大判例

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東京高等裁判所 昭和63年(ラ)662号・昭63年(ラ)663号・昭63年(ラ)665号・昭63年(ラ)658号・昭63年(ラ)664号 決定

二 職権をもって調査するに、原審判は、相続人のうち相手方田村謙一、岩下初子にそれぞれ二四〇万円の寄与分を認め、本件遺産の価額から右の寄与分を控除し、残余について法定相続分(田村マキは二分の一、その余の相続人らはいずれも一二分の一)に従って割算した上具体的金額を算定していることが明らかである。

民法第九〇四条の二第一、二項の規定によれば、相続人間において寄与分に関する協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は寄与をした者の請求により寄与分を定めるものとされているので寄与をした者の請求がない限り、家庭裁判所は職権で寄与分を定める審判をすることは勿論のこと、寄与分を考慮した遺産分割の審判をすることも許されないものと解される。しかるに、原審記録によれば、本件においては、田村謙一、岩下初子が調停手続進行中準備書面により寄与分の主張をしていることが認められるが、寄与分を定める申立て(請求)はしてない(申立てとしての立件はなく、審判主文にも遺産分割とは別に具体的寄与分を明示していない。)のであるから、遺産分割審判に当たっては、謙一らの寄与分について斟酌することはできないものである。

三 よって、原審判は違法であるからこれを取り消し、更に審理を尽くさせるため本件を浦和家庭裁判所川越支部に差し戻すこととし、主文のとおり決定する。

(安國 清水 安齋)

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