大判例

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東京高等裁判所 昭和60年(く)113号 判決

所論は要するに,本件には刑訴法89条1号及び3ないし6号所定の権利保釈の除外事由があり,かつ裁量による保釈を適当とする事情もなく,被告人に対する勾留が不当に長くなっているともいえないのに,被告人の保釈を許可した各原決定は不当である,というのである。

そこで,記録を調査して検討すると,被告人は前記の各被告事件(凶器準備集合・傷害致死・建造物侵入・暴力行為等処罰ニ関スル法律違反・銃砲刀剣類所持等取締法違反・火薬類取締法違反・有線電気通信法違反・住居侵入・傷害)につき各別に勾留され,現在,原裁判所において審理を受けている者であるところ,兇器準備集合,傷害致死被告事件のうち,傷害致死罪の法定刑は2年以上の有期懲役であるから,刑訴法89条1号に該当し,権利保釈の許されないことが明らかである。そして本件各被告事件は,いずれも被告人が所属する革命的労働者協会ないしは全国反帝学生評議会連合の組織に深くかかわる犯行を内容とするものであり,その各犯行の態様,被告人のこれら組織における地位,及び右各犯行で果たした役割等に加え,被告人が本件全被告事件につき捜査段階において黙秘し,公判段階においても徹底的に争っていることも考えあわせると,現在双方の立証が一応終っているとはいえ,なお立証の途が閉ざされているわけではないから,被告人を釈放するにおいては,被告人が自己の影響力を行使し,自らあるいはその所属する組織を通じて,既に証人として取調べた者や捜査官に対し供述した者を含む事件関係者に働きかけるなど,なお罪証を隠滅する所為に出ると疑うに足りる相当な理由があると認められる。

してみれば,所論が主張するその余の権利保釈除外事由の存否につき検討するまでもなく,本件各被告事件はいずれも被告人に対して権利保釈は許されないうえ,本件各事案の内容,これまでの審理の経過,その他記録に現われた諸般の事情に照らすと,被告人に対して裁量保釈を認めるのも相当ではなく,また被告人の勾留が不当に長くなったとも認められない。

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