大判例

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東京高等裁判所 昭和63年(行ケ)278号 判決

原告ら訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、請求の原因として、「特許庁における手続の経緯、本件考案の要旨及び審決の理由の要点は別紙記載一ないし三のとおりである。審決の理由の要点1は認めるが、その余はすべて争う。被告主張に係る本件考案の登録無効事由(実用新案法三条二項違反)を認めた審決の認定判断は誤りであるから、審決は取り消されるべきである。」と述べた。

被告は「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決を求め、答弁として、「別紙記載の一の事実のうち(イ)原告日本電動特許株式会社が本件考案について昭和五九年一〇月二六日専用実施権設定登録を経由した専用実施権者であること、(ロ)本件の審決謄本が昭和六三年一一月一六日原告日本電動特許株式会社に、翌一七日原告角野博光に送達されたことを除き、その余は認める。同二及び三の事実は認める。」と述べた。

証拠関係は本件記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。

そこで判断するに、右(イ)、(ロ)の点を除く本件に関する特許庁における手続の経緯、本件考案の要旨及び審決の理由の要点が別紙記載の一ないし三のとおりであることは当事者間に争いがなく、右(イ)の点はその方式及び趣旨により公務員が作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき甲第二号証によりこれを認めることができ、右(ロ)の点も本件記録に徴して明らかである。しかして、本訴は、実用新案の登録無効審判請求事件につきこれを認容した審決に対する取消訴訟であるから、審決に示された登録無効事由は実用新案法三条により無効審判請求人である被告においてこれを立証すべきものとするのが相当であるところ、被告はこの点について何ら立証をしないから、審決は取消を免れない(もつとも、無効審判被請求人にして実用新案権者である原告において、立証責任を負わないにもかかわらず、自ら引用例を書証として提出して引用例記載の考案の内容を明らかにし、審決自体の当否の判断を求めるのであればともかく、本訴の訴訟経過に照らし原告はそのような意図を有しないことは明らかである。他方、本件については準備手続期日が六回開かれたにもかかわらず、被告は、答弁書と準備書面を一通提出したのみで一回も出頭せず、しかもこれらの書面には、本件考案の進歩性を否定する意見は全く記載されていない。更に、本件においては、単に引用例記載の考案のみでなく、審決が摘示するいくつかの周知技術についても立証がない限り、審決の当否は判断し得ない。かような原被告双方の態度、周知技術の立証の必要性に加えて、当事者系の審決取消訴訟の性格に照らし、あえて当裁判所において職権による証拠調べをし、又は行政庁の訴訟参加を求めてまで、本件審理を進行させる必要はないものと思料する。)。

よつて、原告らの本訴請求を認容する。

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