を取消す。

本件を静岡地方裁判所浜松支部に差戻す。

事実及び理由

控訴代理人は「一、原判決中控訴人敗訴部分を取消す。二、被控訴人の請求を棄却する。三、被控訴人は控訴人に対し、金四四五万九七八〇円及び内金二八九万九二〇〇円に対する昭和五六年六月一日以降、内金一五六万五八〇円に対する同年七月一日以降完済に至るまで年六分の割合による金員を支払え。四、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」旨の判決並びに仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠関係は、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

職権を以て判断するのに、原審の裁判官は、本件につき、昭和五七年九月二八日の第一三回口頭弁論期日において判決の言渡をしたが、その判決原本が書記官に交付されたのは右言渡の日から一年余を経過した昭和五八年一〇月二八日であり、判決正本が双方の訴訟代理人に送達されたのは同月三一日であることが記録上明らかであるところ、右のように判決原本の交付、同正本の送達が判決言渡の時から著しく長期に亘り遅延したことにつき、これを首肯すべき合理的な理由は、当裁判所の調査の結果によつても見出し得ない。そうすると、原審裁判官は結局のところ本件につき、判決原本に基づかず判決言渡をしたものと認めるほかはなく、従つて原判決はその判決手続において民訴法一八九条一項に反する違法があるので、その取消を免れない。

そして、本件は、前述の瑕疵の態様、事案に鑑み、原審において更に手続することを相当とする(最高裁判所昭和二七年一一月一八日第三小法廷判決民集六巻一〇号九九一頁、同昭和四二年五月二三日第三小法廷判決民集二一巻四号九一六頁参照)。

よつて民訴法三八七条、三八九条に則り、原判決を取消し、本件を静岡地方裁判所浜松支部に差戻すこととし、主文のとおり判決する。

(田尾桃二 内田恒久 藤浦照生)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例