大判例

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東京高等裁判所 昭和61年(行ケ)88号 判決

原告が請求原因として主張する事実は、すべて当事者間に争いがなく、右の事実によれば、本件審決が違法であることは明らかであるから、これを取り消すべきである。

よつて、原告の請求を認容することとする。

〔編註〕 本件における請求原因中考案の要旨および審決を取り消すべき事由は左のとおりである。

本件考案の要旨

両端部に貫通孔を有し、一方の貫通孔が横長の長孔になつている連絡プレートの添接面を、起立壁の接合端部の外側面に設け、接合端面の少なくとも一方に予め工場で装着して置いた定型目地材を隣接するブロツク間で挟圧して、前記貫通孔を介して連絡プレートを前記プレート添接面にボルト締め固着するようにした水路構築用コンクリートブロツク。

本件審決を取り消すべき事由

第一引用例ないし第三引用例がいずれも、本件出願前日本国内に頒布された刊行物であつて、これらに本件審決認定のとおりの記載(第二引用例については、「一方の貫通孔が横長」に構成されているとの点を除く。)のあること、本件考案と第一引用例記載のものとの間に本件審決認定のとおりの一致点及び相違点があること、第一引用例記載のブロツク端面を相互に連結するものも、第二引用例記載の連結手段も、共に同じ技術分野に属するものであること、並びに第一引用例記載のものにおける、軟質パツキングのカルバートの接合端面への貼着が、カルバートとカルバートとを接合させる以前に行なわれるものであることは認めるが、本件審決は、本件考案の内容並びに第一引用例及び第三引用例の開示する技術事項の解釈を誤り、ひいて、相違点(2)の判断を誤つた結果、本件考案が第一引用例ないし第三引用例の記載に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものとの誤つた結論を導いたものであり、この点において違法として取り消されるべきである。すなわち、

1 本件審決が、定型目地材を予め前記ブロツクに装着する場所を工場とすることに格別の困難性はなく、それに基づく効果においても普通に予測できる程度のものであるから、相違点(2)については、当業者が極めて容易に考えられた程度のものとした判断は、以下に述べるとおり誤りである。

第一引用例及び第三引用例には、軟質パツキングや止水板がカルバートやブロツクに対して、工場(降雨降雪など天候条件に左右されない屋根又は囲いを有する物理的環境)において貼着又は嵌合される旨の積極的記載も示唆もない。第一引用例から読み取れることは、軟質パツキングはボルトでカルバートの隅を締め固着する前に接合端面に貼着されるものであつて、ボルト締め後に接合端面間の目地間隙に押し込まれるものでないこと、第三引用例から読み取れることは、止水板はブロツクを互いに嵌合連結した後に連結部に嵌合されるものでないことである。このように、ブロツク連結前にブロツクの接合端面に軟質パツキング等の定型目地材を貼着することは、本件考案の明細書の考案の詳細な説明にも従来技術として記載されており、第一引用例及び第三引用例もこの従来技術を示しているにすぎないところ、本件考案は、「定型目地材を予め工場でブロツク接合端面に装着して置くこと」を特徴の一つとして新規性及び進歩性を有するのであつて、この点を工場装着の点で開示がない第一引用例及び第三引用例のみを根拠に否定する本件審決の前記判断は、本件考案に至るまでの考案者の研究開発努力を不当に軽視するものである。

2 本件審決は、本件考案につき、「連絡プレート端部の貫通孔が長孔となつているため、目地部が開伸し、ブロツクは地盤沈下に十分追随できる」ような効果を奏し得る構成が、その実用新案登録請求の範囲に見当たらないとし、かつ、目地部の開伸とブロツクの追随沈降の可能性を否定する判断をしたが、右判断は、以下に述べるとおり誤りである。

(一) 本件考案の実用新案登録請求の範囲(前記本件考案の要旨)には、連絡プレート端部の「一方の貫通孔が……長孔となつて」おり、「前記貫通孔を介して連絡プレートを……ボルト締め固着する」との記載がある。

(二) 本件考案の願書添付図面第3図には、長孔(21b)の右端面がボルト(22b)の軸部周面と密接していることを示す表示がないのに対して、同図面第7図には、長孔(21b)の右端面とボルト(22b)の軸部周面との間に空隙が残されていることを明示している。また、同図面第5図に示した実施例では、連絡プレートの添接面には連絡プレートを嵌合する横長溝は一切設けられていないから、以上の図面と明細書の記載を参照すれば、本件考案の本旨が、ある条件下で連絡プレートをブロツクの側面に沿つて回動可能にすることにあることは明らかであり、たまたま、前記第3図等において作図表現上の制約によつて若干不明瞭な点があつても、本件考案において、長孔の形をとる貫通孔による逃げと、他方の貫通孔を中心とする連絡プレートの回動とによつて、目地部の開伸とブロツクの追随沈降が可能であることは否定できない。

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