大判例

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東京高等裁判所 昭和63年(ネ)2157号 判決

労働者の労働契約上の権利の中には賃金請求権のように相続の対象になる権利が含まれており、訴訟上の請求として右にいう労働契約上の権利を有する地位の確認請求ないし労働契約上の地位の確認請求が許されるのは、このような賃金請求権等を含む権利発生の基礎となる地位自体の確認をして当事者間の法律関係を確定することについて訴えの利益が肯定されるからに他ならないのではあるが、労働契約上の地位自体は当該労働者の一身に専属的なものであって相続の対象になりえないことは明らかである。そうである以上、労働者の相続人は、労働者にその地位があったことの確認を求めうるものではなく、いわんや、労働者の提起した前記のような確認請求の訴訟手続を受継することはできないのであって、その確認請求訴訟は、労働者の死亡により当然に終了すると解さざるをえない。そして、相続人が労働者である被相続人から相続した賃金請求権等を行使するに当たっては、労働契約上の地位について確認判決を得る必要はないから、このように解しても、その権利行使に何ら支障はないのである。

したがって、本件訴訟は一審原告が死亡したことにより終了したというべきであり、訴訟が終了したことを手続上明確にするために終了宣言をした原判決は相当であって、本件控訴はいずれも理由がない。

そして、訴訟が当然に終了したと判断される以上、その後の補正によってそれを適法に存続させる余地がないことは明かであるから、その終了宣言判決に対する控訴審がその終了宣言を相当とするときは、相手方に弁論の機会を与える必要はないものとして、不適法な訴えであってその欠缺が補正することができない場合の民訴法二〇二条を類推適用し、口頭弁論を経ないで控訴を棄却することができる、と解すべきである。

(吉井 友納 小林)

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