東京高等裁判所 昭和63年(う)1203号 判決
被告人 レットフォード・デビッド・マイルズ
〔抄 録〕
本件のように、大麻を不正に輸入する意図のもとに、税関空港等外国貨物に対する税関の実力的管理支配が及んでいる地域に外国から航空機により大麻を持ち込む場合、大麻取締法四条一号、二四条二号の輸入罪は、大麻を税関空港に着陸した航空機から取り降ろすことによって既遂に達し(最高裁判所昭和五八年(あ)第一二三五号同年一二月二一日第一小法廷判決・刑集三七巻一〇号一八七八頁参照)、また、右に認定したように、被告人が大麻を携行して搭乗した航空機が税関空港である新東京国際空港に着陸した後、被告人は大麻を携行して同航空機の外に出て本邦に降り立ったうえ、不正輸入の意図をもっていわゆる通関線を通過すべく旅具検査場へ向かって進み、税関検査台の行列に並んだのであるから、関税法一一一条の無許可輸入罪の実行の着手に至っていることが明らかというべきであり、したがって、検査台の行列に並んでいる途中で通関線に到達するに先立ち、大麻樹脂の一部や大麻草を投棄した事実があるにせよ、本件においては、大麻樹脂合計約一〇九四・五八グラム及び大麻草約〇・九八グラム全量につき、大麻取締法上の輸入(既遂)罪及び関税法上の無許可輸入未遂罪の成立が認められるのであって、原判決に事実誤認は認められない。
(寺澤 朝岡 新田)