大判例

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東京高等裁判所 昭和59年(う)627号 判決

被告人 井坂光雄

〔抄 録〕

なるほど、原判決の挙示する関係諸証拠によれば、原判示井坂徳也ら被告人の共犯者は、原判示第一の一、同第二の一、二の各供与罪の実行に際し、いずれも同判示の金員中、その一部を受供与者らの所得に帰せしめるとともに、残部は受供与者らからさらに他の選挙人に対して供与等をなさしめる目的をもって、これを各受供与者らに授与するに至ったものであること、そして、右の金員の授与に際しては、各受供与者のほか、これらの者からさらに原判示の報酬として金員を供与すべき選挙人の概数を数えたうえ、これに一人当たり一万円を供与することを一応の目安として授与すべき金額を算出したものの、その授与した金員のうち、どれだけを受供与者の所得に帰せしめ、また、どれだけを受供与者からさらに他の選挙人に対する供与等にあてるかについては、とくにその金額を指定することなく、すべて各受供与者の裁量に一任していたことが認められる。このように授与した金員のうち、供与金額と交付金額とを特定することなく、一個の行為で授与した場合は、一応その全額を相手方の所得に帰せしめる意図の下に授与したものというべきであるから、その全体を包括して一個の供与罪のみが成立するものと解するのが相当である(最高裁昭和二四年七月一六日第二小法廷判決・刑集三巻八号一三一八頁参照)。したがって、原判決が原判示第一の一、同第二の一及び同第二の二のうち現金二万円供与の各行為につき、いずれも供与罪のみの成立を認定したのは正当であって、所論のいうような理由不備の違法はもとより、事実誤認、法令適用の誤りもな<い。>

(寺澤 片岡 小圷)

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