東京高等裁判所 昭和63年(ネ)2089号 判決 1990年10月25日
控訴人
株式会社日本リース
右代表者代表取締役
佐々木實
右訴訟代理人弁護士
木戸孝彦
池田映岳
原田肇
被控訴人
更生会社日東工営株式会社管財人
藤井鎮男
右訴訟代理人弁護士
市野澤邦夫
中川徹也
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 (当審における予備的請求について)
1 被控訴人は、控訴人に対し、別紙物件目録記載の物件を引き渡し、昭和六一年一二月一日から右引渡しずみまで一か月三万四六六〇円の割合による金員を支払え。
2 控訴人のその余の請求に係る訴えを却下する。
三 当審における訴訟費用は、主位的請求及び予備的請求を通じてこれを五分し、その三を控訴人の、その余を被控訴人の各負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人
(主位的請求)
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、別紙物件目録記載の物件(以下「本件リース物件」という。)を引き渡し、昭和五九年五月一六日から、右引渡しずみまで一か月三万四六六〇円の割合による金員を支払え。
3 被控訴人は、控訴人に対し、一二七万四五六五円及びこれに対する昭和五九年五月一六日から支払ずみまで年14.6パーセントの割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
5 仮執行の宣言
(予備的請求―当審における新たな請求)
1 被控訴人は、控訴人に対し、本件リース物件を引き渡し、昭和六一年一二月一日から右引渡しずみまで一か月三万四六六〇円の割合による金員を支払え。
2 被控訴人は、控訴人に対し、一〇三万九八〇〇円を支払え。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
4 仮執行の宣言
二 被控訴人
(主位的請求について)
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
(予備的請求について)
控訴人の予備的請求を棄却する。
第二 当事者の主張
主位的請求に関する当事者の主張は、以下の一及び二に記載するほか、原判決事実摘示(昭和六三年七月八日付け更生決定による更生部分を含む。)のとおりであるから、これを引用し、当審における予備的請求に関する当事者の主張は、以下の三ないし五に記載するとおりである。
一 原判決の訂正
原判決三枚目表五行目の「選任された」の次に「(但し、更生管財人中根宏は昭和六二年一二月一八日更生管財人を辞任した。)」を加え、同四枚目表九行目の「一二七万四五六四円」を「一二七万四五六五円」に改め、同五枚目裏四行目の「一定の利潤を」の次の「を」を削り、同二〇枚目表五、六行目の「毎月七日」を「毎月二七日」に改める。
二 控訴人の法律上の主張の補足、敷衍
1 リース料債権は、会社更生法(以下「法」という。)一〇三条所定の双方未履行の双務契約に基づく債権であり、共益債権として取り扱われるべきものである。
(一) ファイナンスリース契約においても、リース業者は、リース期間中、ユーザーにリース物件の使用収益権を付与するものであり、ユーザーにリース物件を引き渡すにとどまらず、引渡後もユーザーがリース物件を使用収益することを受忍し、ユーザーの使用収益を妨害しない義務を負っている。そればかりでなく、リース業者は、リース契約に基づく義務として、リース物件についての損害保険料の支払義務、固定資産税の負担義務、ユーザーが負担した修補費に係る保険金請求義務、リース業者が売主に対して有する瑕疵担保請求権をユーザーに譲渡する義務等を負担しているのであり、これらもまた、ユーザーがリース物件を使用収益する上で必要とされるものである。
(二) 他方、リース料債権は、リース契約締結時にリース期間中の全リース料債権が確定債権として発生してこれが分割払にするものではなく、リース期間の経過に伴いその間のユーザーの使用収益に対応して随時発生するものである。本件リース契約において、リース料が一か月単位で定められ、また、リース契約が期間の途中で解除されて終了した場合に未経過月の月額リース料は発生しないものとしていることなどをみても、リース物件の使用収益と当該月の月額リース料の支払とが対価的関係にあることは明白である。
なお、リース契約において、ユーザーはリース物件を使用せず又は使用できない期間があってもリース料の支払義務を免れない旨の規定があるのは、リース業者がリース物件の瑕疵担保責任を負わないこととの関連で、リース物件の引渡後に物件の瑕疵に関してユーザーと売主との間に紛争が生じても、ユーザーはリース料の支払を拒否することができないという例外的な場合について定めたもので、一般的にリース料の非使用対価性を定めたものではない。
(三) 右のとおり、リース業者の負担する前記(一)の使用収益受忍義務その他の各義務は、すべてユーザーの負担する各月のリース料支払義務と対価関係に立つものである。
(四) ファイナンスリース契約は、法一〇三条の適用が認められる一般の賃貸借契約と本質的に異なるものではない。
まず、ユーザーの中途解約権が認められない点は、一般の賃貸借においても、賃貸人の利益保全のために約定期間の途中での賃借人からの任意解約を認めない例が数多く存在する。また、リース業者がリース物件について瑕疵担保責任を負わないのは、リース物件に関する専門知識がユーザーの方にあること、リース物件の選択、決定、検収が実質的にユーザーと売主との間で行われることなどによるものであり、リース契約の賃貸借性を否定するものではない。危険負担についていわゆる債権者主義が採用されているのも、右のようなリースの特殊性から、リース物件がリース業者及びユーザーにとって特定物そのものであるからである。更に、ユーザーの債務不履行の場合に、リース物件の返還のほか、残リース料又はこれに相当する規定損害金の一括支払を求めることができるとされている点は、ユーザーの債務不履行により生じるリース業者の得べかりし利益の喪失損を誰が負担するかに関する当事者間の合意の効果にすぎない。特に本件リース契約においては、右の残リース料一括支払の定めはなく、また規定損害金は残リース料相当額とはなっていない。
2 リース物件の所有権は、リース業者に帰属するものであり、将来ともユーザーに帰属させることは全く予定されていない。従って、リース契約を所有権留保約款付割賦売買契約等と同一視して、リース物件の所有権はリース料の支払を担保する機能しか有していないとし、リース業者を更生担保権者と取り扱うことは誤りである。
(一) ファイナンスリース契約の仕組みは、次のとおりである。
リース業者は、ユーザーの希望する物件を売主から購入し、リース業者が所有する有形固定資産(貸与資産)として計上し、ユーザーに右物件をリースして、物件にかかる公租公課及び保険料はすべてリース業者において支払い、他方、ユーザーは、リース期間中、リース料を支払うことになるが、リース期間の途中又は終了時においてもリース物件の所有権をユーザーが取得することはなく、リース期間満了後にもリース物件の使用継続を希望するときは再リース契約を締結するしかない。
(二) 右のようなリース契約の仕組みは、減価償却を加速させるという税務対策から生じたものであり、リース契約においては、リース物件の所有権は全く移転することがない。むしろ、所有権を移転させてはならないものなのである。
このようなリース契約を、所有権の移転を前提として売買代金完済までの間所有権を留保しているにすぎない所有権留保約款付割賦売買契約と同一視し、リース業者の有するリース物件に対する所有権をもってリース料支払の担保と構成することは、リースの本質に反するものである。リース業者のリース物件に対する所有権は、いかなる意味においても担保的機能を有するものではなく、法一二三条一項にいう特別の先取特権、質権、抵当権又は商法による留置権とみなされるものではない。
(三) ファイナンスリース契約を所有権留保約款付割賦売買と同一視する見解は、その契約の形式のみならず、以下のような両者の重要な差異を無視するもので、誤りである。
(1) 割賦売買代金とリース料合計額の意味の差異
所有権留保約款付割賦売買においては売主は、原価や経費、利潤等を勘案して自らの判断で売買代金を決定できる。
これに対して、リース業者は、リース料算定の基礎となるリース物件の購入代金を自ら決定することはできない。購入代金は、リース業者が関与する以前に売主とユーザーとの間で決められているのが通常である。リース業者は、代金の回収を図ればよい売主とは違って、購入代金の回収にとどまらず、リース物件を貸すことによって生ずるすべての経費を回収しなければならないのであり、リース料には、本質的に経費の回収という要素が含まれている。
(2) 割賦売買における所有権留保とリース契約における所有権の意味の差異
割賦売買における目的物件の所有権は、買主の割賦売買代金の履行の担保として売主が留保するもので、当然のことながら代金が完済されたときは、所有権は買主に移転する。割賦売買において、買主が代金の支払を怠って期限の利益を失った場合でも、買主は、残金を一括して支払えば売買物件の所有権を取得することができる。
これに対し、リース契約におけるリース物件の所有権は、ユーザーに移転することはないのであり、ユーザーがリース料の支払を怠った場合には、将来のリース料を全額支払う義務は発生せず、リース契約が解除され、ユーザーはリース物件をリース業者に返還しなければならないことになる。リース物件の返還義務は、リース契約の解除の債権的効果として生ずるものであり、リース業者が所有権を有してその担保権を行使したからではない。
(3) 売買物件とリース物件の意味の差異
割賦売買において、売主の目的は売買代金の回収であり、留保した所有権は代金の担保となるから、担保的機能がない物件、すなわち使用による価値の減少が著しい物件あるいは持ち運びが容易で所有権が失われやすい物件等は所有権留保付割賦売買になじまない。一般には、工作機械、産業機械、建設機械等の転売可能な物件、価値の減価率が緩やかなものが所有権留保付割賦売買の対象となる。
これに対し、リース契約においては、ユーザーが使用を希望し、リース業者が所有権を取得できるすべての物件がリースの対象となる。使用開始と同時に価値が極端に下がる物件でもリース物件となる。したがって、リースにおいては、ユーザーがリース物件をリース期間中使用し、リース料を支払い続けることが必須条件であり、かかる信頼のもとにリース契約が存在する。リース物件の所有権をもって担保と考えているものではない。
(4) 割賦期間とリース期間の意味の差異
割賦売買においては、留保した所有権が代金の担保であるから、担保価値が失われるほどの長期にわたる割賦期間が設定されることはない。割賦期間は、通常、一年(一二回払)から二年(二四回払)である。
これに対し、リース契約においては、リース期間が本来税務上の耐用年数と密接な関係を有しているため、五年から七年という長期のリース期間が設定される。耐用年数を著しく短縮する期間を設定したリース契約は、税法上リースと認められない。リース期間の設定自体、担保という発想とは無関係である。
以上のとおり、リース契約と所有権留保約款付割賦売買とは、法的にはもとより、経済的にも、税務的にも、当事者の契約目的からも明らかに異なるものであり、これを同一視することは許されない。
(四) 本件リース契約のリース料の算定は、物件購入代金からリース期間満了時の残存価値を控除しないいわゆるフルペイアウト方式によっている。
しかし、右フルペイアウト方式とは、リース料算定にあたって、当初のリース期間中にリース物件の取得費用の全額を回収するように計算するということであり、ユーザーがリース期間中のリース料支払によってリース物件の所有権を使い切ってしまうという意味ではない。
また、フルペイアウト方式か否かは、リース期間中にすべての経費を全額回収するか、その一部を残すかの問題であって、リース期間満了時におけるリース物件の客観的交換価値とは全く関係がない。事務機器その他リースの対象となる有体動産は、リース期間満了時においてその交換価値が極端に下がるものはあっても、零になる物件は例外である。特に、専用品ではなく汎用品の場合、中古市場さえ存在すれば、それなりの価値がある。中古市場がなく交換価値が著しく減少している物件であっても、ユーザーにとっては使用価値は極めて大きいものであり、交換価値に代えられない使用価値はある。本件リース物件は、郵便物の発送業務あるいは委任状その他印紙を必要とする文書作成業務を簡略化する計器であって、世界的にも評価が定まり、仕様・性能の安定した長期間の使用に耐える機器であり、五年のリース期間満了時に残存価値が零になるような物件ではない。本件リース物件は、リース期間満了時において、ユーザーが使用継続を希望する場合にも再リースによって収益を生み出す価値があり、再リースされない場合にも処分可能な資産としての価値を有している。
したがって、フルペイアウト方式がとられていることから、リース物件の所有権の帰属がリース業者にとって無意味であるとか、非フルペイアウト方式がとられている場合と法律的取扱いを異にすべきであるというのは正しくない。
三 控訴人の予備的請求原因
1 控訴人は、昭和五六年一一月一八日、日東工営との間において、本件リース物件につき本件リース契約を締結し、なお、リース期間満了までに新たなリース契約を締結しなかったときは、日東工営は本件リース物件を返還し、右返還完了までリース料相当額の損害金を支払うとの約定の下に、同年一二月一日、日東工営に対して本件リース物件を引き渡した。
2 日東工営は、昭和五八年一二月二三日、会社更正手続開始の決定を受け、被控訴人及び中根宏が更正管財人に選任されたが、中根宏は、昭和六二年一二月一八日、更正管財人を辞任した。
3 本件リース契約は、その期間満了までに新たなリース契約が締結されることなく、昭和六一年一一月三〇日をもってリース期間が満了した。
4 よって、控訴人は、主位的請求である本件リース契約のリース料不払による解除が認められないときは、予備的に、被控訴人に対し、リース期間満了による本件リース物件の引渡とリース期間満了の翌日である昭和六一年一二月一日から右引渡ずみまで一か月三万四六六〇円のリース料相当の損害金の支払を求めるとともに、主位的請求で支払を求めた昭和五九年五月までの分を除く同年六月一日からリース期間満了の昭和六一年一一月三〇日までの三〇か月分のリース料合計一〇三万九八〇〇円の支払を求める。
四 控訴人の予備的請求原因に対する被控訴人の答弁
1 予備的請求原因1ないし3の事実は認める。
2 控訴人は、リース期間満了前に再リース契約が締結されなかったことを理由として本件リース物件の返還を求めているが、リース期間の満了前からすでに主位的請求原因記載のようにリース契約の解除を主張して本件リース物件の返還を求める訴えを提起していたのであって、控訴人自身において再リース契約の余地を否定し続けてきたものというべきである。
3 ファイナンスリース契約におけるリース業者のリース物件に対する所有権の実質ないし機能は、リース料支払の担保にあり、リース業者は、実質的には所有権留保約款付割賦売買の売主と類似するから、ユーザーにつき会社更正手続が開始された場合には、リース物件を対象とする更正担保権者として取り扱うべきものである。したがって、リース期間が満了しても、リース物件は更正会社に帰属すべきものであり、リース業者においてその返還を求めることはできないというべきである。
もっとも、本件リース契約には、期間満了後はリース物件を控訴人に返還する旨の条項が存在する。しかし、フルペイアウト方式でリース料が算定されている本件のようなリース契約では、リース期間満了時におけるリース物件の残存価値は零であることを前提としているから、リース物件をリース業者に返還することは必要のないことであり、リース期間満了時にはリース物件はユーザーに帰属するものとしても、リース業者に不当な不利益を及ぼすものではないにもかかわらず、リース物件の返還条項があるのは、税務対策上の便宜的なものであり、リース業者においてリース期間満了時の所有権それ自体に利害を有するからではない。
リース業者は、リース期間満了後、リース物件の所有権を前提に、再リースをして収益を得ているが、この再リースによる収益は、回収すべき投下資本のすべてを回収したリース業者にとって、いわば余禄にすぎないものであり、再リース料の算定については合理的な根拠・理由がなく、仮に、近時の競争の激化からリース料を低く抑え、そのため返還を受けたリース物件の処分あるいは再リースによる収入に期待しているところがあるとしてもフルペイアウト方式のリース契約においては、右期待にも法的合理性はない。
また、リース業者に形式的な所有権をあることを理由としてリース物件の返還請求権を認めることは、他の債権者、特にリース業者と同じく減価資産を対象とする所有権留保約款付割賦売買の売主の取扱と比較して不公平でもある。
以上のとおり、ファイナンスリースにおけるリース業者のリース物件に対する所有権についての利害・期待、更正会社の他の債権者との均衡からして、リース業者のリース物件に対する所有権は、リース期間満了時には本来ユーザーに保有されるべきものであるから、リース期間中にユーザーに更正手続開始の決定があった時点において、リース業者は、リース物件の所有権を喪失し、かわりにリース物件を目的物とする更正担保権を取得すると取り扱うことが、契約当事者の合理的期待に合致するものである。
五 被控訴人の主張に対する控訴人の反論
リース契約において、リース物件の所有権をユーザーに移転させず、リース業者がこれを所有し続けることが不可欠であることは、すでに述べたとおりである。また、フルペイアウト方式をとったからといって、リース期間満了時にリース物件が無価値のものとなっているわけではない。したがって、リース期間の満了時には、再リース契約が締結されない限り、ユーザーがリース物件を所有者であるリース業者に返還すべきことは、当然である。リース業者は、右返還を受けたリース物件を自らの利益のために他にリースし、又は売却しうることになるのである。
第三 証拠関係<省略>
理由
一事実関係について
1 主位的請求原因1ないし4の事実(但し、同2のうち保全管理人が昭和五八年九月一六日にリース料を毎月末日に支払う旨約したことは除く。)及び予備的請求原因1ないし3の事実は、当事者間に争いがない。
2 そして、<証拠>によれば、本件リース契約には、右当事者間に争いのない契約内容のほか、次のような条項のあることが認められる。
(一) 控訴人は、株式会社ドットウェルビーエムエムから本件リース物件を買い受けて日東工営にリース(賃貸)する。
本件リース契約は、この契約に定める場合を除き、解約もしくは解除することができない(一条)。
(二) 日東工営は、本件リース物件が常に良好な使用状態を保つようその責任と負担で点検・整備を行い、物件が損傷したときは、その原因のいかんを問わず日東工営の責任と負担で修繕・修復を行う。
本件リース物件自体、又は同物件の設置、保管、使用によって第三者の受けた損害については、原因のいかんを問わず、日東工営の責任と負担で解決する。もし控訴人が本件リース物件の所有者又は賃貸人であることを理由に第三者から損害賠償の請求を受けたときは、日東工営は、その責任と負担で解決に当たり、控訴人が支払責任を負う損害賠償等についても一切日東工営においてこれを負担する。
本件リース物件の所有、保管、使用に関して生じる一切の公租公課は、宛名、名義人のいかんを問わず、日東工営が負担する。但し、固定資産税は控訴人が負担する(三条)。
(三) 日東工営は、リース期間中において、理由のいかんを問わず、本件リース物件を使用しない期間もしくは使用できない期間があったとしても、控訴人に対するリース料の支払義務を免れない(四条)。
(四) 控訴人は、本件リース物件に関し、リース期間中継続して控訴人を保険契約者とし、控訴人と日東工営を共同被保険者とする動産総合保険契約を締結する。
保険事故が発生した場合に、日東工営がこの契約の規定に従い物件を修繕・修復したときは、控訴人は、日東工営が保険金を直接受領できるように手続をし、控訴人がリース物件の滅失等により保険金を受領できたときは、保険金額相当額を規定損害金に充当する(七条)。
(五) 日東工営は、(1) 天災地変、ストライキその他の不可抗力及び売主又は運送業者の都合、その他控訴人の責に帰しえない物件の引渡しの遅延又は引渡し不能に関し、また、(2) 本件リース物件の引渡後は、物件の仕様、構造、品質、物件に関するソフトウェア等その他一切の瑕疵及びその他物件に関する一切の事項並びに物件の選択・決定に際しての日東工営の錯誤に関し、控訴人に対して損害賠償請求等いかなる請求もすることができない。
但し、日東工営が希望したときは、控訴人から売主に対する損害賠償請求権その他の権利(売買契約解除権を除く。)を譲り受けることができるが、この場合も、日東工営は控訴人に対するリース料の支払を免れない。
日東工営が前記(1)又は(2)の事由を原因に控訴人と売主との間の売買契約の解除を希望したときは、規定損害金相当額及びそのときまでに控訴人に対して負担する一切の債務を支払うのと引き換えに、控訴人から売主との間の売買契約の解除権等を譲り受けることができる(八条)。
(六) 本件リース物件が天災地変、その他不可抗力による場合を含め滅失し、又は毀損、損傷して修理・修復が不能となり、控訴人がその事情を認めたときは、本件リース契約は終了する。この場合には、日東工営は、その原因のいかんを問わず、規定損害金を直ちに控訴人に支払う(九条)。
(七) 控訴人は、日東工営がリース料の支払を一回でも怠ったときその他本件リース契約所定の事由の一に該当したときは、催告をしないでこの契約を解除でき、また、日東工営の債務の期限の利益を失わせることができる。
日東工営は、本件リース契約が解除されたときは、本件リース物件を控訴人に返還するとともに、規定損害金(その額等は当事者間に争いのない原判決の契約明細記載のとおり)を支払う。
控訴人がリース物件の返還を受けたときは、相当の基準に従って評価した額から評価までに要した費用一切を差し引いた金額又は相当の価額で処分した代金から処分までに要した一切の費用を差し引いた金額を右規定損害金その他日東工営の債務に充当する(一二条)。
(八) リース期間満了の三か月前までに日東工営が控訴人に対し予告した場合には、控訴人と日東工営とは協議して新たなリース契約を締結できる。
右新たなリース契約を締結しなかったときは、リース期間満了後、日東工営は、本件リース物件を控訴人に返還し、物件の返還が遅れた場合には、遅延日数に応じたリース料相当額の損害金を控訴人に支払う(一三条)。
以上のような契約条項がある。
なお、ファイナンスリースにおけるリース料の定め方には、リース期間満了時の残存価値を零とみてリース期間中にリース物件の取得費その他の投下資本の全額を回収できるようにリース料を算定するフルペイアウト方式と、リース期間満了時の残存価値を見込んでそれを右投下資本の額から控除してリース料を算定するノン・フルペイアウト方式ないし残価方式の二種があるところ、本件リース契約が右のフルペイアウト方式によっていることは、控訴人の自認するところである。
また、本件リース契約で定める規定損害金基本額の算出根拠は明らかにされていないが、一般のリース契約における規定損害金は、実質的には、リース契約が途中終了した場合におけるリース業者の得べかりし残リース料に代わる投下資本の回収であり、残リース料から中間利息を控除した金額にほぼ相当するのが通例であるとされており、本件リース契約の規定損害金基本額も、その数額及び期間経過に伴う逓減方式からみて、おおむね右と同様の実質をもつものと認められる。
3 東京地方裁判所は、昭和五八年八月三〇日、日東工営の会社更正手続開始の申立てがあったことに伴い、同日、日東工営につき保全管理人による管理を命じ、保全管理人として中根宏を選任し、保全管理人が、(1) 従業員との雇傭関係により生じた債務及び債務総額が一〇万円以下の債務を除き、昭和五八年八月三〇日までの原因に基づいて生じた一切の債務の弁済、(2) 日東工営所有に属する物件及び権利の譲渡、担保権の設定その他一切の処分、(3) 借財、(4) 訴えの提起及び和解、(5) その他法五四条に掲げる各行為をするには裁判所の許可を得なければならない旨の保全処分を決定した。このことは、弁論の全趣旨により明らかである。
二主位的請求について
1 法一〇三条一項及び二〇八条七号の規定の趣旨
法一〇三条一項は、双務契約について会社及びその相手方が更正手続開始当時まだともにその履行を完了しないときは、管財人は、契約を解除し、又は会社の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる旨定め、法二〇八条七号は、法一〇三条一項の規定により管財人が債務の履行をする場合において、相手方が有する請求権は共益債権とする旨定めている。
この規定は、双務契約における双方の債務が、法律上及び経済上相互に関連性をもち、原則として互いに担保視しあっているいるものである(いわゆる対価的関係にある)ことにかんがみ、双方未履行の双務契約の当事者の一方に会社更正手続が開始された場合において、更正管財人に右契約の解除をするか又は相手方の債務の履行を請求するかの選択権を認めることにより会社再建の目的達成と更正手続の円滑な進行に資すると同時に、更正管財人のした選択に対応して相手方の保護を図る趣旨に出たものである。すなわち、更正管財人が相手方の債務の履行を請求することとしたときは、これと対価的関係のある相手方の債権についてのみ、更生債権として更生計画において縮小的変更を受けることを受忍させるのは公平に反するので、右相手方の未履行債権を共益債権として特別に取り扱うことにしたものであると解される。
2 本件リース契約と法一〇三条一項の適用の有無
本件リース契約に基づくリース料債権の履行が完了していないことは明らかであるから、本件リース契約について法一〇三条一項の適用があるか否かは、控訴人が右リース料債権と対価的関係にある未履行の債権を負担しているか否かによる。そこで、以下これを検討する。
(一) まず、控訴人は、本件リース契約に基づき、本件リース物件の引渡債務を負うと解される。しかし、本件において、本件リース物件の引渡が完了していることは当事者間に争いがないから、右リース物件の引渡債務をもってリース料債権と対価的関係にある未履行債務と認める余地はない。
(二) 本件リース契約により、日東工営は本件リース物件を使用収益する権利を取得し、これに対応して、控訴人はリース物件を日東工営に使用収益させる債務を負う。
しかし、本件リース契約において、リース物件の修繕・修復義務は日東工営が負担し、リース物件の引渡後は物件の瑕疵その他物件に関する一切の事項について控訴人は責任を負わず、日東工営がリース物件を使用できない場合でも、その理由のいかんを問わず、リース料支払債務を免れないなどの約定があることから考えると、控訴人がリース物件を使用収益させる債務を負っているといっても、その内容は、リース物件を使用収益に適した状態にしておくため何らかの行為をするという積極的なものではなく、日東工営がリース物件を使用収益することを受忍し、これを妨害しないという消極的な債務(以下「使用収益受忍債務」という。)にとどまるものというべきである。
そこで、控訴人の右使用収益受忍債務とリース料債務との関係について更に考察する。
(1) ファイナンスリース契約は、形式的には、リース業者が自己の所有物件をユーザーに使用収益させるという内容を有するものであるが、これを実質的に見ると、リース業者がユーザーに対して金融の便宜を供与するという性質を有することは否定できない。
右リース契約において、通常、ユーザーからの中途解約は認められず、リース物件の瑕疵についてリース業者は責任を負担しない一方で、リース期間中にリース物件の滅失、毀損等によりユーザーの使用収益が不可能になった場合でも、ユーザーは残リース料又はこれに相当する規定損害金の支払義務を免れず、また、ユーザーがリース料の不払等により契約を解除されたときは、リース物件を返還するほか、残リース料又はこれに相当する規定損害金を即時支払うべきことが定められているが、これらの約定は、リース業者が、ユーザーに供与した融資金を割賦弁済により回収するのと同じように、融資金に相当する物件取得費その他の経費の総額(投下資本)をリース料として回収する必要があることに基づくものである。かかる特殊性があるからこそ、右約定の合理性ないし効力も原則として是認されているのであり、右約定は、ファイナンスリース契約の基本的特徴をなすものということができる。
ファイナンスリースにも用益的側面があることは確かであるし、また、一般の動産賃貸借で右約定と同様の特約をすることが観念上は不可能でないとしても、そのことをもって、リース料の性質を一般の賃料と同視することはできない。
(2) 本件リース契約においても右約定と同一の定めがあることは前記のとおりであり、日東工営のリース料支払債務はリース物件の使用収益が可能か否かとは無関係とされている、また、控訴人としても、期間途中でリース料支払債務の不履行を生じた場合に、通常の賃貸借における賃料不払の場合のように、使用収益させることを拒絶して物件を取り戻し、取戻時までのリース料を収受しただけでは、全くリース契約の目的を達し得ないことになる。これらの点から、リース料と使用収益との対応関係は極めて稀薄である。本件リース契約においてリース料が月単位で定められ、また、契約が解除された場合に残リース料そのものを支払うべきことが定められていないことは、右判断を左右しない。
(3) また、リース業者が負担する使用収益受忍債務は、消極的な不作為債務である。ユーザーについて会社更生手続が開始された場合でも、通常は、右債務の履行のために、更生管財人がリース業者に対して具体的な行為を請求することが必要になる性質のものではない。リース業者はリース物件を調達してユーザーに引き渡し、ユーザーからリース料の支払と契約終了時のリース物件の返還を受けることがリース契約の根幹であり、これらの行為に較べれば、右の使用収益の受忍は抽象的・観念的なものにとどまり、リース契約の履行において有する実質上の意味はリース料の支払とは匹敵すべくもないといってよい。
先に述べたとおり、法一〇三条一項の規定は、双務契約において互いに担保視しあっている双方の債務の履行につき更生管財人の選択に応じて相手方の立場を保護し、公平を図ることを目的としているが、使用収益受忍債務とリース料支払債務との右の実際的違いに着目すれば、両債務が互いに担保視しあっているとみることは、必ずしも公平にかなうとは解されない。
以上のようなファイナンスリース契約の金融取引的性格、リース料と使用収益との対応関係の稀薄性及び法一〇三条一項の規定の趣旨からみに使用収益受忍債務とリース料支払債務との不均衡等を総合して判断すると、リース業者が前記使用収益受忍債務を負担していることをもって、リース料債権との間に法一〇三条一項所定の対価的関係のある債務の履行が完了していないときに当たるとすることは相当でないというべきである。
(三) 次に、控訴人は、リース期間中の損害保険料の支払債務、リース物件に関する固定資産税の負担債務、日東工営が負担した修補費に係る保険金請求債務、売主に対して有する瑕疵担保請求権の譲渡債務等を控訴人が負担していることをもって前記未履行債務に当たると主張するが、これらの本件リース契約の付随的債務が日東工営の負担するリース料支払債務と法律上関連性があり、互いに担保視しあっていると認めるべき契約上の定めや根拠は見当らない。
したがって、控訴人が右付随的債務を負担していることをもって、法一〇三条一項所定の対価的関係にある未履行債務に該当すると認めることはできない。
以上のとおり、本件リース契約において、日東工営が負担するリース料支払債務と法一〇三条一項所定の対価的関係にある未履行の債務を控訴人が負担していると認めることはできないから、本件リース契約には法一〇三条一項の適用はないといわなければならない。したがって、本件リース契約に基づく控訴人のリース料債権について、これを更生担保権として取り扱う余地があるかどうかはともかく、法二〇八条七号の共益債権と認めることはできない。
この結果、本件リース物件は会社更生手続の開始後も引き続き使用収益されるのに対し、控訴人のリース料債権だけは更生計画において縮小的変更を受けることになるけれども、これは、ファイナンスリース契約の金融取引的実質から、控訴人がリース料又はこれに相当する規定損害金をリース物件の使用収益と切り離して取得できることとした反面としての帰結であって、やむを得ないところである。かえって、ファイナンスリース契約においては、その金融取引的実質を根拠として、前記のような一般の賃貸借と異なるリース業者に有利なリース料等に関する約定が是認されてきたのであって、会社更生手続が開始されるや、そのリース料について、右金融取引的実質に従った取扱いではなく、一般の賃貸借と同様の取扱いを求めることの方が公平の見地から問題があるといわざるを得ない。
他に、本件リース料債権を共益債権と認めるべき事実についての主張・立証はない。なお、控訴人は、保全管理人が昭和五八年九月分以降のリース料の支払を毎月末日とする旨約したと主張しているが、保全管理人の右約束によりリース料債権が共益債権にかわったとの具体的根拠の主張がされているわけではない。
3 本件リース料の請求について
右のとおり、本件リース契約に基づくリース料債権は、更生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、共益債権とは認められないものであるから、法一一二条の規定により、更生手続によらなければ弁済を受けることができないものであり、更生手続によらないで、右リース料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めることは許されない。
したがって、昭和五八年一〇月から昭和五九年五月までの八か月間のリース料の残額として控訴人の主張する二一万八五六五円及びこれに対する契約解除の翌日である昭和五九年五月一六日から支払ずみまでの約定利率年14.6パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める請求に係る訴えは、不適法であり、却下を免れない。
4 本件リース契約の解除を理由とする本件リース物件引渡請求について
本件リース契約に基づくリース料債権が共益債権とは認められず、更生手続によらなければ請求できないことは、すでに説示したとおりである。したがって、会社更生手続開始決定後に履行期の到来した昭和五八年一二月分以降のリース料については、その支払がなくとも債務不履行の責任を問うことはできない。
また会社更生手続開始決定に先立ち、昭和五八年八月三〇日、裁判所は、保全管理人に対し、同日までの原因に基づいて生じた一切の債務(但し、従業員との雇傭関係から生じた債権及び債務総額が一〇万円以下の債務を除く。)の弁済を禁ずる保全処分を行っているから、その後に同年一〇月分及び一一月分のリース料債権の弁済期が到来しても、控訴人は、その不履行を理由に本件リース契約を解除することはできない。
右のとおりであって、リース料債権の履行遅滞を理由とする本件リース契約の解除は認められないから、右解除を前提とする本件リース物件の引渡請求及びその引渡遅延による損害金請求は失当である。
5 規定損害金の請求について
本件リース契約に基づき同契約が解除された場合に発生する規定損害金の請求権は、その厳密な法律的性質はともかく、更生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、共益債権に当たるものとは認められないから、更生手続によらないでこれを請求することは許されない。したがって、右規定損害金請求及びこれに対する遅延損害金の請求に係る訴えは不適法として却下すべきである。
三予備的請求について
1 リース期間満了による本件リース物件の引渡請求について
前記の当事者間に争いのない事実によれば、本件リース契約は、昭和六一年一一月三〇日に約定のリース期間が満了し、再リース契約が締結されなかったのであるから、控訴人は、本件リース物件の所有者として、本件リース契約に基づき、リース物件の返還を求める権利を有すると認められる。
そして、右返還を受ける権利は、法六二条により、更生手続の開始に影響されないから、更生手続によることなくこれを行使することができる。
被控訴人は、本件において再リース契約が締結されなかったのは、控訴人がリース期間の満了前から本訴を提起し、再リース契約の余地を否定したためであると主張する。しかし、本件リース契約において、控訴人が再リース契約の締結に応ずべき義務を負っていたものとは認められないから、控訴人が期間満了前に契約解除を主張して本訴を提起し、これによって再リース契約を拒否する態度をとるとともに、リース期間の満了をまってその効果を主張することが許されないとすべき理由はない。
また、被控訴人は、リース業者のリース物件に対する所有権の機能はリース料の支払の担保にあり、リース業者の地位は実質的には所有権留保約款付割賦売買の売主に類似するから、会社更生手続においては更生担保権者として取り扱われるにすぎない者であり、更生手続中にリース期間が満了しても、リース物件の返還を求めることはできない旨主張する。
しかし、被控訴人の主張するような理由から、リース契約に基づくリース料債権を更生担保権として取り扱うことが仮にできるとしても、それは、リース契約によって生じるリース業者の権利を手続上いかなるものとして取り扱うかという問題であって、その帰結として当然に、リース業者のリース物件に対する所有権までが失われるとか、右所有権が更生会社に移転するということになるものではない。本件リース契約にも、期間満了時に新たなリース契約を締結しなかったときは本件リース物件を返還する旨の約定があり、本件リース物件の所有権が日東工営に移転する旨の条項もしくは移転を予想した条項は存在しない。リース業者としては、期間満了時までのリース料の支払を受けることによって投下資本を回収することができたとしても、返還を受けたリース物件を他にリースし、あるいは処分することが可能であり、それにより利益を得ることを更生手続との関係において一律に否定しなければならない合理的理由はない。
したがって、本件リース物件の所有者である控訴人がリース期間満了を理由として本件リース物件の引渡を求める請求は理由があり、これを認容すべきである。
2 リース期間満了後の遅延損害金請求について
右1で判断したとおり、本件リース契約はリース期間の満了によって終了したものであるから、更生管財人は、本件リース物件を控訴人に返還すべき義務がある。そして、更生管財人の右義務の不履行によって生じた遅延損害金請求権は、法二〇八条五号により共益債権になると解される(法一二一条二号の更生債権には当たらない。)。しかるところ、本件リース契約には、リース物件返還義務不履行の場合に、その履行があるまで一か月三万四六六〇円のリース料相当の損害金を支払う旨の約定があり、右約定の効力を否定すべき理由は認められない。
したがって、本件リース期間満了の翌日である昭和六二年一二月一日から本件リース物件の引渡ずみまで一か月三万四六六〇円の割合による遅延損害金の支払を求める請求は、理由があるものとして、これを認容すべきである。
3 リース期間中のリース料の請求について
本件リース契約に基づくリース料債権が更生債権であることは、すでに説示したとおりであるから、更生手続によらずに弁済を受けることができないものであり、右請求に係る訴えも不適法として却下すべきである。
四結論
以上の次第で、控訴人の主位的請求については、前記説示と判断を同じくする原判決は相当であって、本件控訴は、理由がないから、これを棄却することとし、控訴人が当審で追加した予備的請求のうち、本件リース物件の引渡請求及びその遅延損害金の請求は、理由があるから、これを認容し、その余の金員請求に係る訴えは、不適法であるから、これを却下することとし、当審における訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九二条を適用し、右認容部分について仮執行の宣言は付さないこととして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官佐藤繁 裁判官岩井俊 裁判官小林正明)
別紙物件目録<省略>