大判例

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東京高等裁判所 昭和63年(ネ)1699号 判決

商法二六条一項が、譲渡人の営業によって生じた債務について、譲渡人の商号を続用する営業譲受人に弁済義務を負わせた趣旨は、商号の続用がある場合においては、譲渡人の営業上の債権者が、営業主体の交代を知ることができないため、または、その事実を知っていたとしても譲受人が当然債務も引受けたと考えがちなため、債権の保全措置を講ずる機会を失うことが多いところから、譲渡人の債権者を保護しようとするものと解されるが、営業譲渡に伴い続用されるものが、譲渡人の商号そのものではなくその屋号である場合であっても、その屋号が商号の重要な構成部分を内容としているときは、譲渡人の債権者にとっては、右と同様な事情があるとみるべきであり、したがって、少なくともこのような屋号が続用される場合については、商法二六条一項の規定を類推適用して、譲渡人の債権者を保護すべきものと解するのが相当である。

そして、本件における屋号「徳泉閣ホテル」は訴外徳泉閣の商号「有限会社徳泉閣ホテル」の重要な構成部分を内容とするものであるから、これを続用した控訴人らは、それぞれ同条項の規定の類推適用により、訴外徳泉閣の営業によって生じた債務について、その債権者に対し、訴外徳泉閣と連帯して弁済をすべき義務を負うものというべきである。したがって、控訴人らは各自、被控訴人に対し、訴外徳泉閣の営業によって生じた債務である前記手形金債務を、弁済すべき義務がある。

(吉井 小林 河邉)

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