東京高等裁判所 昭和63年(行ケ)276号 判決
一 請求の原因一ないし三の事実(特許庁における手続の経緯、本願発明の要旨及び審決の理由の要点)については、当事者間に争いがない。
二 取消事由の有無についての判断
1 前記争いのない本願第一発明の要旨に、成立に争いのない甲第八号証(特公昭六二―一〇四二九号特許公報・本願公報)を総合すると、本願第一発明は、トナー画像を定着させるプロセスの加熱圧力定着装置に用いる加熱ロール、特に定着用加熱ロール表面を被覆するオフセツト防止層の改良を目的とした定着用加熱ロールに関する発明であるところ、加熱ロールと圧接ロールとからなる加熱加圧融着装置を用いた電子写真複写方法においては、加熱ロール内に設けられた発熱体素子によつてオフセツト防止層(12)の表面を所定の温度にし、転写されてきた未定着用紙上のトナーを熱と圧力で融着してコピーが得られるのであるが、このオフセツト防止層は、融着したトナーが熱定着ロールに付着する、いわゆるオフセツトを防止する本来の機能のほかに、十分な耐熱性があること、離型剤としてシリコンオイルを使用するため高温でも離型性によつて変質しないこと、また熱定着ロールは圧接ロールとの圧接により変形するため機械的強度の高いことなどが要求されるものであること(本願公報一頁一欄一九行ないし二頁三欄一五行)、従来、オフセツト防止層としては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(テフロンと呼ばれるものの一種でPTFE樹脂と呼ばれるもの)が約五〇μmの厚みでコーテイングされたものがあつたが、このPTFE樹脂をコーテイングした熱定着ロールは良好なオフセツト防止能を示すものの、熱定着ロールとして当然要求される耐摩耗性に欠け、寿命が短いという欠点があつたこと、すなわち、熱定着ロールの表面には、熱定着ロールから紙(9)をはがすストリツパーフインガー(7)や熱定着ロール表面を清浄にする二種のブレード、ウイツク(4、8)、熱定着ロール温度を検知するサーミスター(3)が常時接触しており、更に紙の走行時は紙、圧接ロールトナーが熱定着ロールの表面に接触するので、耐摩耗性がないときにはコーテイングの表面は擦り減つてしまうこと(二頁三欄一六行ないし三〇行)、本願第一発明は、このようなPTFE樹脂をコーテイングした従来のオフセツト防止層の欠点を解消することを目的とし、これを達成するために、特許請求の範囲1項記載のとおりオフセツト防止層を、平均粒径五~七五μmのパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA樹脂)粉体を静電塗装した層としたものであること(二頁三欄三三行ないし四二行)が認められ、更に、PFA樹脂粉体の平均粒径を五~七五μmと限定した趣旨及びそれによる効果については、本願公報に次のような記載のあることが認められる。すなわち、「PFA粉体として平均粒径が五μm未満のものを用いるとたとえ重ね塗りを行なつても薄い膜厚のPFA層しか形成できず、耐摩耗性が劣り、また平均粒径が七五μmを越えるPFA粉体を用いるとオフセツト防止層の膜厚にムラが生じ、加熱ロール表面の温度ムラや凹部にトナーが付着しオフセツト防止能が低下する。これに対して本発明による平均粒径が五~七五μmのPFA粉体をコーテイングした層ではこの様な現象が生じることがなく、耐摩耗性、オフセツト防止性共に優れた加熱ロールとなる。」(二頁四欄八行ないし一八行)。
2 原告は、特開昭五二―一五五五四〇号公開特許公報(引用例1)に審決認定のとおりの記載があること及び引用例1の「四弗化エチレンとパーフルオルアルキルパーフルオルビニールエーテルの共重合体」、「定着用ローラー」及び「圧着ローラー」が、それぞれ本願第一発明の「パーフルオロアルコキシ樹脂」、「加熱ロール」及び「圧接ロール」に相当するものであることを認めながら、引用例1には、完成した発明として、PFA樹脂を定着用加熱ロールのオフセツト防止層として用いる技術的思想の開示がないから、審決が、本願第一発明と引用例1の発明とは「圧力と熱により粉体トナーを融着するための、圧接ロールと対をなすオフセツト防止層を有する加熱ロールにおいて、該オフセツト防止層がパーフルオロアルコキシ樹脂の層である定着用加熱ロールである点で一致」するとした認定は誤りである旨主張する。しかしながら、前記当事者間に争いのない事実に、成立に争いのない甲第九号証の四(特開昭五二―一五五五四〇号公開特許公報)を総合すると、引用例1は「定着用ローラーの製造方法」とする発明に係る公開特許公報であり、その特許請求の範囲には「フルオロカーボン重合体または共重合体の被覆ローラーを成型する工程」が記載され、かつ、その「発明の詳細な説明」欄には、本願第一発明の対象である電子写真等の熱定着装置に使用される定着ローラー(加熱ロール)におけるオフセツトの防止を課題として(一頁右欄一行ないし六行)、このオフセツトを防止するためには定着ローラーの被覆層にトナーに使用されている樹脂に対して優れた離型性をもつ被覆材料を選ぶことが指摘され、そのような離型性のある材料としては、テフロンに代表される四弗化エチレンのほか、PFA樹脂(四弗化エチレンとパーフルオルアルキルパーフルオルビニールエーテルの共重合体)が挙げられていること(同欄七行ないし一五行)(この点は原告も争わないところである。)及び引用例1に記載された方法により製造された定着ローラーは、従来の定着ローラーよりも離型性が優れていること(二頁右下欄一一行ないし一三行)が認められるから、引用例1には、「圧力と熱により粉体トナーを融着するための、圧接ロールと対をなすオフセツト防止層を有する加熱ロールにおいて、一、オフセツトを防止するという課題のもとに、該オフセツト防止層をパーフルオロアルコキシ樹脂でコーテイングする技術的思想が十分に開示されているというべきであり、本願第一発明の属する技術の分野に属する通常の知識を有する者であるならば、審決摘示に係る一致点の構成が引用例1に記載されていることを容易に理解し得るとともに、加熱ロールにおけるオフセツトを防止し得るというその効果も当然に推認し得るものと認められるので、引用例1に加熱ロールのオフセツト防止層にPFA樹脂を用いることについては完成された発明としての技術的思想の開示がないとする原告の主張は失当である。
前掲甲第九号証の四によれば、原告指摘のように引用例1の発明の詳細な説明の欄には、離型性に優れた被覆材料として列挙された材料のうち、テフロンを用いてコーテイングする方法についての説明がなされているに止まり、PFA樹脂を用いる場合についての具体的記述がないことが認められるが、引用例1の前記一頁右欄一行ないし一五行の記載自体に照らせば、同引用例は、優れた離型性を備えた材料として、PFA樹脂をテフロンと同等のものとして列挙しているものと認めることができるから、それ以上の具体的な記述がなくても、同引用例には、PFA樹脂の被覆によつて加熱ロールにオフセツト防止層を形成するという技術的思想も開示されているといい得るのであつて、原告主張のようにテフロンを用いて被覆層を形成し、かつ「予めオフセツト防止液を含浸させる工程」を必須の構成とする技術的思想のみが引用例1に開示されているとみることはできない。
また、原告は、引用例1には「PFA樹脂を定着用加熱ロールのオフセツト防止層として用いる技術」としては完成した発明としての開示がないとみるべき根拠として、本出願当時の技術水準としては、PFA樹脂は圧接ロールの被覆層としてのみ用いられるもので、熱伝導性の点に問題があることから定着用加熱ロールの被覆層には用いることができないものと考えられていたことを主張し、甲第一二号証(特開昭五一―四〇一三八号公開特許公報)を援用する。確かに、成立に争いのない甲第一二号証によれば、甲第一二号証は昭和五一年四月三日に公開された電子写真複写機等のローラー溶着装置における「溶着部材」の発明に係る公開特許公報であり、そこにみられる接触溶着装置を組み込んだ電子写真複写機の溶着ローラー(加熱ロール)の外側層には「テトラフルオルエチレン(TFE)のフルオルカーボン重合体」(四頁左上欄六行ないし七行)が用いられ、一方支持ローラー(圧接ロール)の外側層は「主鎖として炭素―弗素の連結にパーフルオルアルコキシ(perfluoroalkoxy)の側鎖を結合する溶融生成パーフルオルポリマー(perfluoropolymer)」、すなわちPFA樹脂で構成されていることが認められる。しかしながら、前記説示のとおり引用例1には加熱ロールの被覆層として離型性に優れたPFA樹脂が利用できることが開示されているほか、成立に争いのない乙第一号証(昭和五一年一月一日発行「工業材料」)によれば、本出願前三井フロロケミカル株式会社は、従来一般に使用されていたPTFE樹脂の粉体塗料に代えてPAF樹脂の平均粒径三五μmの粉体塗料化に成功し、これをMP―一〇なる商品名で市販していたことが認められる。また、成立に争いのない乙第三号証の一(MP―一〇のカタログ)、同号証の二(MP―一〇のカタログは三井フロロケミカル株式会社が昭和五一年二月に発行したものであることの証明書)によれば、MP―一〇の熱伝導度(10-4cal/cm・sec℃)が六三であり、TFE樹脂(四ふつ化エチレン樹脂)、ETFE樹脂の熱伝導度がそれぞれ五・九、五・七であることが認められ(四頁表―2)、これによれば、PFA樹脂の熱伝導度はTFE樹脂やETFE樹脂と比較しても同等ないし優れているものであることが認められる。しかして、特に右乙第三号証の一が、粉体塗装を行う者に対するメーカーの宣伝用のカタログであることに鑑みれば、本出願当時の技術水準として粉体塗料であるPFA樹脂の熱伝導度に関する当業者の認識についての原告の右主張は到底首肯し得ないところであり、前掲甲第一二号証の例によつても右の認定を左右することはできない(PFA樹脂の用途及び技術分野の違いに関する原告の主張については後記3(二)において述べる。)。
したがつて、引用例1には完成された発明としての開示がないとする原告の主張は採用の限りでなく、審決には本願第一発明と引用例1の発明との一致点の認定について何ら誤りはない。
3 更に、原告は、審決が指摘した本願第一発明と引用例1の発明との相違点についての判断の誤りを主張するので、この点について検討する。
(一) 引用例2(特開昭五一―一二七一三七号公開特許公報)及び引用例3(特開昭五二―三七九四三号公開公報)に、それぞれ審決認定のとおり「平均粒径が約二~一五〇μ、好ましくは約五~七五μの、パーフルオロアルコキシ樹脂などの熱流動性含フツ素樹脂粉末を、鉄、アルミニユウムなどの被塗装物の静電塗装して、塗膜を形成すること」が記載されていることは、原告も認めるところであり、かつ、前掲乙第三号証の一によれば、PFA樹脂メーカーの宣伝用カタログである同号証には、MP―一〇なるPFA樹脂は、平均粒径が三五μのもので、静電スプレー塗装等の粉体塗装に適しており(カタログ一頁)、静電スプレーその他の粉体塗装法により、アルミ、アルミ合金、鉄、ステンレス、ガラス、磁器等の塗装に用いられるものであること(同二頁)、PFA樹脂(パーフロロアルコキシ樹脂)はTFE樹脂(四ふつ化エチレン樹脂)と同等の物性をもち、しかも溶融するものであり、膜厚が五〇μ位からピンホールのない膜を形成できること(同二頁)及びMP―一〇の用途としては、非粘着性を応用した食品工業用ホツパー及びロール・・等のコーテイングがあること(同三頁)が記載されていることが認められる。また、前掲乙第一号証には、PFA樹脂は、静電スプレー法、流動浸漬法、静電流動侵浸法など従来行われている粉体塗装の方法で用いられるが、特に静電粉体塗装に適していることが記載されており(七四頁)、更に成立に争いのない乙第五号証(「食品機械装置」(一九七七年一二月号)にも、平均粒径三五μmのPFA樹脂粉末を用い、静電粉体塗装によりコーテイングを行うこと(四四頁左欄四行ないし一一行)及びPFA樹脂は離型性と非粘着性に優れていることの開示が認められる。したがつて、本出願当時、PFA樹脂の塗膜を形成するためにPFA樹脂粉末を静電塗装して形成する技術及びそのために平均粒径五~七五μm程度の粉末を用いて静電塗装することはひろく知られていたことが明らかである。原告は、右のPFA樹脂粉末を静電塗装する技術が、材料メーカーの間において周知であつたとしても、画像形成装置のメーカーにとつてひろく知られた技術とはいえない旨主張するが、すでに検討してきた各種の文献のほか、成立に争いのない乙第七号証の一ないし五(昭和三三年四月一五日株式会社朝倉書店発行「金属学ハンドブツク」)、乙第八号証の一ないし五(昭和三五年七月二〇日第二刷産業図書株式会社発行「表面処理ハンドブツク」)、乙第九号証の一ないし六(昭和四六年二月二八日六版社団法人金属表面技術協会編「金属表面技術便覧」)及び乙第一〇号証の一ないし三(昭和五一年九月二〇日プラスチツク加工技術便覧編集委員会編「プラスチツク加工便覧(新版)」)を総合すると、金属の表面を樹脂粉体を用いて静電塗装して塗膜を形成する技術は、各方面で利用される極めて汎用性のある技術手段であることが明らかである。しかも、PFA樹脂粉末を利用した引用例1及び甲第一二号証の発明の出願人は、いずれも原告のいう画像形成装置のメーカーであるところからしても、PFA樹脂に関する右の静電塗装の技術が画像形成装置のメーカーに知られていなかつたとする原告の主張は採用できない。また、引用例2及び引用例3においても被塗装物としてアルミニウム、軟鋼、ステンレススチールなどの金属類が開示されており、引用例1における定着用ローラー(加熱ロール)も代表的な例として金属ローラーが芯金となつているものが挙げられているのであるから(前掲甲第九号証の四二頁左上欄一六行ないし一七行)、引用例2及び3にみられるような汎用性のある静電塗装は、隔絶したところの技術とはいえず、この方法を引用例1記載のPFA樹脂からなるオフセツト防止層の形成のために適用するに当たつては技術分野の違いに起因する適用の困難性があるとは認められない(前掲甲第一二号証もPFA樹脂による圧接ロールの被覆を静電塗装ではなく、外側層をスリーブにより形成した事例を記載したものに過ぎないものと認めるのが相当であるから、同号証をもつて、PFA樹脂が静電塗装に用いられないとする根拠とはなしがたい)。
(二) PFA樹脂の特性について、引用例1に離型性の優れたものであることが記載され、前掲乙第三号証の一に熱伝導性もTFE樹脂、ETFE樹脂より優れていることが記載され、右乙第三号証の一及び乙第五号証にはPFA樹脂の非粘着性の利用についての開示もあることからすれば、PFA樹脂粉末を電子複写機等の加熱ロールのオフセツト防止層に適用することによつてオフセツト防止能を得ることは当然予想されるところであり、かつ引用例1に記載されたPFA樹脂の被覆層を形成するに当たつて周知の静電塗装の方法を適用することに格別の困難性がないとすると、各引用例から本願第一発明の構成を想到することは容易であるというほかなく、したがつて、本願第一発明のオフセツト防止能という効果も当然に当業者において予想し得ることといわざるを得ない。また、前掲乙第五号証に示された「各種弗素樹脂のコーテイングについての耐摩耗性を比較したデータ」(四八頁表―1)によれば、PFAコーテイングがPTFEコーテイングやFEPコーテイングに比べて最も摩耗量の少ない(耐摩耗性の優れた)材料であることが明らかにされているのであるから、加熱ロールの被覆層の形成にPFA樹脂粉末による静電塗装の方法を適用することによつてもたらされる耐摩耗性も当業者の予測の範囲内であるというべきである。
(三) 右のとおりであるから、引用例1に記載されたPFA樹脂を採用し、これを周知の静電塗装の方法によつて加熱ロールのオフセツト防止層を形成することが当業者にとつて容易なことと認められ、また、静電塗装に用いるPFA樹脂粉末もその平均粒径が五μmないし七五μmのものは普通にみられるものであることも前記認定説示したとおりであるから、本願第一発明における平均粒径の数値限定にも格別の意義は認められず、この範囲の平均粒径を選択することには格別の困難性があるとは認められない(耐摩耗性をもたせるために適正な膜厚を保持し、また、膜厚を均一にするために平均粒径について配慮すべきことは当然のことであり、この観点からする右の範囲における平均粒径の選択には困難性は認められない。)。原告は、本願第一発明がPFA樹脂粉体の平均粒径を限定したことによつて耐摩耗性とオフセツト防止能とを同時に実現できたことを顕著な効果として主張するが、前記認定説示のとおりPFA樹脂の粉末を用いて周知の静電塗装の方法によつて加熱ロールのオフセツト防止層を形成することが容易になし得るところであり、かつ本願第一発明で規定されている平均粒径のPFA樹脂粉体も普通に用いられている範囲内のものであることからすると、原告主張の右の効果は当然に予測され得ることといわざるを得ないので、これを顕著な効果として評価することはできない。
更に、原告は、耐摩耗性に関して、本願第一発明における耐摩耗性は、主として凝着摩耗に関するものであるのに対し、前掲乙第五号証の試験方法は、アブレシブ摩耗に関する耐摩耗性を測定したものであるから、乙第五号証の試験方法によつては本願第一発明で問題となる凝着摩耗に関する耐摩耗性は判明しない旨主張するが、本願公報においても、その主張する「凝着摩耗」についての説明がないので、アブレシブ摩耗との比較をなし得ないのであるが、たとえ、原告主張のように、本願第一発明における定着用加熱ロールに常に接触しているストリツパーフインガー(定着用加熱ロールから紙をはがす剥離爪)に、先端圧力五〇gをかけて測定したものが、「凝着摩耗」に関する測定であるとしても、このストリツパーフインガーの先端を、先端圧力五〇gでPFA樹脂の被覆層に常時接触させて摩耗深さを測定しているところの、本願第一発明の耐摩耗性は、同じように常時接触圧力をかけて耐摩耗性を測定している乙第五号証の試験方法(成立に争いのない甲第一四号証によれば、CS―一〇リング 荷重五〇〇g 一〇〇〇サイクル当りとする条件は原告主張のとおりJIS K七二〇四によるものと推認される。)の結果に基づいても予測できることと認められる。原告の主張する耐摩耗性の違いを考慮に入れてみても、本願第一発明がオフセツト防止能と耐摩耗性において格別顕著な効果を奏するものと評価することはできない。
したがつて、本願第一発明について、審決が引用例1ないし3記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとした判断は正当であり、審決には何ら違法の点はない。
三 その他本訴にあらわれた証拠を検討するも、原告の主張を裏付けるものを見出すことはできない。したがつて、認定判断を誤つた違法があるとして審決の取消しを求める原告の本訴請求は理由がないものとして、これを棄却することとする。
〔編注〕本願発明の要旨は左のとおりである。
1 圧力と熱により粉体トナーを融着するための、圧接ロールと対をなすオフセツト防止層を有する加熱ロールに於いて、該オフセツト防止層が平均粒径五~七五μmのパーフルオロアルコキシ樹脂粉体を静電塗装した層であることを特徴とする定着用加熱ロール(以下「本願第一発明」という。)。
2 圧力と熱により粉体トナーを融着するための、圧接ロールと対をなすオフセツト防止層を有する加熱ロールに於いて、該オフセツト防止層が平均粒径五~七五μmのパーフルオロアルコキシ樹脂粉体と充填材との混合物を静電塗装した層であることを特徴とする定着用加熱ロール。