東京高等裁判所 昭和63年(ネ)247号 判決
1 ところで、前掲甲第一号証によれば、募集案内に明記された各店舗の業種のうち、タバコは被控訴人の賃借した店舗についてのみ記載されていたことが認められる。被控訴人は、このことから、被控訴人の店舗のみがタバコを営業種目とすることを許されたものであって、他の出店者がタバコを営業種目とするには、供給公社の承認のほか、被控訴人の同意が必要であると主張する。
2 しかし、前掲証拠及び前認定の募集の経緯に鑑みれば、このように、供給公社が募集案内において個々の店舗ごとに業種を特定して募集し、これを変更するには供給公社の承認を得ることが必要としたのは、入居者の便宜を図り、できるだけ多くの業種の店舗をまんべんなく設置することを主たる目的としたものと認められるから、募集案内に明記された業種ないしこれを補充するものとしての店舗賃貸借契約書における主たる取扱品目は、最低限この品目を扱ってもらいたいとの意味であって、その限りでこれを変更するには供給公社の承認を得る必要があるとしても、これに付加して付随的に他の営業種目を行うことは、たとえそれがセンターシーサイド内の他の店舗と一部競業する形になっても、直ちに右の趣旨に反するものとはいえず、出店者と供給公社との間の契約上当然に供給公社の承認を得なければならないものということはできない。
3 そのように、供給公社として、一人の出店者に限ってある特定の商品の取り扱いを許す趣旨であるとすれば、かように詳細に募集条件や契約内容を明記して行った募集案内や契約書の文面にそのような条件が明記されていて然るべきであるし、また、そのような排他的契約を締結すべき合理的理由も見出しえない。また、被控訴人と供給公社との契約がどうあろうとも、その契約が、それと関係のない他の出店者に権利義務関係を発生させる余地のないことは明白である。
(千種 野田 近藤)