東京高等裁判所 昭和59年(ネ)3407号 判決 1986年5月28日
第三三〇〇号事件被控訴人 第三四〇七号事件控訴人 第一審原告 破産者株式会社ロードスター破産管財人 田中齋治
第三三〇〇号事件控訴人 第三四〇七号事件被控訴人 第一審被告 株式会社 コトブキコーポ
右代表者代表取締役 カーターこと
カッター・エリア・ジャミール
右訴訟代理人弁護士 鈴木光春
同 橘田洋一
主文
一 原判決中第一審原告敗訴の部分を取消す。
二 第一審被告は、第一審原告に対し、更に、金一九二万二八七〇円及びこれに対する昭和五七年一二月四日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。
三 第一審被告の控訴を棄却する。
四 訴訟費用は、第一、二審とも第一審被告の負担とする。
五 この判決の第二、第四項は、仮に執行することができる。
事実
一 第一審原告は、第三四〇七号事件につき主文一、二項及び四項と同旨の判決並びに仮執行の宣言を求め、第三三〇〇号事件につき主文三項と同旨の判決を求めた。
第一審被告は、第三三〇〇号事件につき「原判決中第一審被告敗訴部分を取消す。第一審原告の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも第一審原告の負担とする。」との判決を求め、第三四〇七号事件につき控訴棄却の判決を求めた。
二 当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり訂正、付加するほかは原判決事実摘示と同じであるから、これを引用する。
1 原判決三枚目表九行目の末尾に続けて、次のとおり加える。
「第一審被告は、後記代理店契約締結前から破産者より継続的にその商品を買入れていたところ、昭和五五年四月四日にホームステレオ六種の部品各一四九個を代金合計金三万八一〇〇米ドルのドル建てで買受け、右代金は、同年五月三〇日同額の米ドルで支払った。ところが、第一審被告の買掛台帳は、事務員がすべて円で記帳していたため、右取引についても、仕入価格は同年四月四日の換算率(但し、いわゆる社内レート)による金一〇四三万円と記帳され、支払金額は同年五月三〇日の換算率による金八五〇万七七三〇円と記帳され、仕入価格と支払金額の間に金一九二万二二七〇円の差額が生ずることとなったが、この差額が、以後昭和五七年三月の取引終了時点まで毎月の買掛台帳上の買掛残代金に含まれて計上されることとなってしまった。しかし、右の取引はドル建てでなされたものであるから、ドル建て代金に相当するドルによる支払いがなされたものである以上残額が生ずる余地はないのであり、右取引終了時における買掛残代金は、買掛台帳の記載である金九九二万二八七〇円から金一九二万二二七〇円を控除した金八〇〇万円が真実である。しかるに、第一審被告訴訟代理人は、この事実に気付かず、錯誤に基づき右自白に及んだものである。」
2 同三枚目表一〇行目の「異議がある旨」を「異議がある旨及び第一審被告主張の取引は円建てでなされたものである旨」と改め、同裏九行目の「約一〇〇〇台」を「多数(少なくとも一〇〇〇台以上)」と改める。
3 同四枚目表八行目の「合意」から九行目の「という。)」までを「和解契約(以下「本件和解」という。)」と改め、同裏九行目の「合意」、一〇行目及び一一行目の各「右合意」、同五枚目表四行目、裏八行目、同六枚目表三行目、五行目、裏一行目、五~六行目の各「本件合意」を、いずれも「本件和解」と改める。
4 同六枚目表四行目末尾に続けて「第一審被告は、破産者の経営状態については何ら説明されていなかったのでその状況を知らなかった。」を加え、同裏五行目の「認める。」の次に「破産者の担当者ら及び代表取締役は、本件和解成立前の折衝の際、第一審被告代表者に対し、売掛金の支払いがなければ会社が行き詰まり、やって行けない等と述べて支払いを懇請しているし、破産者はそれ以前から商品の安売りを続け、第一審被告代表者はこのことを知っていた。このことと再抗弁で主張した本件和解成立の経緯からすれば、第一審被告代表者が本件和解により破産債権者を害するに至ることを知っていたことは明らかである。」を加える。
5 《証拠関係省略》
理由
一 請求原因1の事実及び同2の事実中売掛残代金額を除くその余の事実は、当事者間に争いがない。
二 自白の撤回について
第一審被告は、当初第一審原告主張の売掛残代金額(金九九二万二八七〇円)を認める旨陳述したが、のちに右自白を撤回しこれを否認する旨述べるので、右自白の撤回の許否について検討する。
《証拠省略》によれば、破産者は、昭和五五年七月商号変更前は株式会社サンライズハウスと称していたものであるが、第一審被告は、右商号変更前の昭和五四年ころから破産者より音響機器等を買う取引を継続して来たものであること、第一審被告が破産者からの購入品名、仕入金額、支払金額、買掛残代金額等を日々記帳していた買掛台帳には、昭和五七年三月に右取引が終了した当時の最終買掛残代金が金九九二万二八七〇円と記載されていること、第一審被告は、昭和五五年四月四日破産者から台湾製ホームステレオないしその部品類六種類を買受け、同年五月三〇日その代金支払いのため金額三万八一〇〇米ドルの小切手一通を破産者に交付し、右小切手は支払われたこと、前記買掛台帳には右取引も記載されているが、その仕入金額欄は合計金一〇四三万円、支払金額欄は金八五〇万七七三〇円(三万八一〇〇ドルを一ドル当り金二二三円三〇銭で換算した趣旨が付記されている。)という記載になっており、その後右差額金一九二万二二七〇円の支払いがないままこれが前記取引終了時までの買掛残代金に含まれて記帳されて来たことを認めることができ、右認定を覆えすに足りる証拠はない。
第一審被告は、前記事実摘示欄記載のような理由で、真実の買掛残代金は金九九二万二八七〇円から金一九二万二二七〇円を控除した金八〇〇万円(但し、金八〇〇万〇六〇〇円の違算であることが計算上明らかである。)であると主張するのであり、第一審被告代表者本人尋問の結果(原審、当審)のうちには、右主張に副う部分がある。そして、《証拠省略》によれば、右ホームステレオの取引ののち、第一審被告から破産者に対し順調に代金の支払いがなされていた昭和五六年一一月までの間、毎月の取引はおおむね当月中ないしその翌月に代金支払いがなされ、買掛台帳上毎月金一九二万二二七〇円に近似する金一九二万二八七〇円の買掛残代金だけが計上される状況が続いたことが認められ、右認定を覆えすに足る証拠はないところ、右のように相当長期間右金一九二万二八七〇円だけの支払いがなされずその余の取引については順次決済され続けていたことは、右本人尋問の結果部分に沿うものといえないではない。
しかし、他方では、第一審被告主張のような単純な記帳上の誤りがあったとすると、第一審被告自身が引続き記帳し保管していた買掛台帳について右のように相当長期間その修正がなされなかったのは不自然であるといわなければならないし、証人大谷舜三の証言のうち、税理士である大谷は年に二、三回第一審被告の経理関係の書類と突き合わせて調査し、買掛台帳の正確性も確認していた旨の部分にも副わないのである。更に、《証拠省略》によれば、破産者が前記ホームステレオの販売に際して第一審被告に交付した納品書には代金が金一〇四三万円と記載されており、ドル建て売買である趣旨がうかがわれないこと、昭和五五年四月四日及び同年五月三〇日の東京外国為替市場における米ドルの対日本円TT仲値は一ドルについてそれぞれ金二五七・九〇円及び二二四・三〇円であるところ、前記五月三〇日の支払金額欄の記載は同日の右換算率より一円低い一ドル金二二三・三〇円で計算されているのに、四月四日の仕入金額欄の金一〇四三万円は、これが三万八一〇〇ドルにあたるとすると一ドル金二七三・七五円となって、同日の前記換算率との間に一ドル当り金一五・八五円もの差額が生ずることとなるのに、このような大幅な差額が生じたことを合理的に説明すべき事情はないことを認めることができる。《証拠省略》は右認定を覆えすに足らず、そのほかに右認定を覆えすに足る証拠はない。なお、前記小切手は、ホームステレオ関係の代金支払いのため特に振出交付されたものであることを認めるに足る証拠はなく、かえって、《証拠省略》によれば、右小切手は、たまたま第一審被告が入手したものを前記代金支払いにあてたものにすぎないことがうかがわれる。
右認定の事実と《証拠省略》によれば、前記第一審被告代表者本人尋問の結果部分は、未だ直ちに採用し難いものといわなければならず、そのほかに、第一審被告の前記主張事実を認定するに足る証拠はない。そうすると、第一審被告のなした自白は、これが真実でないことの立証がないので、その撤回は許されないというべきである。
三 相殺について
抗弁1(一)のように第一審被告が破産者との間で独占的代理店契約を締結していたこと、同1(二)の事実中破産者がレバノンのアンタキにカーステレオを少なくとも約一〇〇〇台輸出したことは当事者間に争いがなく、右事実と《証拠省略》によれば、破産者は、昭和五六年九月又は一〇月ころ右輸出をしたものであるが、これが前記代理店契約に違反するものであったため、第一審被告代表者は、そのころから破産者に対し損害賠償を含む違約責任の履行を要求し、折衝の結果、昭和五七年二月五日ころまでに、損害額について双方が互いに譲歩したうえ、破産者が右契約違反による損害の賠償として第一審被告に対し五万ドルを支払うことを含む本件和解が成立したものであることを認めることができ、右認定を覆えすに足る証拠はない。そして、第一審被告が、昭和五八年一月二七日の原審第一回口頭弁論期日において、第一審原告に対し、右五万ドルを一ドル当り金二四五円の割合で換算した金一二二五万円の和解金債権を自動債権とし、本件売掛残代金債権を受働債権として、対当額で相殺する旨の意思表示をしたことは、本件の記録上明らかである。
四 否認の成否
第一審原告は、本件和解は破産法七二条一号及び五号に該当するので否認する旨主張するので検討する。
1 前記三で判示した事実、《証拠省略》によれば、次の事実を認定することができる。
破産者は、主としてカーステレオの輸出販売を営業して、順調なころは年間金一〇〇億円近い売上げのあった会社であるが、昭和五六年九月ころまでに極度にその営業が不振となり、日々その営業資金、手形支払資金の調達に追われる状態に立ち至っていたところ、そのような状態で、第一審被告を通さずに、レバノンに破産者の商品であるカーステレオを輸出した。右直接輸出のうちには、少なくとも同年九月又は一〇月ころアンタキに輸出したカーステレオ約一〇〇〇台が含まれる。第一審被告代表者は、その後間もなくレバノンの取引先からの連絡により破産者がレバノン向け輸出をしたことを知り、破産者に対し、右違約の結果第一審被告が既に買受けていたカーステレオが売れなくなり二万台の在庫をかかえるに至ったと主張して、買掛金の支払いを一部留保するとともに、取引の打切りと右在庫の引取りを要求した。破産者は、当初右違約の事実を否定していたが、第一審被告代表者がレバノンから入手した資料(船積み荷札)を示されてアンタキに対する約一〇〇〇台の輸出を認めるに至った。そこで、第一審被告代表者と破産者の代表者及び担当者らは、破産者の違約の処理方法について折衝したが、破産者には第一審被告の主張する二万台を引取る余力はなかったので、金銭賠償をする方向に進んだ。第一審被告代表者は、当初破産者の違約により二〇万ドル相当の損害を被ったと主張したが、のちには損害は一〇万ドルであり、これはレバノンの取引先であるJEPCから同額の損害賠償の要求があり、第一審被告はすでにこれを送金ずみであると主張するようになった。そこで、破産者は、昭和五七年二月五日ころまでに、第一審被告代表者の右のような主張に基づいて、第一審被告に対し、右一〇万ドルを折半した五万ドルを支払う旨約束した。なお、右約束が成立したのち同年同月九日破産者より書簡の形で合意内容が提示され、第一審被告はこれを承諾したが、これによって最終的に確認された和解内容は、破産者が五万ドルを損害賠償として第一審被告に支払うが、その支払方法は昭和五七年二月に同年一月末日現在の第一審被告に対する売掛残代金から金五〇〇万円を相殺し、残金は分割して支払うこと、昭和五七年中取引を継続すること等というものである。ところで、破産者の代表者や担当者は、右折衝の間、第一審被告が主張するような損害についてはこれを信じていたわけではなく、第一審被告からそのような損害発生に関する資料が提出されたものでもなかったが、それにもかかわらず本件和解に応じたのは、破産者は、前記のように手形支払資金等に困窮し、第一審被告からの売掛金収入が支払資金に予定されていたのに、第一審被告が昭和五六年一二月ころ以降破産者の違約を理由として買掛金の支払いを一部停止する措置に出たため、早期に問題を解決して売掛金の回収をはかろうとしたことにあった。したがって、交渉には、担当者のほか、その上司である営業課長、常務、代表取締役まで第一審被告方に赴いてこれにあたり、これらの者から、第一審被告代表者に対し、破産者は経営が苦しく、売掛金の支払いがない場合にはやって行けない、つぶれるかもしれない等の趣旨を述べて早期解決を要請したが、破産者は、昭和五七年二月初旬ころまでには支払停止が高い蓋然性で予見される状態にあり、同年三月三一日手形の不渡りを出して倒産した。
以上のように認められ、第一審被告代表者本人尋問の結果(原審、当審)のうち右認定に反する部分は採用できず、そのほかに右認定を覆えすに足る証拠はない。
2 右認定のとおり、本件和解は、第一審被告の二万台の在庫による損害、二〇万ドルの損害、そして最終的には一〇万ドルを既にJEPCに支払いずみであり同額の損害が生じた旨の各主張に対し、右の一〇万ドルの出捐を折半することとして約されたものであるが、本件の全証拠によっても、第一審被告が主張していたような損害が発生したことを認めることはできない。すなわち、まず、二万台在庫については、第一審被告代表者の供述(原審、当審)中にこれに副う部分があるが、仮に第一審被告がすでに破産者より買受け、未だレバノンの取引業者により市場で売却される前の段階にある商品が多数あったとしても、このような商品の存在することが破産者の違約との関係で直ちに第一審被告の損害となったり、その価格相当額の全額を補償すべき関係にあったことまでを認めるに足る証拠はない。二〇万ドルの損害も、これに副う右本人尋問の結果部分(原審、当審)は、裏付けを欠き、採用できない。次に、第一審被告代表者本人尋問の結果(原審、当審)のうちには、第一審被告は、レバノンの取引先であるJEPCに一〇万ドルの損害賠償をする旨約束しており、現に本件和解成立後の昭和五七年三月一一日JEPCに対しその一部である二万二〇〇〇ドルを送金した旨の部分がある。しかし、右の二万二〇〇〇ドルの送金に関する《証拠省略》は、その受取人であるハンバリは右本人尋問の結果(原審)によれば第一審被告代表者の弟と共同でJEPCを経営している者であることが認められ、JEPC側における受領ないしその後の処理に関する資料は提出されておらないし、二万二〇〇〇ドルの金額もどのような経緯で決められたのか合理的な説明がないこと、《証拠省略》の送金目的欄にはクレイムと記載されているが、《証拠省略》によれば、クレイムを理由とする送金は外国に対する送金手続上の便宜及び節税のために真実の目的を偽って用いられることがあるものと認められるのであり、これらのことと、破産者が第一審被告との間の代理店契約に違反して輸出をした場合に第一審被告がJEPCに対し損害の賠償をしなければならない関係にあることを認めるに足る証拠がないことに照らすと、仮に二万二〇〇〇ドルの送金があったとしても、これが前記本人尋問の結果部分にあるような趣旨でなされたものとはにわかに認め難いというべきであり、そのほかに、前記事実を認めるに足る証拠はない。なお、《証拠判断省略》、《証拠省略》によっても、前記第一審被告が主張していた損害発生の事実まで認定できるものではない。
そうだとすると、本件和解は、第一審被告の被った損害についてこれを具体的に確認できず、その資料もないまま、第一審被告において既に一〇万ドル支払いずみであるという根拠のない事実を前提として締結されたものであって、破産者に不当に不利益であると認められるから、破産債権者を害する行為にあたるというべきである。そして、前記認定のような破産者の経営状態及び本件和解に至る経緯並びに《証拠省略》によれば、破産者は、本件和解が破産債権者を害するものであることを知っていたことが認められ、右認定を覆えすに足る証拠はない。
3 そこで、次に、第一審被告が善意であった旨の主張について検討するに、第一審被告代表者本人尋問の結果(原審、当審)のうちには、右主張に副う部分がある。しかし、本件和解に至るまでの折衝の間破産者の代表者らが第一審被告代表者に対し、破産者が窮状にあり売掛金の支払いが得られなければ倒産するかもしれない旨述べたことは前記認定のとおりであるし、《証拠省略》によれば、破産者は、第一審被告に対し、例えばRS二五〇〇GPSの機種について昭和五五年三月当時一台金一万四九〇〇円で納入していたが、同五六年七月には金一万二五〇〇円、九月金一万〇五〇〇円、一一月金九〇〇〇円、一二月金八〇〇〇円で納入するようになり、これらは一台当り金一万二〇〇〇円~一万三〇〇〇円の仕入価格以下のものであること、第一審被告は、前記和解内容にもかかわらず、昭和五七年一月二五日の買受けを最後として、その後取引をやめたことを認定することができるので、これらの事実によれば、前記本人尋問の結果部分は採用し難いものというべきであり、そのほかに前記主張事実を認定するに足る証拠はない。なお、第一審被告が、破産者に対し、昭和五七年二月五日に金五〇〇万円、同月二六日に金三三四万六九〇八円、同年三月一五日に金一〇〇万円の買掛金の弁済をしたことは当事者間に争いがないが、これによってもなお金九九二万二八七〇円の買掛残代金があったことは前記認定のとおりであるところ、この金額は、本件和解による五万ドルに近い金額であるから、前記のように本件和解後取引がなかったことと考え合わせると、右支払いは取引の継続を予定してなされたものとばかりは認め難く、取引はやめ残代金は五万ドルと相殺により決済する意図であったとうかがいえないものでもないので、前記判断を左右するものということはできない。
4 以上によれば、本件和解による五万ドル支払いの約束は、第一審原告のなした破産法七二条一号による否認によりその効力を失ったものであり、したがって、本件和解により約された右債権のみを自働債権としてなした第一審被告の相殺の意思表示は、結局理由がないことに帰する。
五 以上の次第で、第一審被告に対し、売掛残代金九九二万二八七〇円及びこれに対する本件訴状送達の翌日であることが記録上明らかな昭和五七年一二月四日から完済まで商事法定利率の年六分の割合による遅延損害金の支払いを求める第一審原告の請求は全部理由があるので認容すべきであり、右請求の一部を棄却した原判決は相当でないので、第一審原告の控訴に基づき、原判決中の右棄却部分を取消して該部分の第一審原告の請求を認容することとし、第一審被告の控訴は理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法九六条、八九条を、仮執行の宣言について同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 田中永司 裁判官 豊島利夫 加藤英継)