東京高等裁判所 昭和60年(ラ)76号 決定 1985年5月13日
抗告人 吉田禎孝
主文
本件抗告を却下する。
理由
一 本件抗告の趣旨及びその理由は、別紙抗告状(抗告補充書の記載は省略する。)記載のとおりである。
二 そこで、まず抗告人に原決定に対する抗告権があるかについて検討する。
そもそも、過料の裁判は、管轄裁判所が職権をもって行うものであり、かつ民法八四条違反過料事件について特に申立権者を定めていないから、抗告人が原裁判所に対し竹ノ鼻らに対して過料を科すべき旨申し立てた(通知した)ことは、管轄裁判所に対し右職権の発動を促したに過ぎない。
しかして、非訟事件手続法二〇七条各項にいう「当事者」とは、過料の裁判を受けるべき者(被審人)ないしはこれを受けた者をいい、管轄裁判所に対し職権発動を促した者は、これには含まれないのであって、本件の如く、管轄裁判所が違反者として通知された者を処罰しない旨の決定をした場合、これに対し抗告を申し立てうる者は、公益の代表者として前同条に定める検察官のみであって、これ以外の者に対し抗告権を認めた規定はない。
したがって、抗告人は、原決定に対し抗告をなしうる者には該らない。
三 してみれば、本件抗告は、不適法であるからこれを却下することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 吉野衛 裁判官 時岡泰 山﨑健二)
<以下省略>