東京高等裁判所 昭和61年(ネ)3060号 判決
ところで、控訴人が昭和三七年六月二五日その建物所在地番の表示を合筆前の市谷柳町四二番地一として控訴人所有建物の所有権保存登記を了したことは前示のとおりであるから、控訴人は右地番の土地の賃借権を以後の土地所有者に対抗することができる。そして旧四二番一土地がその後合筆により本件土地の一部となったことは前示のとおりであるところ、賃借権につき一旦発生した対抗力が事後の土地所有者の一方的意思ないし行為により左右されるのは相当ではないから、少なくとも旧四二番一土地については右対抗力は右合筆後の土地所有者にも及ぶものと解すべきである。しかしながら、建物所在地番の表示は前記のとおりであるうえ、右合筆当時において控訴人所有建物の敷地として使用されていたのは旧四二番一土地のみであり、旧四一番一土地は右建物の敷地としては全く使用されていなかったのであるから、右合筆によって直ちに建物所有権の登記に基づく土地賃借権の対抗力が旧四一番一土地に拡張されるいわれはなく、右対抗力は本件敷地部分のうち旧四一番一土地には及ばないものというべきである。
(丹野 加茂 河合)