東京高等裁判所 昭和62年(行コ)37号 判決 1987年11月26日
横浜市磯子区岡村四丁目三三番三〇号
控訴人
稲葉正之助
右訴訟代理人弁護士
鈴木繁次
同
西川雅晴
横浜市南区南太田二丁目一二四番地の一
被控訴人
横浜南税務署長
川平一夫
右訴訟代理人弁護士
斎藤健
右指定代理人
布村重成
同
竹野清一
同
佐藤敏行
同
坂上永
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は、控訴人の負担とする。
事実
一 当事者の求める裁判
1 控訴人
原判決を取り消す。
被控訴人が控訴人に対し昭和五六年三月四日付けでした各処分のうち左記部分を取り消す。
(一) 控訴人の昭和五二年分所得税の更正のうち総所得金額一八五三万一六三九円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分
(二) 控訴人の昭和五三年分所得税の更正のうち総所得金額一四〇三万二四四七円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分
(三) 控訴人の昭和五四年分所得税の更正のうち総所得金額一七五〇万三二二五円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分
訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
2 被控訴人
主文同旨
二 主張と証拠
当事者双方の主張は原判決事実摘示のとおりであり(ただし、原判決二二枚目表九、一〇行目の「覆えられない」を「覆らない」と訂正する。)、証拠関係は本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりである。
理由
一 当裁判所も、控訴人の本訴請求を失当と判断するものである。その理由は、左記のほかは原判決の理由説示と同じであるから、これを引用する。
1 原判決二八枚目表一〇行目の「被告の主張2(二)(イ)」を「被告の主張2(二)(2)(イ)」と訂正する。
2 同三九枚目裏二行目の「すぎないのであり」を「すぎない。」とし、以下九行目末尾までを次のように改める。
「しかも、控訴人の主張する株式売買による損失は、控訴人が税務署側の何らかの作為又は不作為を信頼したが故に生じたという性質のものではなく、専ら自己の才覚の然らしめた結果にほかならないし、被控訴人の控訴人に対する本件各更正は、控訴人の過った申告を是正し、法を正しく適用した場合に課せられるべき正当な税額の負担を命じたにすぎず、信頼に反する不当な不利益を負わせるものではないのであるから、本件各更正につき禁反言の法理又は信義則を論ずべき特段の事情は存在しないというべきである。」
二 よって、控訴人の本件控訴を棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 西山俊彦 裁判官 藤井正雄 裁判官 武藤冬士己)