大判例

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東京高等裁判所 昭和58年(行ケ)235号 判決

判旨、審決にこれを取消すべき違法の事由があるかどうかについて判断する。

本願商標が別紙(一)のとおり「Rapi Tex」の欧文字を横書きして成り、引用商標が別紙(二)のとおり「ラビテツク」の片仮名文字を横書きして成るものであることは、当事者間に争いがなく、したがつて、各構成文字に相応して、本願商標からは「ラピテツクス」の称呼が生じ、引用商標からは「ラビテツク」の称呼が生ずるということができる。

審決は、本願商標の「ラピテツクス」の称呼と引用商標の「ラビテツク」の称呼の類否について、差異のある「ピ」と「ビ」の音は母音を同じくし「ヒ」の半濁音と濁音の微差にすぎず、また、引用商標にはない第六音である本願商標の語尾における「ス」の音は、他の構成音に比しきわめて弱く、その前音である「ク」の音に吸収され明瞭に聴きわけ難い音であるから、両称呼を一連に称呼するときはその語韻語調が近似し彼此聴き誤るおそれがある程の類似性があるとするが、その判断に誤りはないというべきである。

原告は、本願商標の半濁音「ピ」は鋭くはね強音となるのに反し、引用商標の濁音「ビ」は重く濁つた音となり、両者の音質は異質なもので聴取者には異なる音感を与え、また、本願商標の第五音「ク」は、前の第三音「テ」が促音を伴い硬口蓋による破裂音となり後尾音「ス」に至るまで一連に発音されるから、この摩擦音「ス」を強調する役目をはたすのみで弱く聴き取れない程の音になるのに反し、引用商標の第五音「ク」は、後尾音で留め音となるため強く発音される旨主張する。

しかしながら、本願商標の半濁音「ピ」が強音となり引用商標の濁音「ビ」が重く濁つた音になるとしても、両音は「ヒ」の半濁音と濁音という微差があるにすぎないというべきであり、また、本願商標の第五音「ク」は、前の第三音「テ」が促音を伴い硬口蓋による破裂音となり後尾音「ス」に至るまで一連に発音されるとしても、聴き取れない程の弱い音になるとはいえず、引用商標の第五音「ク」の音と強さにおいて左程の差異はないということができるから、この点は、本願商標の「ラピテツクス」の称呼と引用商標の「ラビテツク」の称呼を類似とする審決の判断を左右するに足るものではない。

原告は、また、本願商標の後半音節「テツクス」はパルプを押し固めた板、建材、織物の略称としてのテツクス(TEX)で一般に良く親しまれた観念を備え、引用商標の後半音節「テツク」はテクニカル・センターの略で技術練習所などの観念があり、一般人はこの良く知られた両観念の相違を意識しているものであるから、両者の称呼上の相違も明確に識別し相紛れることも少ないと主張する。

しかし、「テツクス」がパルプを押し固めた板、建材、織物の略称として一般に親しまれていることを認める証拠はなく、また、「テツク」がテクニカル・センターの略として一般に知られていることを認める証拠もないから、原告の主張は採用できない。

右のとおりであるから、審決が本願商標と引用商標とが称呼において類似するとしたことに誤りはなく、他に審決を取消すべき違法の点は認められない。

三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。

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