大判例

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東京高等裁判所 昭和59年(行ケ)295号 判決

一 請求の原因一ないし三の事実は当事者間に争いがない。

二 前記争いのない請求の原因三によれば、審決が第二引用例記載の考案を基本引用例として本願発明と対比し、両者は「目板(結合板)を嵌合する溝を両側面に設けた縦長の台枠に立体模様部材を固着した天井パネル」の点で構成上一致し、右の立体模様部材を、「本願発明では枠上部に天井板を固着した天井桝を嵌め入れたものとして、折上天井としたのに対し、第二引用例記載の考案では立体模様を有する方形材の適当数を接合して一駒単位とした駒板を貼着した点」で構成上相違すると認定し、更に右相違点に相当する構成として第一引用例に「天板と幕板、幕板と枠板とを結合して構成される装飾板(本願発明の枠上部に天井板を固着した天井桝に相当する)を天井板に貫入固定して折上天井風の天井面を得ること」が記載されていると認定したうえ、本願発明か両考案から容易に推考し得ると判断したものであることは明らかである。

三 このように、審決は、本願発明のうち前記一致点の構成が本願出願前より公知であることを示すものとして、第二引用例記載の考案を引用したものであり(同考案が右構成を備えていることは当事者間に争いがない。)、原告が同考案について本願発明との相違点として対比している天井パネルに固着された立体模様部材の差については、審決も両者の相違点として取上げているところであるから、原告の右主張はそれ自体理由がない。

四 また、審決は、本願発明と第二引用例記載の考案との相違点とされた天井枠上部に嵌め入れられる凹状の天井桝が本願出願前より公知であることを示すものとして凹状の装飾板が記載された第一引用例の考案を引用したのであり(同考案の内容については当事者間に争いがなく、この事実と成立に争いのない甲第五号証によれば、同考案が右相違点に相当する審決摘示のような構成を備えていることは明らかである。)、原告が同考案と本願発明との相違点として対比している事項のうち、天井板に装飾板を設置することに関しては、本願発明と第二引用例記載の考案との対比において一致点である縦長の台枠に立体模様部材を固着する構成として審決が取上げているところであるから、この点を第一引用例記載の考案との関係で論ずることは意味のないところである。また、原告が同考案について本願発明との相違点として対比している他の事項は、本願発明の構成とは直接関わりのない技術に関連するものであるから、この点に関する原告の主張も理由がない。

五 ところで、前掲甲第三号証によれば、本願明細書にはその作用効果として、「予かじめ決める意匠で天井桝と天井パネルとを一体に固着して用意しておけば、現場で大工は不要部を切り、通常の目透し天井と同様の施工方法で天井面に折上部を持つ天井が施工出来、組立てが簡単、工場生産が可能、安価に提供出来、取り合せで種々のデザインが選べる等の利点がある。」との記載があることが認められる(二頁一六行ないし三頁二行)。しかして、第二引用例記載の天井化粧板(天井パネル)は本願発明の天井桝とは異なる立体模様部材を貼着しているが、前記のように、本願発明同様結合板の嵌合により天井面を形成するものであるから、同引用例記載の考案においても、現場で天井の大きさに合わせて天井化粧板を切断して天井間に差渡すことができ、したがつて、各部材の組立てが簡単で、工場生産による安価なものを提供することができ、また、各部材の取り合せで種々のデザインを選ぶことが可能であるということができるから、本願発明同様の作用効果を奏するものと認められる。

また、本願発明が折上天井パネルに天井桝を嵌め入れたことにより、天井を高く、部屋を広く感じさせるという効果を奏するものと認められるが、前記のように、第一引用例記載の装飾板が本願発明の天井桝に相当し、同考案が本願発明同様装飾板を天井板に貫入固定して折上天井風の天面を得るとの構成を有するのであるから、同考案においても右装飾板により本願発明と同様の効果を奏することは明らかである。

そうであれば、本願発明の作用効果は第一及び第二引用例記載の考案においても奏せられるのであるから、審決が「第一引用例記載の装飾板を第二引用例記載の天井化粧板の立体模様部材の技術に適用してもそれによつて格別の効果を奏するものとは認められない」と判断した点に誤りはない。

六 よつて、原告主張の取消事由は理由がないから本訴請求を失当として棄却する。

〔編註〕 本願発明の要旨は左のとおりである。

目板嵌合用の溝を両側面に設けた縦長の天井パネルに、枠上部に天井板を固着した天井桝を嵌め入れ、天井パネルと天井桝とを一体に固着した事を特徴とする折上天井パネル

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