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東京高等裁判所 昭和62年(ネ)2764号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は、控訴人らの負担とする。

事実

一  控訴人ら代理人は、「原判決中控訴人らに関する部分を取り消す。被控訴人の従前の請求及び当審における予備的請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人代理人は、控訴棄却の判決を求め、原判決主文第一、二項及び第三項中控訴人野原実(以下単に「実」ということがある。)に関する部分に係る従前の請求が一部認容されないときの予備的請求として、新たに、「控訴人らは、被控訴人に対して、それぞれ、金一〇四万七二二〇円及び内金一〇四万円に対する昭和五九年一〇月一六日から完済まで年一四・五パーセント(年に満たない端数期間については一日〇・〇四パーセント)の割合による金員を支払え。控訴人野原実は、被控訴人に対して、金九三万六二四五円及び内金九三万円に対する昭和五九年一〇月一六日から完済まで年一四・五パーセント(年に満たない端数期間については一日〇・〇四パーセント)の割合による金員を支払え。」との判決を求めた。

二  当事者双方の主張及び証拠の関係は、次の三、四を付加するほかは、原判決事実摘示中控訴人らに関する記載(判決書中三丁裏八、九行目「昭和五七年六月二八日」を「右貸付日である昭和五七年四月三〇日」に、同所末行「である」を「であり、その相続分は各三分の一である」に、四丁裏一四行目「連帯保証債務」を「消費貸借契約上の債務」に、五丁裏一一行目「認める」を「認め、その余は否認する」に改める。なお、判決書三丁裏一四行目「野原幸子」については、その後の婚姻後の「早川」姓に読み替える。)のとおりであるから、これを引用する。

三  被控訴人の主張(予備的請求の原因及びその他の主張の補足)

1  仮に請求原因1の事実が認められないとすれば、甲貸付け及び乙貸付は、梅子において、現実にはそのような権限がなかったのに、控訴人実のためにするものと称して、実の名で被控訴人に対して右両貸付けに係る借入れの申出をし(具体的には、直接実本人名義による借用証書への署名・捺印など)、これに基づき実行された(梅子が実の代理人として貸付金を受領した)ものである。

2  梅子は、実から上記に関する権限を授与されておらず、実の追認もないので、民法第一一七条第一項によって右両貸付けについての契約履行責任があり、この貸付けにつき主位的に実に対して訴求している金額と同額の金員を支払うべき義務がある。

3  梅子の死亡とその相続の関係は、請求原因7のとおりである。

4  よって、仮に請求原因1を前提とする主位的請求が認められないときには、控訴人らに対して、右の予備的主張に基づき、それぞれ梅子が支払うべき金員の三分の一である金一〇四万七二二〇円及び内金一〇四万円に対する昭和五九年一〇月一六日から完済まで年一四・五パーセント(年に満たない端数期間については一日〇・〇四パーセント)の割合による金員を支払うよう求める。

5  次に、丙貸付け及び丁貸付けについては、仮に請求原因4中の控訴人実の連帯保証の事実が認められないときには、実は、原審以来その余の控訴人らについて主張している請求原因により、これらと同様に、梅子の主債務者としての返還義務を相続分(三分の一)の割合で承継したことになる。よって、これに基づき、予備的に、その余の控訴人らに対すると同様に、金九三万六二四五円及び内金九三万円に対する昭和五九年一〇月一六日から完済まで年一四・五パーセント(年に満たない端数期間については一日〇・〇四パーセント)の割合による金員を支払うよう求めるものである。

6  原審以来再抗弁として主張する民法第九二一条所定の法定単純承認事由について補足するに、控訴人らは、協議の上、昭和五九年一〇月二五日ころ、梅子の遺産である靴、洋服、鍋釜などの日用品、箪笥などの家具、絵画(時価約二〇万円)や壺などの美術品その他を廃棄し処分した。なお、梅子が生前低利の借入金を資金として小口金融を行っていたという控訴人らの後記主張については、被控訴人としては、これら貸金債権やその証書類がどのように処分されたのかに関心を抱くものである。

また、梅子の遺産である建物賃借権(以下「本件賃借権」という。)につき控訴人らが東京地方裁判所に確認請求訴訟(以下「別件訴訟」という。)を提起したことについては、これが民法第九二一条第一号本文所定の処分に該当することは明らかである。けだし、別件訴訟の訴状において、控訴人らは、「控訴人らが本件賃借権を有する」ことの確認を求めたのであり、その請求原因として「控訴人らは梅子より本件賃借権を相続した」と主張したものであるからである。すなわち、別件訴訟において控訴人らは本件賃借権は「自分達のものである」と主張したのであり、梅子の相続財産に属することの確認を求めたのではない。

したがって、この訴訟提起が専ら控訴人らの利得を目的としたものであり、梅子の財産調査とそれまでの間の財産保全を目的としたものでないことは明らかというべきである。この点に関する控訴人らの主張は失当である。

7  なお、甲、乙、丙及び丁の各貸付け(以下、合わせて「本件貸付け」という。)は、いずれも被控訴人が国民金融公庫を業務受託者代理人として(いわゆる「窓口」として)契約したものである。

四  控訴人らの主張(右三に対する認否と反駁)

1  梅子が控訴人実の名を冒用して甲貸付け及び乙貸付けを受けたことは、原審以来控訴人らが主張しているとおりであるが、この契約締結に際して梅子が実のためにすることを示したことはなく、梅子は専ら自己が金融を得る目的でこの行為に及んだものであり、実のために各契約書に署名する意思もなかったのである。したがって、これは、無権限による署名代理(すなわち、無権代理)の事案でなく、単なる偽造の事案であるから、梅子について民法第一一七条第一項の無権代理人の責任が生ずる余地はない。なお、請求原因2の梅子の連帯保証に関しては、実の主債務が不存在であるから、保証債務の付従性により梅子の連帯保証もその効力を生じない。以上により、甲貸付け及び乙貸付けについては、相続放棄の抗弁をまつまでもなく、主位的請求も予備的請求も失当である。

2  再抗弁たる相続の単純承認に関しては、被控訴人の主張事実を否認し、争う。控訴人らが別件訴訟を提起した事情は次のとおりであって、相続人の相続財産に対する管理行為としてしたものであり、処分をしたわけではない。

すなわち、控訴人実は昭和五九年二月末港区六本木七丁目の仲田ビル一階の店舗(以下「本件建物」という。)で「海猫亭」という屋号で飲食店の営業を始めた(それまで南青山で同じ屋号の飲食店を経営していたことがある)が、これは、梅子においてビルの所有者仲田豊重から本件建物を賃借し、福村礼三に事実上転貸して家賃の差額を得ていた(梅子は、このほかに、低利の借入金を資金として、小口金融をしていた。)ところ、福村がこの店(「ふくむら」という飲食店)を閉めることになり、実が南青山から移転することになったものである。しかるに、梅子の急死(昭和五九年一〇月三日解離性大動脈瘤のため突然倒れ、意識を回復しないまま同月一八日死亡した。)後、賃貸人仲田から賃借人は既に第三者に交替しているとの理由で賃料の受領を拒絶されたり、本件建物の鍵が無断で付け替えられたり、風体の怪しい見知らぬ人物に本件建物に居座られたりするなど、控訴人らに対する様々な嫌がらせが頻発した。そのため、控訴人らは、所轄警察署に警戒を求めたりした。

右により昭和六〇年一月二三日に別件訴訟を提起した当時の状況を整理すれば、控訴人実にあっては生活の手段まで奪われる危険にさらされており、控訴人ら全体としては、梅子の遺産内容を早急に調査して相続を承認するか放棄するかの決断をしなければならず、一方で、賃貸人が早晩控訴人らに対して本件建物の明渡請求訴訟を提起することも明らかであり、他方で、賃借人若しくはその代理人と称する者が暴力的に控訴人らを本件建物から排除する動きに出ていたということになる。このような事態を放置しておけば事実上本件賃借権が失われる危険があったので、仮に相続放棄するにしても、次順位相続人に原形のまま相続財産を引き継ぐためにも、控訴人らが管理行為ないし保存行為として別件訴訟を提起したにすぎない。加えて、別件訴訟は確認訴訟であって、確認訴訟は、何らかの給付や新たな権利関係の形成を求めるものでなく、現在の権利関係を観念的に確定させるにすぎず、目的において防衛的現状肯定的であり、態様において平穏抑制的であるから、その提起は、一般的に管理行為ないし保存行為と見るべきである。

以上、別件訴訟の提起をもって、単純承認事由たる処分行為があったと見ることはできない。

五  証拠関係<省略>

理由

一当裁判所もまた、被控訴人の従前の請求を正当として認容すべきものと判断する(被控訴人は、慎重を期して、甲、乙、貸付けに係る控訴人ら三名に対する請求及び丙、丁貸付けに係る控訴人実に対する請求につき、予備的請求の申立てをしているけれども、これについての判断をするまでもない。)。その理由は、次のように補充し敷衍するほかは、原判決の説示と同一であるから、控訴人らに関する右説示の記載(判決書六丁表二、三行目「証人本多隆生」を「証人本多隆夫」に、同所三行目「同人」を「国民金融公庫の職員である本多隆夫」に、同所一六、一七行目「考えられない」を「考えられず、したがって、本多と面談したという「被告実とされる者」は、身代わりではなく、正に被告実本人であったと認められる」に改める。)を引用する。当審における証拠調べの結果を参酌しても、右引用の原判決の認定判断は動かない。

1  甲ないし丁貸付けに関する事実認定等についての補充

(一)  国民金融公庫の業務受託に関する被控訴人主張事実は、控訴人らにおいて明らかに争わないので、これを自白したものとみなすべきであり、したがって、甲ないし丁貸付けは、被控訴人が同公庫を代理人として契約したものである。

(二)  甲ないし丁貸付けに関する当裁判所の事実認定は、さきに原判決理由を引用して示したとおりであるが、特に、控訴人実の甲、乙貸付けについての主債務者としての契約及び丙、丁貸付けについての連帯保証人としての契約の締結の点が強く争われているので、この点につき補充するに、次のとおりである。

甲、乙貸付けの借用証書である甲第一号証の一、二及び丙、丁貸付けの借用証書である甲第三号証の一、二における控訴人実名下の印影は、成立に争いのない甲第二号証の一及び第四号証の三(いずれも、同控訴人の印鑑登録証明書)並びに原審及び当審(第一、二回)における同控訴人本人の供述によって、同控訴人の実印によるものと認められる(同控訴人との関係では、甲第三号証の一、二の印影については争いがない。)ので、右各印影についてはその押印の真正が推認され、その結果、右甲第一号証及び第三号証の各一、にの同控訴人名義による作成部分は、全部真正に成立したものと推定すべきである。本件の全証拠、特に当審における控訴人らの立証によっても、この推定は崩れないから、控訴人実の主債務者ないし連帯保証人としての契約の締結は、右各証(同控訴人作成部分)によってこれを認定するに十分である。ちなみに、原審及び当審(第一回)における同控訴人本人の供述によれば、同控訴人は、①その経営する南青山の「海猫亭」の経理を母の梅子に見てもらっていたこと、②国民金融公庫渋谷支店には梅子と一緒に赴いたことがあることが認められ、②についての右本人供述は、同公庫支店に用件があったのは梅子のみで、自分は待合室で待っていたというのを付加しているが、これはたやすく信用することができず、これを除く右①、②の点は、同控訴人が梅子とともに同公庫支店に赴いた際その職員と応接したのではないかと窺わせるものであって、同控訴人が公庫と契約したという事実認定の傍証とすることができると同時に、控訴人実の実印による前記甲号各証上の印影は梅子がほしいままに押印したものであるかのように言う原審及び当審(第一回)における同控訴本人の供述の信憑性に疑問を生ぜしめるものである。

2 控訴人らの相続の単純承認に関する判断についての敷衍

まず、控訴人らが別件訴訟を提起したことは当事者間に争いがないところ、その内容・経過を見るに、<証拠>によれば、梅子が本件建物の賃借権(以下「本件賃借権」という。)を有し、同所で梅子の次男である実が営業許可を受けて飲食店「海猫亭」の営業をしていたこと、しかるにその経営が順調でなかったのか、梅子において本件賃借権を他に譲渡しようとしていたこと、その折柄梅子が倒れて意識不明のまま約二週間後に急死したこと、この間の入院中に梅子の長男である控訴人野原亘(以下単に「亘」ということがある。)に対して本件賃借権譲渡の話が持ち出されており、亘は譲渡代金がどの程度になるかを検討していたこと、梅子の死亡した四日後の昭和五九年一〇月二二日、亘と実は中島富久なる女性に(控訴人らの主張では、強迫ないし偽罔されて)本件賃借権の譲渡を同女に委任したものであるとしか読めない念書(甲第一〇号証の一九)を交付したこと、その直後から控訴人らはこの念書が無効と主張していたのであるが、右中島を通じて本件賃借権を譲り受けたという第三者(株式会社遥虹ランド)が現れ、本件建物の所有者であり賃貸人である仲田において、この賃借権譲渡を有効と見て、控訴人らが賃借人であることを認めないようになったこと、そこで、控訴人らは、弁護士に委任して、仲田に対し別件訴訟を提起したのであるが、その主張内容は、梅子が有した本件賃借権を控訴人らが「相続」したので、現在の賃借人は控訴人らであるからその確認を求めるというものであったこと、別件訴訟の訴状は昭和六〇年一月二三日に受理され、五回の口頭弁論期日を経た後、同年九月一三日取下げ及び被告である仲田の同意によって終了したこと、別件訴訟提起前の昭和五九年一二月二四日、中島は、亘及び実に対して委任契約に基づき引き渡すべき金員であるとして金七三万八〇〇〇円を弁済供託した(乙第四〇号証はその通知書)こと、既にこの前にこれら双方が弁護士を代理人として各自の言い分を内容証明郵便で主張し合っていたこと、中島の言い分は亘及び実からの委任に基づき本件賃借権を代金一〇〇〇万円で処分したが、梅子の借金等を整理したら右供託金しか残らないというものであり、このことは、内容証明郵便の趣旨からして、控訴人らにおいて(控訴人幸子は亘ないし実から聞いて)別件訴訟提起時十分に認識していたところであるといえること、一方、梅子の遺産には、絵画、壺、箪笥、衣類等若干の動産があったが、控訴人幸子において無価値と判断して廃棄処分したこと、控訴人らは、別件訴訟の代理人弁護士に対して数十万円の手数料を支払っていること(控訴人らは、この弁護士には、梅子の遺産たる債権債務の調査を依頼したものであるかのように供述するが)この弁護士も控訴人ら自身も、本件賃借権を確保しようとしたほかには、格別の遺産調査をした形跡が見当たらないこと、概要以上の事情を認めることができ、この認定に反する直接的な証拠はないが、例えば、右の遺産調査などに関する控訴人ら各本人の供述中この認定の趣旨に反する部分は、信用することができず、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。

右認定事実並びに前掲各証拠及び弁論の全趣旨に現れたその他の事情に徴するとき、控訴人らのした別件訴訟の提起追行が民法第九二一条第一号本文所定の「処分」に当たることは明らかというべきであって、これを疑う余地はない。すなわち、別件訴訟は、梅子が本件賃借権を有していたかどうかが争点ではなく、この賃借権を控訴人亘及び実が中島を介して処分したかどうか、これによって控訴人ら全員との関係で、第三者が有効に本件賃借権を取得したかどうかが争われたものである。そして、民事訴訟法第二〇八条第二項は、相続放棄熟慮期間中は相続人であっても訴訟承継できないことを定めているのであって、その趣旨は、遺産たる権利義務を実体法上「相続した」者が当該訴訟物に関する訴訟当事者適格を有するというに帰着する。この理は、被相続人の提起した訴訟を承継する場合に限られず、相続人が新たに訴訟を提起する場合にも妥当する。けだし、後日の相続放棄により、その相続に関しては初めから相続人にならなかったものとみなされる(民法第九三九条)ので、このような相続人との間で判決を確定しても、紛争が実質的に解決したことにならないからである。したがって、相続人が遺産についてその権利義務が自己に帰属するとして訴訟を提起することは、その当然の前提として、これを相続し、ひいて相続放棄はしないことが内包されているものと見るのが相当であるから、そのような訴訟提起自体が民法第九二一条第一号本文所定の「処分」に当たると解することが可能であり、かつ相当である。もとより、例外的にそのように見ることが相当でない訴訟がありうるかもしれないが、控訴人らの別件訴訟に関しては、右の処分に当たると十分に認めることができ、これを不相当というべき事情は見当らない。控訴人らが相続財産の調査ないし管理行為・保存行為として別件訴訟を提起したとの主張があり、控訴人ら各本人はこれに沿う供述をしているけれども、前認定に係る事情及びその余の前掲各証拠に対比して、信用することができない。控訴人らが調査ないし管理行為・保存行為として又は第二次相続人のために別件訴訟を提起したのであれば、そのことを明らかにしてこれを追行するなり、単に相続放棄して第二次相続人の判断に任せるなりするのが普通であるところ、自分達が相続放棄するからといって取り下げて済ますというのは不自然であり、無責任である(民法第九四〇条参照)。ひっきょう、控訴人らは、正に別件訴訟において請求主張したとおり、自らが本件賃借権を相続取得する意思で、賃貸人に対してこの賃借権が控訴人らに帰属することの確認を求めたものであり、これが遺産についての調査ないし管理行為・保存行為とは認められないことは、明らかというべきである(相続放棄するかどうかを決定するために、遺産の存否ないし内容の調査を弁護士に委任することは通常あり得ないし、まして、本件賃借権を含む梅子の遺産に関して、その取得を目的とせずに、単に調査ないし管理・保存するだけのために、弁護士に数十万円支払うなどということも通常あり得ない。)。そして、右のような趣旨で別件訴訟を提起し、これが前示「処分」に当たると認められる以上、その後これに勝訴する見込みが乏しくなった、あるいは、仮に勝訴しても梅子の債務と対比してさほどの利益が見込めなくなったなどの判断により訴訟を取り下げ相続を放棄した(控訴人らの相続放棄及び訴訟取下げの動機としては、他に想定し難い。)からといって、既に提起した別件訴訟の処分行為性が失われる道理はない。

したがって、梅子の動産の処分について論ずるまでもなく(梅子が生前派手な生活をしていたこと、急死したものであること、本件建物で飲食店を経営していた(したがって、相当の什器備品があったはずである)こと、控訴人ら各本人の供述によっても、絵画や壺などの美術品があったこと等々からして、債務も多かったかもしれないが、ある程度の動産もあったはずであるから、控訴人らが控訴人幸子を通じてこれらを全部廃棄した(控訴人らの言い分。もっとも、にわかに信用し難い。)とすれば、これまた、単純承認事由に当たること明白である。)、控訴人らには民法第九二一条第一号本文所定の事由があり、単純承認をしたものとみなされることになる。

二以上の次第であって、被控訴人の従前の請求を認容した原判決は相当であるから、民事訴訟法第三八四条、第九五条、第八九条及び第九三条に従い、主文のように判決する。

(裁判長裁判官賀集 唱 裁判官安國種彦 裁判官伊藤 剛)

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